経済的自由のススメ

好きなことで労働所得を得て、投資で不労所得を得て、それを死ぬまでに全部使い切る、という生き方のススメ

一般の個人投資家が日本の株式市場を避けるべき理由

昨日、この記事を読みました。

なぜほとんどの個人投資家が負けてしまうのか - たぱぞうの米国株投資

昨年は個人投資家の4割しか運用益がプラスじゃなかったというニュースを受けて、その理由を考察した記事です。で、たぱぞうさんは

  • 日本市場は1990年代以降の株式の低迷、成長性への疑いから資金の逃げ足がたいへん早くなっているため、経済ショックに弱い
  • そのため短中期の売買が得意で逆張りも厭わない人向けの相場になっている
  • 日銀によるETF買い入れという買い支えがなければもっと大きなボラティリティを示したはず

と述べ、投資のタイミングと対象に加えて投資国も選ぶべきで最も良い選択肢はアメリカだと述べています。

あたしも今まで何回も「日本株苦手……」ということを言ってきましたが、もしかするとアメリカ株に投資したいと考えてるけれど迷っている人の参考になるかもしれないので、なぜ苦手だと思うのか、そしてなぜ苦手を克服しようという気もさらさらないのかについてまとめておきます。

日本の株式市場の良くない点

経済的発展という視点からみたとき、株式市場の意義って何でしょうか?まあいろいろあるかもしれませんが、主なものとしては「価値を生み出すであろう企業に資金が集まり、それらの企業が成長することで経済が潤い出資者も利益を得る」ということでしょう。そういう意味で言うと、日本の株式市場はあまりうまく機能していません。

なぜか?

それは企業の本質的な価値を気にしてる人なんてほとんどいないからです。

つまり、投資家側は企業価値より目先の値動きを重視しているし、企業側も特に資金を効率的に使って成長して株主に還元することを第一目的にしていない、ということです。そんなことないよ!と言われそうですが、アメリカと日本を比べると日本は断然そういう傾向です。

あたしも日本に帰ってきて日本円で稼ぎ出してからは一時期日本株に投資しようと思っていたんですよ。それでアメリカ株の投資のやり方を日本株に当てはめようとMorningstar StockInvestorに相当するような長期投資を前提とした企業価値を評価する情報源を探したんですが、見つかりませんでした。テクニカルな技法の情報ばかり大量にあり、ファンダメンタルズと言っても主に指標数値を見るものばかりでした。あえて言うとひふみ投信とかくらいですかね、企業の本質的なとこを見て投資してるなぁとあたしが思ったのは。

で、あたしが特に「日本の株式市場良くないわ、これは」と思ったのは株主優待と税制度です。

株主優待制度

そもそもなんだってこんな制度を始めたのかよく分かりませんが、ここまで株式市場の意義に反する制度もあまりないんじゃないか、というのが今村の意見です。

だって、おかしくないですか?この制度。

株主優待なんかに資金と労力を注いでないできちんと事業しろ、そして事業に再投資するか配当金を増額するかどちらかにしろ、と言いたい。企業側にすればまともに配当金払うより安くつくから株主優待にしてるんだと思いますが、そういう意識で株主を見ている時点でおかしいし、日本の投資家も投資家でなんでそんなごまかしを喜んで受け入れているのかよく分かりません。それが普通になっちゃってるからなんでしょうか。ちなみにアメリカには株主優待はありません。

まあ、そうは言っても制度はもう既にあるんだし、あるものは活用してやろうと思う投機家がいても当然です。そして人々が喜んでいるんだから株主優待を提供しようと企業が思っても仕方ないかもしれません。日本はそういう文化なんだと言えばそれまでです。

問題は株主優待のせいで起こる、企業の本質的な価値とは関係ない投資行動や株価の動きです。権利確定日前後に起こる売買とか、株自体を所有しないで株主優待だけを獲得するやり方とか、株主優待があるということだけで維持される株価とか、値動きしてくれないと利益が出ない短期投資にはいい環境なのかもしれませんが、本当に経済を支えるために必須となる長期投資にはよくない環境を作っています。

長期投資を推奨しない税制度

もうひとつあたしがビックリしたのは、投資利益に対する税制度です。

アメリカでは、株式は1年以上保有していないと短期投資とみなされてその収入に対する税率は所得税と同じになり、1年以上保有して長期投資とみなされると税率がかなり下がるというシステムです。2016年に関して言うと、所得税は課税所得に応じて10~39.6%ですが、長期投資の収入に対する税率は0~20%なので、もともと低い所得税区分の人は長期投資収入の税金が0になる場合もあるということになります。いずれにせよ、大抵の人は最低でも1年保有しようとします。

日本にはそういう区別はないですよね。デイトレで10万円儲けても1年保有してから10万円の売却益が出ても同じ扱いです。つまり利益さえ出るのなら短期で何度も売買する方が効率的ということになってしまい、株式市場の経済的意義とかけ離れたところでの資金運用が促進されてしまうということです。ついでに言えば、累進課税じゃないですよね?所得が少ない若い頃から徐々に市場に参加して投資を学んでいくのに適した環境じゃないですよね?

