経済的自由のススメ

タダでもやりたいことで勤労所得を得て、投資で不労所得を得て、それを死ぬまでに全部使い切る、という生き方のススメ

長期投資オススメ米国株レビュー: Visa(V)

(追記:この記事は2016年10月時点のレビューです。)

 

以前、長期投資用の米国株の選び方について書きました。

3ステップで簡単に選べる長期投資用の米国株

この中で、Economic Moatとは何か、そしてなぜEconomic Moatがある企業を選ぶべきなのかを説明しましたが、今日はwide moatな(=Economic Moatが広い)企業だとされるVisa(V)を例にして、Economic Moatの説明と銘柄の選定プロセスを具体的に説明します。

Visaの概要

身近な企業なので説明するまでもないんですが、Visaの事業はクレジットカードやデビットカードなどをメインとした決済ネットワークの運営です。カードの発行やサービス自体はライセンスを受けた業者が行なっており、Visaはそれらの発行者や加盟店契約業者から決済の金額に応じたサービス手数料や決済数に応じたデータ処理の手数料を取っています。ある意味チャリンチャリンビジネスと言ってもいいかと。

Economic Moat

Economic Moatがあるビジネスというのは、要は競合他社やその他の外的要因の影響に耐えることができるくらい深くて広いお堀(moat)で守られたビジネスということです。長期間にわたって優位性を保つことができるので、継続的に高い利益を計上できる確率が高くなります。つまり、Economic Moatがある企業ほど長期投資に向いているということです。

あたしが考えるVisaのEconomic Moatは以下のとおりです。

ネットワーク効果

Visaカードが使える店舗が増えると利便性が向上してVisaカードを使う人が増え、Visaカードを使いたい人が増えると他の店舗もVisaを使えるようにせざるを得なくなり、さらにVisaカードを使う人が増える……というサイクルを繰り返してどんどん利用者ネットワークが強化されるという効果です。

現在、Visaは世界のクレジットカード決済の半分ちかく、デビットカード決済の約4分の3を占めていると言われています。クレジットカードのネットワークという観点で言うと、Visaはダントツです。

Creditcard share
出典:The Nilson Special Report

効率的規模

ダントツと言っても、Mastercard、UnionPay、Amexなど他にもクレジットカードがあるのは確かです。ただ、世界のシェアとしては大半がVisaとMastercardに支配されているので、今後新しい企業が参入しようとしてもコストが見合わず難しいというのが現状です。

無形資産

おそらく消費者にとってはポイントがつくかとか会員特典があるかということのほうがクレジットカードのブランド自体より重要だと思いますが、ポイントや特典が全く同じでブランドだけ違うカードがあったら、ほとんどの消費者は一番ネットワークが大きくてどこでも使えそうなVisaを選ぶでしょう。

そしてクレジットカード発行者としてどこと提携したカードを発行したいか?と言うと、まず候補に挙がるのはVisaでしょう。なので、ブランドという無形資産を持つVisaは、クレジットカード発行者に対して他のブランドより価格決定力があります。

切り替えコスト

一旦クレジットカードを発行すると、発行者側としては簡単にサービスを打ち切ることができません。全くそういうことがないわけではなく、実際最近ではCostcoがAmexと提携して発行していたCostcoクレジットカードを打ち切ってVisaに乗り換えました。でもAmexからVisaへの移行が思ったほどスムーズに行かず、カード会員から苦情が相次ぎCostco側はかなり苦労していてニュースになっていました。つまり、よほどのことがない限り、発行者側に提携を打ち切るインセンティブはないわけです。そして提携が続く限りチャリンチャリンも続くわけです。

コストの優位性

これはあたしのテキトーな想像ですが、クレジットカードの認証やデータ処理にかかる手間は10億件でも50億件でもあんまり変わらないんじゃないですかね。ということは、Visaの取引ボリュームは他のクレジットカードのブランドに比べてダントツなので、スケール的メリットがあるはずです。

……ええと、いつもは「あるはず」で終わっていちいち数値は見ないんですが、それじゃ読んでるみなさんがつまらないだろうなと今思ったので一応利益率とかパッと見てみました。

  • 営業利益率:Visa=52.40%、Mastercard=51.08%
  • 純利益率:Visa=38.72%、Mastercard=37.39%
  • 従業員数:Visa=11,300人、Mastercard=11,300人(タイポじゃないです。ホントに同じくらいらしいです。)

やはり利益率はMastercardよりちょっと高いし、取引数のボリュームがダントツ多くてもMastercardと同じくらいの従業員数でやってるってことですね。つまりなんらかの規模の経済性があるということです。

