経済的自由のススメ ~そのあと~

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Google翻訳について翻訳を生業としてるあたしが言いたいこと

こんにちは~。また話題がワンテンポ遅れている今村です。

いや、新しいGoogle翻訳が導入されて、すぐに思ったことがあったので書き始めてはいたんですよ。でもどうしてもうまくまとめられなくて、毎日書いては消してたんです。翻訳について書こうとすると「これも説明したい」と思うことがどんどん出てきて収拾つかなくなっちゃうのです。

……というわけで、今日は4回目のトライです。でもまた収拾つかなくなってまとまらない可能性もあるので、先に要点を言っておきます。 

今後Google翻訳を使いたい・もっと使いたい人は、意識して質の良い文章を別途きちんと摂取するように心がけることが必要です。 

「ああ、なるほどね」とこの時点で分かった人は、きちんとまとまるかも分からない今村の説明なんて無視しちゃってOKです。あなたは大丈夫です。

え、どゆこと?と思った人は、きちんとまとまるか自信がありませんが、頑張って説明しますのでちょっと読んでいってください。

進化してきているGoogle翻訳

知らない人もいるかもしれないので一応述べておくと、Google翻訳はニューラルネットワークを使って文章ごとに翻訳を行うようになりました。

以前はフレーズごとに翻訳していたので、フレーズをつなぎ合わせてなんとか意味を理解することができても、文章としては全く成り立っていない訳文が多くありました。

でも、文章ごとに翻訳されるようになり、それがかなり改善したというわけです。

これに対する世間一般の評価は、あたしがざっとググった限りでは「Google翻訳スゴイ!使える!」みたいなものから「どれだけ精度が上がったと言われても全ての文章を正確に訳せるわけじゃない」みたいなものまでわりといろいろでした。でも、なんだかんだ言ってもやっぱり「Google翻訳スゴイ」派が多いかな、という感じです。

今村も自分でいろいろ試してみましたが、全体的に見ると、新しいGoogle翻訳は確かに以前より良くなっているし、今後の可能性を感じさせます。

でも、細かく見ると、事実や手順などを事務的に述べているだけの一般的な文章に関してはかなりいいところまで行っている一方、文脈や背景をもとに行間を読んで情報を補足しなくてはならない文章や専門的で用語だけでなく言いまわし自体も独特な文章に関してはまだダメ、という印象でした。

ずっと目指していた東大合格をとうとう断念した「東ロボくん」の弱点が行間から情報を読み取る読解力だったというニュースが最近ありましたが、Google翻訳の現在の弱点も要はそんな感じです。

まあ、行間を読むことができなくても、例えば「こういう文章のときは高確率で行間的な意味はこれ」みたいな対応ができるようにするとか、方法はいろいろありそうなので最終的には克服するかもしれませんが。

Google翻訳が進化して起こること

さて、そういうわけで、確実に進化しているけれど現時点ではさらなる進化が必要なGoogle翻訳ですが、ぶっちゃけ現時点のレベルで十分というケースもたくさんあります。というか、今後はそちらが大多数になるんじゃないか、というのが今村の見解です。

昔に比べ、今の世の中には情報が溢れています。

溢れかえった情報を整理するためのキューレーションもたくさんありますが、それでも人々が消費する情報量は増え続けているし、結果として1つの情報を消費するのに費やす時間もどんどん短くなっています。SNSのおかげで、賞味期限が短い情報もどんどん世の中に出回っています。

そうなると、「大体言ってることが分かればいい」というケースが増えるのは当然です。そして、

  • Google翻訳が「大体言ってることが分かればいい」というレベルのニーズにかなり応えられるようになる

                    ↓

  • 今まで日本語じゃないからという理由でアクセスされていなかった情報へのアクセスが簡単になる

                    ↓

  • 情報消費量がますます増えて「大体言ってることが分かればいい」というケースがさらに増える

                    ↓

  • Google翻訳の需要がさらに増える

……というサイクルが出来てくるんじゃないか、というのが今村の予想です。

結果、人々が個人でGoogle翻訳を使うケースだけでなく、Google翻訳を使って作成された文章が出回り、好む好まぬにかかわらずGoogle翻訳を間接的に使うケースも増えるんじゃないかと思います。

Google翻訳を使う人がすべきこと

ここでもう一度考えなくてはならないのは、Google翻訳の現在の品質です。

「大体言ってることが分かればいい」というニーズをGoogle翻訳が完全に満たしてくれている場合でも、現在の翻訳が「文章ごとに直訳」的であることには変わりありません。

人生なんでもそうですが、良いものをお手本にしていないとなかなか力はつきません。逆に言うと、悪い例ばかり見ていると自分の力も低下してしまいます。

そういう意味では、何も考えずにGoogle翻訳で出てきた文章ばかり読んでいると、言語能力は確実に下がります。

ざっと読むだけだとしても、きちんとわかりやすく書かれている文章と大体言ってることが分かればいいレベルの文章を比べると、後者で得る情報の質はやはり落ちますし、その結果、それを読んだことに伴う思考のレベルも、きちんと書かれたものを読んだときより落ちてしまいます。

だから、Google翻訳を使う人は、良質な文章を別の場所で読む必要があるのです。

また、思考力を鍛えることも必要です。

そもそも日本人は、自分なりにきちんと考えて、きちんと伝わるように表現するということがあまり得意でありません。

日本語は、結構曖昧な言語です。文脈によって主語や目的語が省かれるのは普通ですし、カタカナ語をバンバン取り入れて雰囲気だけで物事を述べることもしょっちゅうです*1

また、日本人同士のコミュニケーションが明示的じゃないことも多々あります。

つまり、Google翻訳的な曖昧さを深く考えずに受け入れてしまうような土台がもともとあるわけです。意識しないと、知らないうちに能力低下しやすいのです。

 

あと、Google翻訳を使って外国語のものを読むだけではなく、自分が書いたものを外国語に翻訳して読んでもらおうと思っている場合、機械翻訳がうまく機能するためにはきちんとわかりやすい日本語の文章が前提になるということ覚えておいてください。

明確な日本語の文章を書く必要がある、ということです。

まとめ

Google翻訳が使えるようになってきたことで多言語のの情報源も使えるようになり、情報源が増えました。

日本国内だけの情報源だとどうしても偏ってしまう傾向があるので、これは大いに利用するべきです。

でも、Google翻訳の強みと弱みを理解し、ツールとしてどの部分が自分に役立ってどの部分が自分によくない影響を与えるのか考えて使う必要があります。

なので、Google翻訳的な「大体分かればいい」ようなものばかり読んでいて頭が錆びつかせないためにも、是非意識して良いものを読む機会を増やしてください。

 

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追記:補足記事書きました

Google翻訳を使う時の注意点と質の良い文章についての考察

*1:こういうのが、日英翻訳の特に面倒な部分です