最近はNISAや個人型確定拠出年金など、株式市場にお金を集める試みもありますが、NISAなんかは非課税枠が5年とかで、買った時点で「これから5年以内の一番の売り時で売るぞ」という前提になるわけですから、長期投資を奨励しているとは言えません。

長期投資が促進される状況というのは企業が事業に打ち込みやすく、投資家が資金を投入し続けやすい環境です。これこそが多少の経済ショックがあっても持ちこたえる市場を作る必須要素なのに、それが欠けているのが日本の株式市場というわけです。

日本の市場が不利なその他の理由

不労所得の手段として株式投資をしたい、つまりできれば買う時の判断が難しくなくて一旦買ったらそのままある程度の期待を持って放置できるような形の投資をしたい、という一般の人にとって、日本の市場が不利な理由は他にもあります。今、これ書いててパッとあたしの頭に思い浮かぶのは市場の規模と日銀の介入です。

市場の規模

2016年10月時点でアメリカ市場は時価総額23.8兆ドルでした。対して日本は5.2兆ドルです。

Market cap by country

規模が4倍以上のアメリカに比べて日本の方が経済ショックに弱いのは当たり前と言えば当たり前です。同じ大きさの流れ弾に当っても、前者にとってはかすり傷で済むものが後者にとっては致命的になる可能性大というわけです。事故る可能性があると分かっていて高速道路を走るとき、日本の軽トラとアメリカの大型トレーラーのどちらに乗っている方が命が助かる確率が高くなるかというのと同じです。

日銀が介入するような市場だということ

「日銀によるETF買い入れという買い支えがなければもっと大きなボラティリティを示したはず」というのは、つまり

  • 日銀が介入しないとダメだと思われているような市場であり
  • それを許す(というか要求する)政府があり
  • 実際にそれが行われて納得してしまう国である

ということです。これが企業だったらどうですか?政府が介入しなければ存続できない企業があって、介入はしてもらったけれどろくな再編成のプランもなかったら?そんな銘柄に投資しないと思いませんか?きちんと事業して収益出してる企業が他にいてそちらに投資すればいい場合はなおさらです。

そして日銀に介入させる日本政府とそれを許す国民というのは、高血圧とか糖尿病の薬ばかり投入して生活習慣を変えることを重視していない医者と患者と同じです。コーポレート・ガバナンスを改善するために社外取締役の比率を高める法制度を作るとか多少の努力があることは認めますが、薬があるからと思っている時点でマズイです。それに日本の投機家も今後はずっと薬の処方を求め続けるでしょう。

まとめ

経済的発展に貢献する株式市場というのは、企業の本質的な価値をもとにした長期的な投資活動を行う投資家、株主の利益を尊重する企業、そしてそのような投資や事業活動を促進して市場が健全に機能するための制度を整備する政府が必要です。そういう市場であれば理論的には投資も難しくなくなるはずですし、そうやって長期投資が促進されれば資金が流入しやすくなり経済も株式市場も良い方向に向かうはずです。でも、残念ながら日本の株式市場はちょっと違う路線を走っています。

もちろんこれは日本の企業はみんなダメという話ではなく、個別に丁寧に見ていけばきちんとリターンを出してくれる銘柄もたくさんあります。ただ、全体的に見て、日本の株式市場は企業の本質的な価値と関係ないノイズや挙動が多く、長期的な見通しが立てにくいということです。

そういう意味では、あたしのように不労所得の手段として投資したいだけで市場に張り付いていたくない人は日本の株式市場は捨ててアメリカの株式市場に行く方がいいんじゃないでしょうか。勝てる確率がもともと高いところで投資する、これ大事です。

 

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じゃあアメリカ株にはどういう考え方で投資すればいいの?ということも書きました。

アメリカ株に長期的に投資するという考え方

そして、でも運用資産を全部ドルにするのは嫌だし……という人のためにこちらも書きました。

日本円で持っておきたい資金の運用先にはソーシャルレンディングがオススメ

 

 

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米国株投資にオススメなのはマネックス証券

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