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クラウドクレジットのファンドを理解する:延滞債権投資のしくみ

ちょっとご無沙汰してました。なんかやたら忙しくて。周りで勝手にいろいろなことが起こっていて対応せざるを得ないから対応するんだけど、実は仕事も忙しいんだよ、納期迫ってるんだよ、でもそれとは別にやりたいことも山ほどあるんだよ、こんなことしてたらいつまでたってもできないじゃん、もーっ!……という生活をしておりました。1日24時間じゃ全く足りないんだけど、それはあたしの力では変えられないし、こりゃ何か対策を考えないとダメだわ、としみじみ思いました。

 

さて、そういうわけで(?)とりあえず一息ついたら書こうと思ってたことがあるので今日はそれについて書きます。クラウドクレジットの延滞債権投資のしくみです。

クラウドクレジットって?という人はまずこちらを読んでから戻ってきてください。

クラウドクレジットでファンドを買いました

なぜ延滞債権投資について説明したいのか

今あたしがソーシャルレンディングの会社の中で一番注目してるのはクラウドクレジットです。他の会社とちょっと毛色が違っていて面白いなぁと思うので。

日本のソーシャルレンディングのファンドって、ほとんどが不動産事業者に不動産を担保として貸し付けするタイプなんですよ。あとは中小企業の特定の事業に担保や保証をつけて貸付するタイプ。そんな中、クラウドクレジットだけは延滞債権投資とかトレードファイナンスなんかを使ってファンドを組んでいます。

実はあたし、アメリカで企業勤めしていたときに延滞債権とか滞納料金の回収業務に間接的に関わる機会があったので少し分かるんですが、延滞債権回収って意外と利益率が悪くないビジネスなんです。なので、それをソーシャルレンディングに組み込んだクラウドクレジットって面白いと思うんですよ。

でも、そもそも延滞債権の回収とか投資のことを知ってる消費者なんてあんまりいないでしょう?それに加えてクラウドクレジットって投資先が全部海外(しかもマイナーな場所)だから資金を海外の子会社に送ってそこから海外の提携会社へ投入、なんて感じで実際に結構ややこしいことをしています。

そういう意味では、この会社のファンドって他の会社のファンドに比べて分かりにくいんじゃないかなぁと思うんですよね。でもその一方、一旦仕組みを理解できるとその辺の不動産ファンドより検討しやすいんじゃないかなぁとも思うわけです。

なので、どうして延滞債権投資がお金になるのか説明します。

延滞債権の回収業務

消費者ローンでもクレジットカードの支払いでも月々の料金の支払いでもみんな同じですが、相手がきちんと定期的に入金してくれている限り、主な業務は請求書の発行と入金の確認だけです。でもこれが段々延滞してくると、延滞のレベルに応じて業務の負担が増えてきます。最初は自動的にペナルティを課して要注意ケースとして監視する程度だったのが、催促の手紙や電話などにエスカレートしていくからです。場合によっては回収を専門とする業者に外注したりすることもあります。

どこまで自社でやるかというのは業種やローンの種類にもよりますが、最終的にはもうこれ以上回収努力にコストをかけられないというところまできてしまいます。人件費はもっと回収率がいいところで使ったほうがいいわけですから。

そうなったとき、会社としてはなんらかの処置が必要になります。特に銀行なんかだと未回収の債権がバランスシートに残っていると新しい貸し付けができなくなるので、1)貸し倒れとして損金処理するか、2)延滞債権として第三者に売ってしまうかのどちらかを行うことになります。で、そうすると、やはり第三者に売って多少でもお金になったほうが良いかな、ということになるわけです。

延滞債権の買取

こう見ると、債権回収業者が延滞債権を買い取るのはリサイクル業者が不用品を引き取るような感じなのだと分かります。実際に債権の額面の何%で買い取るかはモノによって違うと思いますが、売り手からするとほぼ回収不可能のゴミ債権ですのでとにかく激安価格です。ちなみに、クラウドクレジットのペルー小口債務者支援プロジェクトファンドの場合、額面の数%で延滞債権を購入しているそうです。

でも、不用品を現金化するノウハウを持っているリサイクル業者が送料を負担してでも不用品を引き取りたいのと同じで、延滞債権を回収するノウハウがある債権回収業者からするとゴミ債権はそれほど「ゴミ」ではなく、多少お金を払っても十分リターンを見込める資源です。だから売買が成立するわけです。

延滞債権の回収

そういう業者ってもしかしてヤクザみたいな人たちなんじゃないの?と思うかもしれないですが、そんなことはないです。ここでポイントになるのは、激安価格で債権を買い取った時点で一定のリターンを得るために必要な回収金額がリセットされているということです。例えば、100万円のローンで10%のリターンを得るためには110万円回収しなくちゃいけなかったところが、その債権を10万円で買った場合、11万円回収できれば10%のリターンが出るという計算になります。つまり、何をどう頑張っても110万円も返済できないっていう人でも11万円まで減額されたら払えるかもしれない、という考え方です。

なので回収業者は「債務者の状況や境遇を聞き出して資金管理などのアドバイスをしながら、減額したうえでその個人に合う返済方法を提案する」というような路線で回収を図ります。で、銀行口座の引き落としや給料の天引きで支払うと約束できるなら月々◯◯円の支払いでいいですよとか返済期間を延長しますよとか交渉したりするわけです。

もちろんそれでも回収できないケースは出てきます。でも、このような業務を専門に行っている会社は、蓄積された消費者のローン返済状況のデータをもとに結構具体的な見通しをたてることができるので、最初から「この価格でこの手の債権をこういう信用格付けの消費者層から買い取った場合、最終的に大体◯%は貸し倒れるから、残りから額面の△%回収できれば✕%のリターンになるな」というところまで計算してるんですね。つまり、全部から回収できるとはそもそも思っていないわけです。10万円で買った債権が10個あった場合、全部から11万円ずつ回収しなくても5つから平均12万円回収できれば全体的には10%のリターンになるので半分が貸し倒れるという想定で構わないということです。

延滞債権の投資

上でちょっと触れましたが、クラウドクレジットが延滞債権に投資して組んでいるファンドはペルー小口債務者支援ファンドです。具体的には、ペルー現地の子会社であるクラウドクレジット・ペルー経由で回収業者に代わって銀行から零細企業や個人の延滞債権を額面の数%で購入し、実際の回収業務は現地の債権回収業者であるコブランザス社に委託したうえで約3年間かけて購入価格の1.5倍の回収を目指すという形をとっています。この仕組みによりコブランザスは債権を購入するための資金繰りをする必要がなくなり、クラウドクレジットはコブランザスのコネクションやノウハウを利用して債権を購入し回収業務もコブランザスに任せることができるというわけです。

まとめ

どうですか?一旦理解するとわりとなるほどと思えるビジネスモデルじゃないですか?

不動産案件に直接融資するファンドって、仕組み的には分かりやすいけれど融資先の不動産業者が誰なのか分からないから投資選択としてどうなのか結局はよく分からないケースが多い気がします。でも、例えばこういうクラウドクレジットのペルーの延滞債権のファンドって、間に債権回収業者が入ったりしていて仕組み的には少し分かりにくいけれど、一旦仕組みさえ分かれば業者が誰かは分かるから不明要素が減って投資選択として逆に検討しやすいと思うんですよね。

……ということで、投資を検討するときの参考になればうれしいです。

 

他のソーシャルレンディングの会社と比較したいという人はこちらを参考にしてください。

ソーシャルレンディングの会社比較:2016年版(Part 1)

 

とりあえずクラウドクレジットに登録したいという人はこちらからどうぞ。