経済的自由のススメ ~そのあと~

経済的自由を得て現役引退したあとの生き方

女たちよ、配偶者控除なんて気にせず稼ぎなさい

みなさん、こんにちは。自分に関係ないことでも気になると調べずにいられない今村です。

実は、日本に帰ってきてからずっと「配偶者控除」っていうのがちょっとひっかかっていました。

女友達なんかが「ホントはもっと働きたいんだけどね~、これ以上働くと控除から外れちゃうから……」みたいなことを話してるのを聞くたび(そしてよく聞くんだ、これが)、「へ????」って感じで、「103万円以上稼ぐとダンナが配偶者控除できなくなるの」と説明してもらっても「はあ????」みたいな感じでよく分からず、「変なの…」とだけ思っていました。

でもこの間改めて「一体何なの、その仕組み?」と思ったので、とうとう調べました、ええ。

最初に思ったのは「なにこれ、こんな仕組みで女性よ輝けとか言ってんの?」でした。

でも、もう少し掘り下げて調べていったら「なーんだ、普通じゃん、変な思い込みなんかしないで、思う存分稼げばいいじゃん」って思ったんですよ。

なので、今日はちょっとこの辺のことを書きます。

アメリカではどうなっているのか

日本のことを話す前に、なぜ今村が「配偶者控除?何それ???」と思ったのかという説明も兼ねて、アメリカではどうなっているのかをちょっと説明します。

アメリカでは、配偶者控除というものはありません。

結婚すると一般的に確定申告はひとつにまとめて出しますが、その場合は共働きでも共働きじゃなくても基礎控除が倍になるという仕組みです。共働きで世帯年収が増えたら当然税金も増えますが、妻も働いて一定以上稼いだから妻の分の基礎控除がなくなるということはありません。

ちなみに、結婚したら確定申告を一緒にしなくてはならないというわけでもありません。事情によっては別々の方がいい場合もあるし、別々の方が税金が少なくなる場合もあるので、一緒にするかしないかはその都度考えます。そして別々の場合は、ふたりとも自分の分の基礎控除だけを受けることになります。子供の扶養控除などはもちろんどちらか片方だけが受けます。

あと、公的年金であるsocial securityは税率12.4%です。会社員の場合、会社が半分払って残りの半分を自分で払うことになります。

それに対して日本では

日本では、結婚しているかどうかに関わらず確定申告は個人で行うみたいですね。

でも、例えば夫のみが働いていて妻には一定以上の所得がない場合、夫の確定申告で妻の分の基礎控除的なものを「配偶者控除」として受けることができる、と。で、共働きで2人とも一定以上の所得がある場合はそれぞれが自分の分の基礎控除受けるということのようですね。

なので、共働きで両者とも一定以上の所得がある場合の基礎控除の考え方は日本もアメリカも同じと言えます。違うのはどちらかに一定以上の所得がない場合。

……とここまで見ると、結婚して家事分担になった人は「配偶者」っていう身分になり、家事しながら頑張って稼ぐと控除がなくなるってどういうことよ?と思いますよね?

もう少し見てみましょう。

年収103万円以下ではなく合計所得金額38万円以下

まず、年収103万円以下という区切りですが、これはパートなどの給与所得だった場合の話で、厳密に言うと、配偶者控除がなくなるのは合計所得金額が38万円を超えたときです。

給与所得の場合、給与所得控除が65万円あるので、年収103万円以下であれば合計所得金額が38万円内に収まる、という意味なんですね。さらに、この38万円というのは基礎控除額です。つまり、給与所得が103万円の場合、所得控除と基礎控除を引くとゼロになるということなんです。

……え?……ということは、パートで働いていて給与所得が103万円に収まっている場合は、基礎控除を受けてさらに配偶者控除を受けられるということでは?だとしたら、家事をしながら頑張って稼いだら不利になるのではなく、普通の扱いに戻るだけなんじゃ?

配偶者特別控除

合計所得金額が38万円を超えたら配偶者控除がなくなるのは本当ですが、その代わりに配偶者特別控除を受けられるようになります

配偶者控除と違って、配偶者特別控除では控除を受ける人の合計所得金額が1,000万円以下であることという条件がありますが、給与所得者であれば年収1,231万円程度となるそうなので、ひっかからない世帯の方が多いはずです。

で、具体的な配偶者特別控除の仕組みは以下の表のような感じになっています。

配偶者特別控除の仕組み

つまり、給与所得で103万円を超えても105万円未満までは控除額は同じ38万円ということです。そして105万円以上になってもいきなり控除がゼロになるわけではなく、145万円未満まで徐々に減っていく形になります。

配偶者の給与所得が104万円から109万円に上がった場合、控除額が38万円から36万円になるので、控除額が2万円減ることになります。これは控除を受ける人にとって、税率20%の場合は所得税が4,000円上がり、税率23%の場合は4,600円上がるということです。5万円収入が増えて4,000円ほど税金が上がる計算ですから、それほど大きな問題には見えません。

104万円から144万円まで上がって控除額が3万円になっても、収入と所得税の関係だけを見る限りでは、収入が40万円上がって所得税が7万円ほど増えるというだけです。

本当の壁はどこに?

こうやって見ると、年間給与所得103万円は壁じゃないように見えます。

まあ、会社によっては家族手当や扶養手当のようなものを配偶者の年間給与所得103万円を基準に支給しているところもあるようなので、その支給額によっては壁に感じるケースもあるかもしれませんが。

でも本質的には103万円は壁じゃないように見えます。

さらに、103万円を超えても控除は合計所得金額の増加に合わせて徐々に減るだけなので、145万円以上になって控除がゼロになると言ってもいきなりそうなるわけではないことを考えると、145万円も壁という感じはあまりしません。

あえて言えば、社会保険料を自分で払わなくてはならなくなる130万円が壁かもしれません。

でもあたしは「もっと働きたいんだけどね~」とか「もっと稼ぎたいなー」という人は「壁」なんか気にしないで働きなよ!と言いたいです。

働くことが自分の人生の過程として意義があることなら、多少税金が増えたって働いた方がいいじゃん!と思うんですよ。「壁」を超える段階では家計が苦しいとかあるかもしれないけれど、ずっと「壁」以下の場所にいるのと、将来的に「壁」なんて全く気にならないレベルまでたどり着いちゃう可能性を比べたら、後者の方が絶対良くないですか?

だからもっと後者を選ぶ人が増えて欲しいです。

もちろん人生にはいろんな優先順位があるから、誰もが自分の働きたい気持ちを優先できる状況にいるわけではないのかもしれないけど、「壁」を「壁」と思ってる自分が「壁」なんじゃないかな。

まとめ

いろいろ連々書いてきて最後に言うのもなんだけど、なんか今年の10月に改正があるみたいですね。力尽きたのでこっちの方まで詳しく調べませんでしたが、なんつーか、「税金が増えて負担になるからこれ以上働けない」って思う人が沢山いる社会っておかしいと思うんですよね。だからこの辺の根本的なところが改善するような改正だといいなぁと思います。

余談ですが、ブログで稼いでいる場合など、雑所得であって給与所得でない場合は必ずしも年収103万円とか130万円とかが区切りにならないので、気になる人は注意してくださいね。