経済的自由のススメ ~そのあと~

経済的自由を得て現役引退したあとの生き方

現金を確保しながらもなるべく多くの貯蓄を運用にまわす「ラダリング」のススメ

適正年収の話で、「子供2人の家族で年収550万円だとそもそも貯蓄残高がそれほど高くなく、資金運用するにしてもそれに割り当てられる金額が少ないため、望ましい結果が得られない」という実証をしました。

日本で子供2人を育てる適正年収、資金運用してもやっぱり550万円じゃダメだった。でも・・・

そのときに、貯蓄残高の何%を運用にまわすかという設定を(特に根拠もなく)「500万円未満なら30%、500万円以上なら50%」としたんですが、あたし個人としてはもっとたくさん運用にまわしていると言いました。

それでですね、今日はどのくらい現金(普通預金残高)を残しておくべきなのかということと、残しておく現金が少なくてすむように今村が実践しているラダリングのやり方について話します。

どのくらい現金を置いておくべきか?

どのくらい貯蓄を運用にまわせるかは、どのくらいの資金を現金としてすぐに引き出せるように持っておく必要があるかによります。ではどうやってその額を決めればいいのか?

ここで考えるべき設定は大きく分けて2つあります。ひとつは失業したり病気や怪我などで一時的に働けなくなった場合、もう1つは収入のある無しに関係なく大きな出費や不意の出費に対応しなくてはならない場合です。

職を失ったり一時的に働けなくなって収入が途絶えるケース

収入が途絶えるケースで考えなくてはならないのは生活費です。アメリカではよく「失業したときのために3~4ヶ月分の生活費をすぐに現金として引き出せる形で持っておくべき」と言いますが、これは次の職を見つけるまでに少なくとも3~4ヶ月かかるということを見込んだ考え方です。日本で再就職するのに一般的にかかる時間がどのくらいなのかはあたしにはよくわかりませんが、失業したり怪我や病気で一時的に働けなくなったとしたら自分はどのくらいで復帰できそうか考えます。

また、例えば3~4ヶ月だと想定したとしても、じゃあ実際に今の時点で3~4ヶ月分の生活費をキープしておくのかと言うと、それはそもそも失業する可能性が高いのかや怪我や病気のリスクがある生活をしているのかによります。この先6ヶ月、1年、と考えてみて可能性が低いと思えるなら、例えば今の時点では1ヶ月分にしておいてのちのち状況が変われば増やすということにしてもいいかもしれません。

今の仕事の給与や売上の締め日と支払日も意識すべきです。この2つが近い場合、職を失うと収入もすぐに途切れることになります。逆に締め日と支払日が離れている場合、職を失ってもまだ未支払いの給与や売上があるのでしばらく収入は途切れません。タイムラグが短い場合はすぐに現金が必要になりますし、長ければタイミングを見計らって証券などを売って現金を作るということも可能、というわけです。

あと、失業保険を受給する条件を満たしているかによっても、今の時点の蓄えの必要性が変わってきます。条件を満たしている場合は、万が一職を失っても保険金との差額を補う分の現金があれば良いということになります。そうでない場合は、今の時点では備えを多めにして、条件を満たした時点で減らすことを検討するようにすれば良いでしょう。

大きな出費や不意の出費に対応するケース

税金や保険料などには、毎月支払わないけれど支払うときは額が大きかったりするものがあります。毎月支払わないので生活費として考えていないケースも多いと思いますが、支払う必要があると分かっているものなので備えが必要です。

細かいやりくりが面倒な場合は上記の「収入が途絶えたときのための生活費」に上乗せして常時持っておくのが一番簡単ですが、そうでない場合は支払いがある月に合わせてボーナスなどの基本給とは別の収入で補っていくなど、いろいろ工夫ができそうです。

これに加え、病気や怪我、冠婚葬祭、車や家の修理やメンテ、家財や家電の修理や買い替えなど、不意の出費もあります。いくらくらい必要なのか知るのに一番いい方法は、平均してどのくらいそのような出費が過去にあったのか調べることです。

貯蓄をできるだけ多く運用にまわすには?

さて、どのくらい現金(普通預金などすぐ下ろせるもの)があれば安心か、なんとなく見当がついてきましたか?では、その安心レベルをキープしながらできるだけ貯蓄を運用にまわすにはどうしたらいいのでしょうか?

ここで今村がみなさんにお勧めしたいのが「ラダリング」です。

ラダリングとは?

