こんにちは~~。今村です。
最近、こんなツイートを見ました。
モチベーションは自己生成するべきものだと考えているので、指導者はモチベーションについては触らないというのが私の考えです。 #peing #質問箱 https://t.co/j9hcgZxdpZ
— Dai Tamesue (為末大) (@daijapan) August 16, 2019
で、「えーっ!?」と思いました。
「いやダメだよ、教えなくちゃ。教えようよ!」と。
為末さんが言っていることはわかります。
あたしもモチベーションは最終的には自分で見つけて維持していくべきものだと思うし、人それぞれ違うから第三者が口出しするものでもないと思います。
でも、モチベーションは自己生成すべきものだと認識し、なおかつ自分なりのやり方を確立している若者なんてあんまりいないんじゃないですかね?
そこのところをまず一通り教えてあげるのが大人の役目なんじゃないですかね?
そのうえで、実際にその若者がどうするかには口出ししないスタンスを取るべきなのでは?……と思ったのです。
なので、なんでモチベーションについて教えるべきなのか、そして実際にどのようなことを教えるべきなのか、ざっと今村の意見を書いておきます。
賛同するかは別として、子供がいる人や指導者の立場の人はぜひ一読して考える材料にしてください。
また、どうやって自分のモチベーションを見つけて管理すればいいのかわからないという人も参考に読んでいってください。
なぜモチベーションについて教えるべきなのか
今村は日本の学校教育についてはあんまり詳しくありませんが、子供が学校で直接的かつ体系的にモチベーションについて教わる機会ってほとんどないんじゃないかと思います。
「努力」とか「粘り強さ」とかは教えてるかもしれません。
でも、それだってメリットや発揮すべき時と場所の見極めという実践的観点からではなく、単に美徳として教えてるだけだったりするんじゃないですかね?
そんな状況下で育った若者に対して、自分で勝手にモチベーションを見つけて管理することを期待するのは無理な話です。
日本では「見て学べ」っていう考え方が根強いので、もしかするとモチベーションに関しても見て学ぶものだという考えなのかもしれません。
個人的には、そういうのは非合理で非効率で意地悪な考え方だとしか思えないんですが、100歩譲ってその手法で行くのなら、少なくとも「外からのモチベーションを待っているのではなく、手本になりそうな人を見つけて自分でモチベーションを探すやり方を学ばなくてはダメだ」くらいは教えてあげないとダメです。
年を重ねると忘れがちですが、人はみな、最初は自分が何を知らないのか知らないものなのです。
あと、今と昔は色んな意味で状況が違います。
高度成長期で国全体が同じような方向に向かっていた時代じゃないので、成功の形とか、夢とか、モチベーションのあり方も多様化しているわけです。
また、インターネットのおかげで情報も溢れかえっています。
こう言うと、「ググればなんでもわかるし、何でもアリなら楽じゃないか」と言いたくなるかもしれませんが、それは自分が求めているものが何なのかを明確に理解している場合だけです。
何に取り組み、どのあたりを目標にすべきなのかというところからわからないケースでは、情報や選択肢はあればあるほど害だったりします。
基本がわかっていないと「勝手に見て学ぶ」のは難しいのです。
どのようなことを教えるべきなのか
じゃあ基本って何だ?何を教えておくべきなのか?って話ですが。
もっとあるかもしれませんが、とりあえず押さえておくべきだと思うことを挙げておきます。
モチベーションの見つけ方について
種類
モチベーションには外的なものと内的なものがあり、それぞれ恐れ(罰)をベースにしたものと喜び(報酬)をベースにしたものに分けられます。
例えば「売上を伸ばしたい」というモチベーションなら
- 売上が伸びなかったら上司にこっぴどく叱られる(外的・恐れ)
- 売上が伸びたらボーナスが出る(外的・喜び)
- 売上を伸ばせないようなヤツは能無しだ(内的・恐れ)
- 売上を伸ばせたらすごいかも!(内的・喜び)
みたいな感じで、ざっくり4つの切り口から考えることができます。
「期待に応えられなかったらどうしよう?(外的・恐れ)でも応えることができたら最高かも!(内的・喜び)」みたいに組み合わせになったモチベーションもあります。
