経済的自由のススメ ~そのあと~

経済的自由を得て現役引退したあとの生き方

クラウドクレジット運用報告会と運用レポートのまとめ:その2

はい、これの続きです。

クラウドクレジット運用報告会と運用レポートのまとめ:その1

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ファンドの運用状況

東欧金融事業者支援ファンド

東欧で個人向けローンの事業を行っている金融業者への貸付をエストニアにある子会社経由で行っているファンドです。案件は2つあり、1つはMintosというソーシャルレンディングのプラットフォーム経由でCreamfinanceという会社が取り扱っている個人向けローンに出資するもの、もう1つは個人向けローンの事業を行っているA社に直接貸付するものとなっていますが、大部分を占めるのは後者です。

なので、A社の破綻が一番のリスクとなるわけですが、A社は現在月次で50~90万ユーロ稼いでいる状態で、2016年11月時点のバランスシートにも問題ありません。

また、このファンドは為替ヘッジがないバーションの1号、あるバージョンの1号と2号が完済していて、どれも運用目標を100%達成しています。ただ、為替ヘッジがなかったバージョンは前回説明したカメルーン中小企業支援ファンドと同様、円高の影響を受けて利益がチャラになり元本も少し割れています。

ちなみに、カメルーン中小企業支援ファンドの方は1ユーロ123.53円で出資して114.31円で返済されて元本が0.53%減少という状態でしたが、こちらは1ユーロ123.60円で出資して112.49円で返済で元本が1.78%減少しています。10万円投資していたら1,780円損失していた計算です。

一方、為替ヘッジがあったバーションは1号、2号ともに為替ヘッジのコストが想定より低かったために募集時の期待利回りより高い収益となり、1号は9.0%が10.0%に、2号は9.1%が9.3%になっています。今後こういうことが続くかは分かりませんが。(てか、逆に想定より高いこともあり得るかもしれません。)

なんにせよ、運用自体は順調のようです。なので、投資するとしたら為替相場を見てヘッジをつけた方がいいか、それとも敢えてつけずにアップサイドに賭けるかを検討してください。

北欧個人向けローンファンド

エストニアにあるクラウドクレジットの子会社がFellow Financeというフィンランドで個人向けローンの貸付を行っている会社を介して個人向けローンに投資するという形態のファンドです。

為替ヘッジなしバージョンは1号から6号まで組まれていて、為替ヘッジありのバージョンは少し遅れて組まれるようになったので1号と2号が出ていますが、ヘッジあり2号とヘッジなし6号からはFellow Financeを介した運用に加えて、エストニアのBondoraというローン業者を介してスペイン、フィンランド、エストニアの個人向けローン債権を購入する案件も組み込んでいます。

このファンドは現在期日より遅れて返済しています。 Fellow FinanceもBondoraも優秀なのですが、好利回りな投資先ということでこれらの市場に投資資金がどんどん集まっているため、早期償還してもっと低い金利でローンを組み直す消費者が増えてしまっているのが原因です。

で、早期償還で戻ってきた資金は本来すぐに再投資されるのですが、すぐに再投資できなかったり、できても当然以前と同じレベルの金利で貸付できていないため、少しずつ平均貸付金利が下がってきてしまっているという状態です。

このファンドは今後も募集があるのかよく分かりませんが、このような市場の状況であるということは念頭に置いておいたほうが良さそうです

バルト三国自動車リースファンド

クラウドクレジットのエストニア子会社がバルト三国で自動車リース事業を行っているmogoからリース料債権を買い取る形で投資するファンドです。現在期日より早期に返済中です。

この投資スキームでは、mogoが所有している自動車をリースしているのでリース料の支払に不履行が生じた場合にはその自動車を簡単に回収して現金化できるようになっています。そのため延滞が61日を超えるとmogoが債権を利息も含めた金額で買い戻してくれる条項までついています。個別債務者のデフォルトがあってもファンドに損失が出ないというわけです。

でもここでも投資資金の供給が増えてきていています。その結果、mogo側が今後は買い戻しをしない方針になったとのことで、買い戻しの条項を入れるのなら金利を下げるという話になっているそうです。

