お久しぶりです、今村です。
今日はTwitterとElonについて、書きたいことがあるので書きます。
裏ブログになぐり書きするだけにしとこうかと思ったんですが、ちょっと思うところがあったので、久々にこちらで書いておくことにします。
とは言え、ただ単に個人的見解でしかないことを言いたいだけで、「こうするといいよ」「こういう考え方がおすすめだよ」的な話ではないので、気が乗らなければ読まなくてもオッケーです。
てか、ぶっちゃけTwitterとElonに対する批判的な話なので、TwitterファンやElonファンで「批判的なことを言う奴は許せない!」みたいな人は、むしろ読まずにそっとスルーしてください。
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……ということで、これから批判的な話をするんですが、一応言っておくと、あたしはTeslaが成功するより前、TeslaやElonの評価が大きく分かれてた頃から、個人的にはElonを評価していました。Elonのことは人間的にもわりと好きでした。
なので、実際こんなことを書いたり、
こういうところでもElonを引用したり、
こういう話でも一例としてElonを出したりしていました。
でも、Twitter買収の話が出てきてからは、Elonにはがっかりさせられるパターンが増えてきていました。例えばこれ。
その後も
- Twitterの株価がダダ下がりになって買収価格がとんでもなく高い状態になった途端、ごねてなんとか破棄にしようとする
- 裁判を延期させることも回避することもできない状況になった途端、やっぱり買収すると言い出す
- 突然ロシア寄りのウクライナ-ロシア和平案を出す
など、不信感がわくことばかり続いてがっかりしています。
価格的に買収を破棄したくなった気持ちはわかります。でも、ごねて破棄しようとする姿勢には到底感心できなかったし、裁判回避のためとしか思えない突然の気の変わりようも、裁判で証言台に立たされるとマズイようなことをしてるんじゃないかと疑わずにはいられませんでした。
ロシア寄り和平案については、突飛なことを言ういつものElonと言えばそうかもしれないんですが、Ian Bremmer氏に「ElonはウクライナについてPutinと話し合ったと言っていた」とツイートされて「Putinとは1回しか喋ったことはない。18ヶ月前の話だし、宇宙についての話題だった」と否定していたのを見て、ホントかな?と思わずにはいられませんでした。
個人的には、Bremmer氏がこんなことで嘘をつくとは思えないので、
- 本当にPutinとは18ヶ月前に1回しか喋ったことがなく、ウクライナについては話したことがないのに、Putinとはもっと繋がりがあってウクライナについても話し合ったことがあるかのようにElonが話を盛った(Elonならやりそう)
- 本当にPutinとウクライナのことも話し合ったことがあり、それを深く考えずにBremmer氏に言ってしまった(Elonならやりそう)
のどちらかな気がします。後者でないことを祈ります。
これは昔からそうだったので今更言っても仕方ないんですが、とにかくElonには大企業のCEOに求められるような人格や品性、美意識がトコトンないんですよね。
Elonがここまで成功したのは、ElonにCEOとしての適性があったからではなく、「電気自動車普及で気候変動対策に貢献する」とか「火星移住で人類を救う」などの大義名分と、それを遂行するための情熱、実行力、見境のなさがあったからです。自分の大義名分のためならどんな努力も惜しまないし、なんでもする、という姿勢です。
なので、これが彼の強みなのは確かなんですが、今後は、このようなElonの大義名分と、それを遂行するための情熱、実行力、見境のなさが、ある意味、Elonの弱みになるだろうというのが今村の予想です。
ちょっと前にツイートしましたが、
読んだ
やっぱりElonは自分のビジネスを支援してくれるかくれないかっていう子供みたいな基準で物事の善し悪しを断定してるっぽいところあるね
前からElonにTwitter買収させるの反対だったけど、改めてよくないと思ったわ
たとえ本人に悪気がなくてもこの人は利用される https://t.co/TqAY8A5dgE— 今村咲 (@saki_imamura) October 11, 2022
Elonは、自分が大義名分のためにすることはなんでも正義だと思っているふしがあります。何をしても自分の心の中では正当化できちゃっているので強いんですね。ルールを無視する傾向も、そういうところから来ているんじゃないかと思います。
そして、あたしの印象では、このElonの傾向は資産と比例して強化されてきています。
Tim Ferrissがこんなことを言ってましたが、
【今日の言葉】
— 今村咲 (@saki_imamura) July 29, 2021
"Money doesn't change you; it reveals who you ae when you no longer have to be nice." - Tim Ferriss
(お金は人を変えたりしない。愛想良くする必要がなくなったときにその人の人間性を明らかにするだけだ)
Elonもまさにこれ!と思います。
なんにせよ、こんな状況なので、「これは犯罪ではない」+「大義名分のためになる(または、大義名分のためにならないことを回避できる)」と説得できれば、Elonにつけ込むのはあまり難しくなさそうです。また、今回の買収で130億ドルの負債を抱え込んだので、このアングルからつけ込むのも簡単そうです。
一方、Twitterという情報拡散マシンを手にしたElonを利用したい人、企業、国家は、今後たくさん出てきます。これは確実です。
コバルトやニッケルを交換にロシアが何か持ちかけて来たら?
