経済的自由のススメ ~そのあと~

経済的自由を得て現役引退したあとの生き方

ソーシャルレンディングの会社比較・レビュー:2017年版(Part 2)

忙しくてご無沙汰してました。みなさんお元気ですか?

これの続き、書くと言いつつ全然書けなくてずっと気になってたので書きます。

ソーシャルレンディングの会社比較:2017年版(Part 1)

GAIA FUNDING

以前と同様、10%のメインの案件を5%の小さな案件と組み合わせて全体として9%前後になるファンドがメインですが、最近はそれに加えて全体で期待利回り10%や9%の案件もわりとあったようです。運用期間も前回から引き続きわりといろいろあります。

為替リスクに関しては自社独自のことをしているようだという認識でしたが、今回よく見たところ、貸付と回収を円建てで行って借入人に為替リスクを負わせていました。なので、借入人がそのせいで大損して破産……みたいなことでも起これば間接的な影響が出るかもしれませんが、為替相場の変動によるリスクはないということになります。また、担保も必ずあるので、全体的な条件は良いと言えます。

さらに、一周年記念ファンドや成立ローン総額20億円記念ファンドなどキャンペーン的要素があるもの以外のファンドではまだまだ満額成立していないものが多くある状態です。最近は募集件数もかなり増えています。

maneo系列はみなmaneoのテンプレートを使ってサイト作成しています。maneo系の会社全部ではありませんが、「テンプレートに情報を機械的に流しこんでいるだけ」的な面があるので注意が必要です。GAIAでは実際にファンドの詳細の部分に間違った情報が記載されていたことがありました。

返済実績に関しては貸付件数と貸付金額の内訳を返済中と完済で分けた数字しか提示されていません(これもmaneo系列はみな同じ)。個別のファンドを見ても完済しているか運用中かしか分からないので、早期償還や延滞の有無や確定利回りなどまでは分かりません。が、とりあえずざっと見た限りでは延滞はないようです。

総評:期待利回りが高く、為替リスクなしで海外の不動産に分散投資でき、少なくとも今のところは買付け競争もないので、検討の価値はあるかも。

興味がある人はこちらから>>GAIA FUNDING

トラストレンディング

国内の不動産業者に貸付するタイプのファンドを提供しているソーシャルレンディングとしては、全体的に期待利回りが一番高い会社です。しかもソーシャルレンディングに参入する前から貸金業を行っており、自社の金融顧客管理システムもあるという会社です。

ただ、以前も「高い金利はキャンペーン的要素が強いので、登録者数が一定を超えたらトラストレンディング側の利ざやが上がって投資家の利回りが下がる可能性がある」と書きましたが、その兆候らしきものが見られ、最近追加募集として組んでいる一連のローンファンドで貸付金利はもとの募集と同じ11%の中、営業者報酬がもともと1%だったのが順次引き上げられて2.5%まで上がって投資家側の運用利回りが10%だったのが8.5%まで下がっています。

追加募集だったからそういう措置に出たのか、これを機に今後一気に国内不動産業者に貸付するタイプのファンドの業界平均レベルまで利回りが下がるのか、その辺はわかりませんが、とりあえず「新規登録+メルマガ購読登録完了で現金1,500円プレゼント」と 「特典1に該当する人が10万円以上の新規取引すると現金3,500円プレゼント」のキャンペーンはまだ2017年6月末まで続くようです。*追記:終了しました。

最近はクラウドクレジットも預託金を受け付けるようになりましたが、トラストレンディングでは相変わらず預託金口座はありません。一定の資金をトラストレンディングに置いておきたい場合は不便ですが、投資前に入金する必要がなく、また配当金も出金手続きも手数料もなしで自分の銀行口座に振り込まれてきます。ただ、間違えて投資申込みをする前に入金すると返金されてしまうので注意が必要です。

総評:今後は全体的に期待利回りが下がる可能性があるが、現時点では国内不動産に貸付するタイプのファンドの中では利回りが一番高い。新規会員登録と新規投資のキャンペーンもある今が一番おトクかも。

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J.Lending

ここまでずっと一度に運用するのは1ファンドというパターンで来てます。そして去年の7月から6ヶ月の期間で貸し付けていた第2号ファンドが1月末に完済となり、2月半ばに最終分配するとほぼ同時に第3号ファンドの募集が始まりました。今回も6ヶ月のファンドです。

想定利回り3.0%から8.0%と謳っていますが、1号は期待利回り6%、2号は5%と6%のプロジェクトの組み合わせ、そして今回3号は4%の期待利回りなので、業界でも最低レベルです。前回も書きましたが、最低投資額が50万円です。こちらは業界最高です。

総評:案件数、利回りともに業界最低レベルで、最低投資額が50万円と投資を検討するインセンティブがあまりない。

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Crowd Lease

店舗ビジネスに対する融資を行っているため、不動産業者に対する融資するファンドなどに比べて募集総額がもともと少なく運用期間も短め、でも利回りは良いという感じです。その辺の印象は前回見た時とあまり変わっていません。

1つのプロジェクトに対する募集総額が大きい会社は、一定期間に何回にも分けて募集を行って運用期間が短くなるにつれて期待利回りが低いファンドを組んだりしますが、Crowd Leaseの場合、もともと募集総額が小さいプロジェクトを数日かけて何回にも分けて同じ運用期間・期待利回りとして募集する形になっています。