期日より早期に返済されているのは、運用自体はうまくいっているが、早期償還で戻ってきた現金がこれまでの金利で再投資できなくなっているので投資家に戻しているということです。

今後の募集は検討中で、もしかするともう少し低い期待利回りで設定して募集するかも……だそうです。もともとが9~10%くらいの高い期待利回りだったので、もう少し下がっても買い戻しのようなリスク低減のしくみがあるなら投資したい人はいるかもしれないですね。

マイクロローン事業者ローンファンド

クラウドクレジットのエストニア子会社が資金需要者に個別にローン契約を結ぶ形のファンドです。ただ、大部分はロシア、カザフスタン、ジョージア、スペイン、ポーランドの5か国で個人向けに短期ローンの貸付を行っている小口融資事業者であるB社への貸付となっています。

この点では東欧金融事業者支援ファンドと似たような感じで、B社の破綻が一番のリスクとなるわけですが、総利益で言うとB社はA社よりも上回っていて、資産に対する負債も低くなっていますその代わりにB社に対する貸付金利はA社よりも低くなっている状態です。

また、マイクロローン事業者ローンファンドにはジョージアに特化したバージョンがあり、こちらのジョージアマイクロローン事業者ファンドではB社の子会社であるC社への貸付が中心となっています。

C社の収益は多少上下していますがずっと黒字で財務状態は悪くありません。それに仮に経営難に陥ってもB社の支援が見込めます。

マイクロローン事業者ローンファンドに関しては、バージョンを問わず返済期間が来たものがまだないのですが、どれもうまく運用できているとのことです。

リトアニア個人向けローンファンド

クラウドクレジットのエストニア子会社がリトアニアで個人資金需要者と投資家をつなぐP2Pレンディング事業を行っているSAVYに対して貸付を行うファンドです。貸付資金はSAVYによってリトアニアの個人資金需要者に貸し付けられます。 

このファンドも形態上、合同運用となっています。各号に特定の個人向けローンが紐付けされている形ではなく、全シリーズの資金が同じ場所に入っていって運用される形です。為替ヘッジありのバージョンは今のところありません(なぜかは聞くの忘れました、スミマセン)。

こちらのファンドもまだ返済期間が来たものがないのですが、2017年1月10日時点では平均貸付金利が22.21%となっていて、延滞などは想定内でうまく運用できている状態だそうです。

(どの小口債権ファンドでもそうですが、どのような格付けの層にどのレベルの金利で貸し付けるかによって延滞は必ず想定され、その上で期待利回りが計算されています。延滞が起こらないケースはありません。念のため。)

イタリア消費者ローンファンド

クラウドクレジットのエストニア子会社がイタリアのP2Pレンディングプラットフォームを介して個人に対して貸付するファンドです。実際のローンの審査や回収業務はこのプラットフォームを運営しているAgataが行います。

こちらもプラットフォームを介している形態上、合同運用となっています。ただ、今まで2号までしか募集されていません。また、2号とも期日より遅れて返済している状態で、3号を募集する予定も当面はないということだそうです。

どうしてそうなっているかと言うと、このファンドはもともと格付けがDやEの個人を想定していたのにDやEレベルの貸付リクエストがあまりなく、格付けがもっと高い(=貸付金利が低い)A、B、Cに対する貸付件数が増えてしまっているからです。

でも為替的には少しユーロも戻ってきているようなので、為替の影響は遅れるにしたがって減るかもしれません。

まとめ

どうでしたか?

個人的には、今回運用報告会で話を聞いて(1)ここまで細かく情報提供してくれるクラウドクレジットってスゴイ、でも(2)クラウドクレジットはやっぱりちょっと込み入った投資オプションだなぁとしみじみ思いました。

あと、こういう「もともと金利が高い国で貸付するからリターンが高い」みたいな状況は有利である一方、他からも投資資金を引き寄せて需要・供給のバランスに影響し、金利を下げる要因になったりすることも分かって、なるほど~と思いました。

みなさんも今後どのファンドを選ぶか検討するうえで参考にしてください。

ではでは。

 

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