資金運用のコンテキストで言う「ラダリング(Laddering)」とは、満期日をずらした複数の金融商品をはしご(ladder)のように組み合わせることです。

例として下の図を見てください。1年目に資金を5つに分けて1年~5年の定期預金を作ったのち、2年目には満期を迎えた1年定期で2つ目の5年定期を作り、3年目には満期を迎えた2年定期で3つ目の5年定期を作っています。途中で現金が必要になって満期になった定期を使ってしまわない限り、延々と満期を迎えた定期で次の5年定期を作り続けます。

laddering

こうすることによって得られる利点は2つあります。

  1. より高い利率で資金を運用できる(理論的には長期になればなるほど利率が上がるはずなので、毎年5年定期を増やしていくことによって、普通に1年定期を毎年更新するより高い利回りが期待できる)
  2. 毎年どれかが満期を迎えるので、なにかあったときのための資金として使うことができる

つまり、ラダリングすることで、現金(普通預金)で持っておく必要がある金額を減らして運用資金を増やせるわけです。

実践例その1:今村のUSドル資産

現在、あたしの資産の75%はUSドルでアメリカの口座にあります。でも自分は日本にいてUSドルを使うことがほとんどないので、理論的には全額運用していて構わない状態です。そして実際、ほとんどを証券で持っています。でもいい銘柄が安くなったときにすぐに買付けできるように常に現金も持っておきたい。その一方、全額運用していないときはそのまま現金で持っていたくない。なので、定期預金口座のラダリングと証券口座をマネー・マーケット口座で繋ぐ形にしています。

USD schedume

証券口座内では自由に市場の状況に応じて証券の売買をします。その際、証券口座内の現金を一定レベルにしておくため、マネー・マーケット口座から現金を補充したり逆に戻したりします。マネー・マーケットというのは定期預金と普通預金の間のような口座で、一定期間に出金できる回数が限られている分、普通預金より金利がいいという口座です。今、金利0.85%です。

投資したい銘柄が足りなくて現金が余っている場合、マネー・マーケット口座に現金のままに置いておくのはもったいないので、市場の状況に合わせて定期預金のラダリングをしています。6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月の定期で始めて、今は18ヶ月定期が3つ、6ヶ月ごとに順番に満期になるようになっているので、6ヶ月ごとに額面を増やしたり減らしたりして調整しています。こちらは今、金利1.3%です。

こうして証券口座内で「遊んでいる」現金を最小限にしているわけです。

実践例その2:今村の日本円資産

日本円に関しては、日本株が苦手ということもあって長い間きちんと運用できていない状態でした。でも最近ようやくソーシャルレンディングをメインにしてそれ自体でラダリングするという方向性が決まってきました。やり始めて間もないのでラダリング自体はまだ穴だらけですが、現時点でここまでできています。

social lending laddering

つまり、毎月なんらかのファンドが満期を迎えるようにラダリングしようという戦略です。元利均等で分配されるものは、いい案件がなくて穴が埋まらない場合でも多少は分配があるようにするため買っています。だた、満期一括としているファンドも収益だけは毎月分配したりしているので、実際毎月分配されるのがどのくらいなるかによって普通預金の残高レベルを調整することになりそうです。

いずれにせよ、最終的に目指しているのは

  1. 毎月1ヶ月分の生活費+アルファがソーシャルレンディングの収益分配と満期償還でカバーできる状態を作り
  2. 通常の収入があって現金化する必要がなければ次のファンドを買うというサイクルを構築して
  3. 備えとなる現金を別に用意する必要がほとんどない状態を作る

ということです。

まとめ

ラダリング、どうでしたか?

日本の定期や国債などは金利がとても悪くてラダリングする意味もない状態ですが、ソーシャルレンディングのラダリングはなかなか悪くないんじゃないかと思っています。

ソーシャルレンディングはいろいろな会社があってそれぞれ口座を開設しなくてはならないので、その点では証券口座1つでいろいろな銘柄が変える株式より面倒と言えば面倒です。でも、一旦吟味して買ったら満期日を待つだけというシンプルさは、いつ買っていつ売るべきか考えて市場を見ている必要がある日本株よりかなり楽です。(米国株は良い銘柄が安くなったときに買って放置しても大丈夫なので別。)

そして、なんと言っても、まともな利回りを期待することができて同時に満期日がある金融商品としてラダリングもできてしまうというのは画期的じゃないですか??毎月必要額程度が満期になる設定であれば、普通預金の残高はその月の必要経費をカバーしてちょっとお釣りがくる程度でよくなります。

みなさんも是非いろいろ工夫して楽しく経済的自由を目指してください。

 

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ソーシャルレンディングの会社については知りたい方はこちらを参考にしてください。

ソーシャルレンディングの会社比較:2016年9月版(Part 1)