効果
どのモチベーションが一番合うかは、ケース・バイ・ケースですし、人それぞれです。
締め切りギリギリまで待ってプレッシャーを感じるのが最高のモチベーションになる外的・恐れ系の人もいれば、おだてられれば何でもやっちゃう外的・喜び系の人もいます。
また、自分で納得できないとやる気が出ない内的・喜びオンリー系の人や、自分はダメな奴だという前提ばかりで動く内的・恐れ系専門の人もいます。
ただ、長い目で見ると、恐れをベースにしたモチベーションばかりの環境は精神衛生上よろしくないです。
それに、外的なモチベーションだけで並以上の結果を得るのは結構難しかったりします。
そういう意味で、一番健全で長続きするモチベーションは内的・喜び系です。
そして、その中でも最上級・最強のモチベーションになるのは、やはり自分の魂が望んでいることです。
なぜかと言うと、何かを極めたり何かで大きく成功するためには「さぼらずにやろう」とか「人並みに頑張ろう」レベルではなく、自分を根本から突き動かすくらいのモチベーションがないと壁が立ちはだかったときに乗り越えられないからです。
モチベーションというものは究極的には自分で見つけなくてはいけない、自己生成しなくてはならない、というのはつまりそういうことです。
モチベーションの実践について
目標設定
モチベーションの源になるものを見つけたら、目標設定が必要です。
そしてここで重要になるのは、その目標を「ちょっと頑張らなくちゃ届かないけど不可能ではないレベル」で設定することです。
いくら熱狂的に「◯◯がしたい!」とか「◯◯になりたい!」と思っても、今の自分には到底無理なことだったらモチベーションはすぐに下がってしまって続きません。
なので、モチベーションを上げてそれを維持するには、「◯◯するにはBが必要、そしてBにたどり着くにはまずAにたどり着かなくてはならない」と道のりを分割し、今の自分が頑張れば達成できるところを最初の目標にすべきです。
頑張れば達成できそうな目標を立てれば、その時点でモチベーションは上がります。そして、目標が達成できた時点でまたモチベーションが上がるので、このサイクルを回していけばモチベーションが維持しやすくなるわけです。
一気に最終目標までたどり着く必要はない、と教えるべきです。
実力や目標の難易度評価
ほどよい目標設定をするためには、自分の実力や目標の難易度を客観的に見る目も必要になってきます。
でも、初めて何かに挑戦する場合、どの辺りを目標にすれば良いのか本人には見当がつかないこともあります。
なので、指導する側が「まずこの辺を目標にしてみろ」とか「こんな感じで目標にすべきレベルを探ってみろ」みたいなヒントを何か出してあげるといいんじゃないかなと思います。
比較対象
これは自己肯定感にも関わることですが、何と比べて目標設定や途中評価を行うかというのもモチベーションを上げたり維持したりするポイントになります。
本当に実力が同じレベルで目指すものも全く同じだからこの人には負けたくないというケースや、目標となる相手の努力の仕方や使っているツールなどを研究したいというケース以外では、他人と比べることが自分の役に立つことはあんまりありません。
一番良い比較対象は過去の自分です。
自己肯定感を培いモチベーションを保つためには、「自分は進歩しているのか」というところに注目しなさいと教えるべきです。
モチベーションの組み合わせ
上でもちょっと触れましたが、モチベーションはいろいろ組み合わせることができます。
なので、例えば「◯◯したい!」というモチベーションがあったら、それを応援してくれそうな友人に語って「宣言したからには絶対やり遂げなくては!」というモチベーションを作ったり、「今年中にはここまでやる」と締切をモチベーションにしたりしてモチベーションを上げたり、目標設定から目標達成までの間のモチベーションを維持する工夫も可能です。
「できないなぁ」ではなく「できるためにはどう工夫したらいいかなぁ」と考える癖をつけることを教えたいところです。
まとめ
この辺りを理解した上でアレコレ試してみるのと、なんだかよくわかっていない状態で当てずっぽうに試行錯誤するのでは、雲泥の差です。人生の効率と学びが変わってきます。
だから、自分より若い人に教える機会がある人は教えてあげてください。
最終的には自分で試して自分でやらなくちゃいけないけど、この辺のことを踏まえてやれば楽だぞ、と。