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経済的自由のススメ

タダでもやりたいことで勤労所得を得て、投資で不労所得を得て、それを死ぬまでに全部使い切る、という生き方のススメ

専門スキルが評価されないことを踏まえた戦略を持つべき

この間、専門スキルに関する不条理についてちょっと文句を言いました。

専門スキルにはお金を払うべきだし、専門スキルがある人はお金を要求するべき - 経済的自由のススメ

ホント、専門スキルがあっても妥当な対価が支払われなかったら、人々はどう生計立てればいいわけ?と思うし、この辺の問題を解決したらいろんな意味で社会は良くなるんじゃないかと思うんだけど、そもそもなんで妥当な対価が支払われないのさ?ってことを考えてて真っ先に思ったことがあるので書きます。

ここからはあたしが自分の経験上分かる翻訳(日英)に関しての話になるけど、大きな問題の1つはプロの仕事と素人の仕事の差が分からない消費者がたくさんいるってことだと思う。そして、プロレベルのサービスじゃなくていい状況も実際たくさんあるってこと。

内輪だけで使う、大体分かればいいだけの翻訳のニーズって確かにあるし、そういうニーズを抱えた人ができるだけ安くすませたいのは分かる。実際クラウドソーシングみたいなのがそういうニーズに応えてる。一方、印刷物として世に出るのが前提の、正確で文法的に正しいだけじゃなくて読み物として通用しないとダメな翻訳のニーズも確かにあって、実際にいろんな分野に特化したプロがそういうニーズに応えてる。

この2つがきれいに棲み分けできてれば問題はないんだと思う。プロじゃないとダメな案件はプロにしかるべき料金を払って発注し、そうでない案件は値段を見て発注するってことを消費者ができてれば問題はないんだと思う。

でも、できてない。理由はサービスの品質の違いを理解できるレベルの英語力(または他の外国語力)がないクライアントがほとんどだから。ちょっと英語ができるクライアントは自分は違いが分かるって思ってるかもしれないけど、それほど分かってない。そして、実際ダメな翻訳でも印刷物になっちゃってるケースってたまに見かけることがある。

例えば、この間英語劇を観に行ったんだけど、プレイビルを見てたらスポンサー企業の社長の挨拶の英文が「これ機械翻訳?」っていうくらい酷かった。しかもこの企業の社長はアメリカ人。つまり日本の広報部が日本語で挨拶書いて、それを翻訳して社長からの挨拶として出したってことらしいんだけど、本人が読んでたら絶対OK出なかったよねっていうシロモノだった。そういうちゃんとした英語ができる人がいるはずの職場ですら、ダメダメな翻訳を平気で広報としてプリントしちゃってるわけだから、その辺の純日本的クライアントに違いを分かってもらうことを期待すること自体が無理なんだよね。

地方自治体が自分のホームページでグーグル翻訳を使う仕様にしてるケースもたまに見る。あれ、実際にグーグル翻訳するとワケがわからない訳になることの方が多いんだけど、きっと内部の人は分かんないんだろうと思う。困るのは文句を言えるほど日本語が上手じゃない外国人だけで、一般の日本人はグーグル翻訳のオプションがあることに気づいたとしても、逆に「グーグル翻訳って使えるんだ」って印象受けるだけだろうと思う。そういう意味では、グーグル翻訳でサイトを翻訳する仕様は害でしかない。

そうして違いが分からないだけじゃなく、クラウドソーシングレベルとかグーグル翻訳レベルとかボランティアレベルとかの翻訳でオッケーじゃんっていう認識がどんどん広まり続ける。

あ、でも英日(または他の外国語→日本語)の翻訳だと少しましかもね。正確かどうかを判断できなくても読み物として耐えうる日本語で訳されてるかは評価しやすいから。

 

なんにせよ、こういう消費者が妥当な評価できないようなサービスを提供してる人って、それを自覚して戦略決めなくちゃダメだと思う。自分は何を武器に勝負するのか。あと、この間、テクノロジーの進化に伴う本質的な社会の変化を理解して何を目指すか考えるべきって話もしたけど

新卒フリーランスしたい人もそれを批判したい人も、まずこの本を読め - 経済的自由のススメ

翻訳者は当然、機械翻訳との競争も考えるべき。翻訳支援ツール使うのが前提の分野も既に結構あるし、機械翻訳通してから翻訳者に安く校正させようっていうヒドイ案件もある。フリーランスだと、そして特に新人だと、打診された案件はなんでもやりますみたいなアプローチで行く人結構いるんじゃないかと思うけど、どういう分野でどういう案件を専門にやるかを決めて意識的に仕事選ぶの、大事だと思う。

あたしは個人的には翻訳支援ツール必須の案件とか、チェックや校正の案件とかは受けてなくて、印刷物になる前提のものしか受けていないし、これからも機械に使われたり機械と競争する案件には手を出さないつもり。

でも消費者が区別つけられないせいでこっちまで価格破壊の波は確実に来てる。 あたしが今のところ自分の単価のレベルを下げずにやってこれてるのは、チェッカー(誤訳や訳漏れがないかチェックする人)やネイティブ校正者からの評価がいいし、クライアントからのクレームもほとんどないし、何か言われても自分の翻訳を正当化する説明ができるから、全体の工程で見るとやり直しがなくてコスパ的にまだ行けるからなんだと思う。今後どうなるかは分からない。

専門スキルが正当に評価されないことに対しては怒るべきだけど、その事実を踏まえた戦略もしっかり考えておくべき。