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自分以外の相続人に相続放棄してもらう手順

前回、父以外の法定相続人に相続放棄をしてもらうことになったという話をしました。

遺産相続のドタバタ

で、せっかくいろいろ調べたので、今日は実際にどうやって相続放棄してもらうのかまとめます。

相続放棄申述書、遺産分割協議書、遺産分割証明書の違い

特定の法定相続人に相続を譲るやり方は結構いろいろあるんですが、あたしが調べた限りではたぶん以下の3つが主なやり方です。

  1. 相続しない法定相続人が全員、相続放棄申述書を家庭裁判所に提出する
  2. 特定の人物が全て相続する旨を述べた遺産分割協議書を作成し、法定相続人全員が署名する
  3. 相続しない法定相続人が全員、各自で何も相続しない旨を述べた遺産分割証明書を作成し署名する

相続放棄申述書

これは自分の法定相続人の立場を完全に放棄する方法です。一旦これを提出して裁判所に認められると、最初から法定相続人ではなかったという扱いになります。相続関係者ではなくなるわけなので、被相続人に借金があったとしても法的に責任がなくなります。

遺産分割協議書・遺産分割証明書

相続放棄申述書が法定相続人の立場を完全に法的に放棄するものであったのに対し、遺産分割協議書と遺産分割証明書は身内での合意書という位置づけです。

ですので、被相続人に借金があった場合、たとえ遺産分割協議書・証明書に「財産も負債も◯◯が相続する」などと記載されていても法定相続人は全員法的には借金の支払いを免れることはできません。全く負債がなかったことがはっきりしている場合は問題ありませんし、負債があっても払うことになっている人物が実際に払えば問題ありませんが、そうでない場合は連帯責任をとることになります。

協議書と証明書の違いは、前者が1通の文書に法定相続人全員が署名・捺印する形である一方、後者は各自が1通ずつ作成して署名・捺印する形だということです。

全員が一箇所に集まって署名・捺印できる場合は協議書の方が枚数が少なくて済みますが、郵便で集める場合は各自がそれぞれ署名・捺印できる証明書の方が書類を関係者の間で回す必要がなくて便利です。人数によっては枚数が多くなって管理が大変になるかもしれませんが。

相続放棄申述書を使う場合の手順

書類を揃える

必要な書類
  • 相続放棄申述書
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 相続放棄の届出をする人の戸籍謄本
  • 収入印紙800円分
  • 郵便切手(各家庭裁判所により金額は異なる)

この他、申述人の被相続人に対する続柄によって、自分が法定相続人であるということを示すために、被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本やその他の法定相続人の死亡時までの戸籍謄本などが必要となります。

相続放棄申述書

相続放棄申述書は裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。一応全国統一の用紙があるのですが、県によっては独自の用紙を使用していたりするので、提出先となる被相続人の住民票のある場所を管轄する家庭裁判所にあるものを使う必要があります。

戸籍謄本

うちのように相手には相続放棄申述書にハンコを押してもらうだけであとの手続きは代行する場合、相手の戸籍謄本自体は郵便で取得できるのですが、そのためには委任状が必要となります。相手が自分で取得して送付してくれるのなら必要ありませんが、うちは相手の手間や手数料の負担を考慮して相続放棄申述書と一緒に委任状にもハンコを押して返送してもらう形を取りました。

戸籍証明書の請求書の用紙は自治体によって違います。だいたいどこの自治体もウェブサイトで説明をしているので、相手の本籍地を確認してその自治体のウェブサイトを見れば該当する用紙をダウンロードして手順を確認することができます。郵送用の請求書が通常の請求書とは別になっている場合が多いので注意してください。

家庭裁判所に提出する

前述したように、提出先の家庭裁判所は被相続人の住民票があった場所を管轄している家庭裁判所ですので、全ての書類が揃ったらここに提出します。うちのように他の法定相続人の分を全部まとめて提出する場合、戸籍謄本や住民票除票などは一式あればOKです。

家庭裁判所から照会書が届く

家庭裁判所が申述人に申述書の内容を確認します。どうもこのステップは各裁判所や状況によって異なるようで、省略されることもあれば面談になったりする合もあるようです。

家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届く

家庭裁判所に相続放棄が認められると相続放棄申述受理通知書が本人宛に送られてきます(代理人が申述書を提出した場合でも通知書は申述人に送付されます)。この時点で相続放棄の手続きは完了です。

ちなみに、相続放棄は相続があると知った日から3ヶ月以内に行う必要があります。

遺産分割協議書・遺産分割証明書を使う場合

最初に述べたように基本的に身内での合意書という位置づけなので、特定の人物が全て相続する旨を述べた遺産分割協議書を作成して法定相続人全員が署名・捺印するか、相続しない法定相続人が全員、各自が何も相続しない旨を述べた遺産分割証明書を作成して署名・捺印すれば完了です。

まとめ

うちでは、あたしが「相続放棄」でググっていて最初に見つけたのが相続放棄申述書を出す方法だったというだけの理由で父以外の法定相続人全員に相続放棄申述書を書いてもらうことにしました。そしたら手筈を整えはじめてからその後の手順を調べようと「遺産相続」でググっていたときに遺産分割証明書などのやり方が出てきたんですよ。伯母に負債はなかったし、こっちの方が家庭裁判所を通す手間が省けてよかったかなぁとも思ったんですが、むこうからしてみれば今まで全く交流がなかった人に伯母に負債はなかったと言われても安心できないかもしれないし、こちらの手間になってもやはりきちんと相続放棄する手段で進めておいてよかったのかもと思い直しました。大変ですが。

ちなみに、最近この関連で「波平が急死したことをきっかけに磯野家を片付けて遺産相続の話をすることになったサザエさん一家」というシナリオでゴミ屋敷の片付けから遺品整理と相続そしてフネの生前整理までを説明した本を読んだんですが、結構面白かったのでおすすめです。親が年老いてきてる人なんかはちょっと読んで予備知識つけとくといいかも。 

カツオが磯野家を片づける日 後悔しない「親の家」片づけ入門 (SB新書)

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