経営陣と経営状態

Solomon Smith Barney、Citigroup、Bank One、そしてJP Morgan ChaseでCFOやCEOを歴任してきたCharles Scharfが2012年の後半からCEOを務めています。VisaのCEOに就任してからは、純利益を株主に還元する取り組みを自社株を買い戻す形で行なっています。配当はそれほど高くないですが、年々増額しています。

また、Visa, Inc.とは全く別の組織としてヨーロッパでVisaブランドの商品やサービスを展開してた協同組合Visa Europeの買収が2016年6月に成立しました。これによって世界での事業展開の統一性や相乗効果が期待されます。

Visa Europeの買収にあたって長期債務が増えましたが、もともと少ないし、財務体質としても問題なさそうです。それに実際最近、自社株の買い戻しにあてることができる予算を増やしています。

リスクと今後の展望

主なリスクはクレジットカードに対する各国の規制のようです。例えば、インターチェンジ・フィー(Interchange fee)という加盟店契約業者がカードの発行者に払う手数料に上限が設定されたりすると、カード発行者がカードを発行するインセンティブが減り、結果的にクレジットカードのブランドにも影響が出たりします。

また、特に発展途上国などは携帯電話を使った電子マネーなど、クレジットカードより安い決済手段を推奨することもあります。そういう意味では、電子マネーや仮想通貨などの発展もクレジットカード業界に対するリスクとなり得るかもしれません。

でも電子マネーにはクレジットカード会社を介して決済するものも多く、ネットでクレジットカードを使ってプリペイドカードをチャージするなど間接的にクレジットカードを使うケースも同時に増えるので、全体的に電子決済が増えることはプラスではないかと思います。あとApple Payみたいなのもクレジットカードの利用が増える要因になりますよね。

実際、Visaの年次報告書では「他社との競合も確かにあるが、それよりまだまだ市場自体に成長の余裕がある」というようなことが述べられています。つまり、全体を100%としたときのシェアの争いは続きますが、全体のボリューム自体がまだまだ伸びるということです。

例えば、上で見た決済のシェアのグラフでは、Visaのシェアがトップとは言え前年度より減少していました。これは恐らく中国でのクレジットカード利用が増えていて中国のUnionPayがシェアを伸ばしていることが一番の要因なのではと思いますが、VisaもMastercardも中国進出に向けて動いているところです。ちなみに、どうもMastercardは単独で中国に乗り込むのかな?という感じですが、VisaはUnionPayと提携することになっています。この三者がどう中国市場のシェアを分けることになるのかはちょっと分かりませんが、とにかくまだ開拓する市場があるということです。

評価額

あたしは自分で理論株価の計算をしていません。MorningstarとE*Trade経由で手に入る各種アナリストのレポートを参照にして見当をつけています。何をどう仮定してどうやって計算するかで理論株価は変わってきますから、この辺は各自自分が信頼できる情報源や計算法で確認してください。

あたし個人としては、2016年の始めの頃は理論株価と実際の株価が大体合っていたのが、理論株価の方が実際の株価よりも上がってきていてここ数ヶ月は割安になっている、という認識です。

なんにせよ、割安になってるときに買うのが重要なので、この辺はよく考えてくださいね。

過去のパフォーマンス

過去ずっとフラフラしてきた銘柄に長期投資という前提で賭けるのは確率的に考えても賢い選択じゃないので、なるべく遡って今までのパフォーマンスをチェックします。2008年3月から2016年10月までのVisaの株価は以下のとおりです。

Visa performance all time

長い目で見ると、少なくとも今まではきちんと成長してきているのがわかります。 だから今後も大丈夫とは決して言えませんが。

そしてこちらは過去1年のパフォーマンスです。

Visa performance past 12 months

これを見る理由は、普段このくらい上下しても自分が精神的に大丈夫かという確認のためです。ちなみに変動幅はS&P500とかDowなんかと似たような感じです。

まとめ

大体こんな感じです。最初に概要やEconomic Moatなどを見て、全体的に自分の許容範囲で投資ニーズにあっているか確認したら、実際にその銘柄を長期間保有する根性が自分にあるかチャートを見て考えます。(これがグッと来た株を買うべき理由)

で、いける!と思ったら買います。当たるのもハズレるのもありますが、何回もやっていると当たりが多くなります。それにこの方法でやると大体当たるときは大きくてハズレる時は小さいので、銘柄数を増やしていけば多少ハズレても全体的には結構プラスになるようになってきます。

長く保有してないとダメですがね。

 

あと、たまにメンテとして見直しもしてください。

ささっとできる長期投資用の米国株ポートフォリオのメンテ

 

……てことで、米国株で長期投資したいみなさん、頑張りましょうね~。

 

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