世界で2番めのTesla市場である中国に脅迫されたら?
個人的には、Elonはわりとすんなり折れるんじゃないか、という気しかしません。
なんせ「言論の自由!」とか言っているくせに、それと真逆でなんなら都合の悪いジャーナリストは殺してしまうサウジアラビアを自分に次ぐTwitter大株主として迎えること*1には全く矛盾を感じていないようなので。
自分で言っているほど本当は言論の自由を重視していないのか、言論の自由もElonの大義名分の前では意味をなさなくなるのか、言論の自由の定義自体がものすごく歪んでいるのか、どれなのかは知りませんが、どれだとしてもダメだこりゃです。
てか、こういう↓「情報のクオリティに関係なく言ったもの勝ち」的な行動を見ていても、
しかも「フェイクニュースを流すことで知られてるメディアのリンクをツイートした」としか言ってないNYTimesを切り取って「NYTimesのリンクなどツイートしてない、これはフェイクだ!」と捻じ曲げて自己防衛している
— 今村咲 (@saki_imamura) October 31, 2022
結果、悪者はNYTimesだと真に受ける信者が出ている
これが言論の自由?😡 pic.twitter.com/q86g24yIh3
Elonの考える言論の自由とは、何を言ってもいい自由なんだろうなと思わざるを得ません。
また、Elonは、言論の自由を「Twitterが公共広場である限り、言論の自由がないと民主主義が台無しになる」という文脈で語っていましたが、
Twitterの認証は今後は月額8ドルのTwitter Blueで提供するという話を見ていると、辻褄が合っていなくて「は?」と思ってしまいます。
いや、Twitterが収入源を必要としているのはわかるし、認証の手数料くらい取っても構わないだろうとあたしも思います。でも、
Twitter's current lords & peasants system for who has or doesn't have a blue checkmark is bullshit.
Power to the people! Blue for $8/month.
(青のチェックマークがあるかないかで「王様」と「平民」に分かれる現行システムなど馬鹿げている。人々に権力を!ツイッターブルーは月々8ドル。)
チェックマークがツイッター民を本当に王様と平民に分けていたのは初耳だったし*2、たとえそれが本当でも、その解決策が権力を分け隔てなく与えることではなく、お金を払った人にだけ権力を与えることだという言い分はちょっとイミフです。
認証マーク以外の特典もおかしいです。
You will also get:
-Priority in replies, mentions & search, which is essential to defeat spam/scam
-Ability to post long video & audio
-Half as many ads
(それ以外の特典は:
ースパムや詐欺に勝つため必須である、リプ、メンション、及び検索で優先される
ー長い動画や音声を投稿できる
ー広告が半分になる)
2つ目、3つ目は普通の特典なので、お金を払って手に入れるもので良いと思います。
でも1つ目は?お金を払った人と払わない人で表示の優先順位を変えるのが民主主義を守る言論の自由なんですかね?
そもそも、営利なのにTwitterを民主主義を守る世界の公共広場と位置づけるのが無理なのかもしれません。逆に、最初からお金を払って情報拡散して自己ブランドを確立する場という位置づけであるなら、優先的表示を月々8ドルで提供しても全然おかしくないです。でもブランディング的にはそうじゃないんですね。
いずれにせよ、問題は、Elonがこういう矛盾を華麗にスルーしているということです。気づいていないのか、矛盾だと思っていないのか、確信犯なのか、なんなのかわかりませんが、こういう人がTwitterを支配することになった、ということだけは覚えておく必要がありそうです。
あと、今後はこういうのがすべて、上場時にあった諸々の足かせがない状態で行われるのだ、ということも。
要は、積極的に対策しないと、気づかないうちに目に入ってくる情報のクオリティが下がる可能性があるということです。
今日、一応こういうニュースもありましたが、
ルール違反でTwitterを追放されたアカウントを再許可する件について、公民権団体のAnti-Defamation LeagueやNAACP、メディア改革推進団体のFree Pressの代表者らがElonに直談判。この後、Elonは「明確なプロセスが決定するまで再許可はなし、2~3週間はかかりそう」とツイートhttps://t.co/xhJSLuqCgV pic.twitter.com/5sRZFBXl1C
— 今村咲 (@saki_imamura) November 2, 2022
Twitterをもっと人が対立する場にして利益を得たい人たちも、これと同じくらいElonに圧力をかけるために動いていそうな気がします。
やれやれ……。