どのような意図があってそういう形にしているのかはわかりませんが、1つ言えるのは「瞬時に満額成立する案件はあまりないが、ほとんど全件が短期間で満額成立している」ということです。また、「1周年記念ローンファンド」と称して運用期間が1ヶ月という超短期間案件を何回にも分けて募集していますが、こちらは入金を促す意図もありそうです。そういう意味では戦略的に先を見て経営をしている印象があります。

ただ、返済実績を見る場合、完済件数が多く見えるという点に注意が必要です。

総評:単に案件を組んで募集をかけているのではなく、満額成立させることと今後の投資資金の確保などにも配慮して自社の基盤を築いている印象。

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スマートレンド

何かに特化せず幅広い案件を提供して、リスク分散を図ったり様々なニーズに合わせた投資を1ヶ所でできるようにという意図だったはずですが、前回見た時からあまりバラエティが増えていません。また、12月は「年末特別ファンド」など、わりと案件が出てはいましたが、全体的には案件数自体もあまり増えていません。

とは言え、「家賃保証と収納代行をセットにした家賃保証サービスを提供する事業者」「エステティックサロンを利用する女性向けのクレジットサービスを営む事業者」「香港で消費者金融事業を営む事業者」など融資先が他とはちょっと違うのは確かです。

また、maneo系列なのでサイトもローンファンドの概要ページも他のフランチャイジーと同じテンプレを使っていますが、ファンドの概要の内容部分に関しては他のフランチャイジーのように情報をテンプレに当てはめるのではなく、きちんと読み手に分かりやすいようにまとめているので検討しやすくなっています。

募集総額的にはCrowd Leaseと似たような額が多いのですが、Crowd Leaseのように何件にも分けないので、返済実績や過去案件の確認もしやすいです。

総評:案件数が少なく期待利回りもそれほど高くないため検討するインセンティブがあまりないが、案件の説明はわかりやすくまとめられているので実際の検討はしやすいかも。

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TATERU FUNDING

インベスターズクラウドが建築施工するデザイナーズアパートを組み込んだファンドという性質上、案件数が少なく、現時点で第3号ファンドまでしか出ていません(前回見た時は第2号までだったので1件増えただけ)。

期待利回りは5%で最低投資額は10万円なので特にリターンが高いわけでも出資のハードルが低いわけでもないのですが、投資家が優先出資者となりインベスターズクラウドが劣後出資者となるため、劣後出資額以上に損失が出ない限り投資家の元本は守られるという仕組みです。

総評:他の会社と比べて利回りが低く最低投資額も高いが、優先出資者として投資できるので元本の安全性は比較的高い。案件が滅多に出ないのが問題。

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AMERICAN FUNDING

111Capital, Inc.としてアメリカで行っていたソーシャルレンディングを日本に拡大したのがAMERICAN FUNDINGですが、111Capital, Inc.のサイトもすっかりリニューアルされています。以前見た時は過去案件がどれも利回り8%になっていましたが、リニューアルサイトでは想定利回り7%として現在案内されています。

前回、アメリカのサイトでは利回り8%なので日本のサイトでも最終的にはそのくらいまで下がるかも……と書きましたが、今のところ日本のAMERICAN FUNDINGでは9%くらいを維持しているようです。その代わり111Capitalの方は下がったようですが。

以前見た時は、GAIA FUNDINGとAMERICAN FUNDINGの違いは前者が不動産開発寄りで後者が一戸建てのフリップ寄りという感じでしたが、最近は両者とも複合住宅のフリップを行う事業に融資したりしていて内容的な違いが分かりにくくなってきています。

総評:案件数、募集額、ユーザー数などのボリュームでも平均利回りでもGAIA FUNDINGに追いついていないので、内容的な差別化もなくなってきて今後どう売り込んでいくのか注目。

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Crowd Realty

前回見た時はまだ案件が出ていなかったのですが、現時点で1件、募集が終わって運用中の「エストニア不動産担保ローン」があります。期待利回り9.0%で運用期間13ヶ月ですので悪くありません。

スキームは、エストニアの子会社を介して現地の提携先(不動産に特化したソーシャルレンディングプラットフォーム)に仲介してもらった案件に融資し、提携先に回収業務も代行してもらって回収する、というもので、クラウドクレジットととても良く似ています。スキーム上可能だからということだと思いますが、申込金額が募集金額の500万円を超える565万円となっています。

案件の情報はクラウドクレジットよりスッキリまとめられているように見えます。なぜか販売手数料と運用報酬が0円になっていてCrowd Realty自体がどのように収益を得ることになっているのかが不明なんですが、クラウドクレジットのファンド概要では掲載されていないプロジェクトの収支の見通し(月ごとのキャッシュフロー)が公表されていたりします。

また、この案件に関しては為替ヘッジはありませんが、プロジェクトのリターンの為替センシティビティ分析があるのでレートの変動によって期待利回りがどう変動するか分かりやすくなっています。

総評:まだ1件しか案件が出ていないが、クラウドクレジットに似たタイプ。

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Green Infra Lending

2016年7月に設立されて10月からサービス開始した、環境に優しい持続可能なインフラ事業への融資に特化したソーシャルレンディングのプラットフォームです。maneo系列です。

「ダメな会社の法則」的に言うとイマイチです。代表者に関してはググると株式会社JCサービスの代表取締役と同一人物だと分かりますが、Green Infra Lendingでは顔出ししていなくて経歴も出していません。JCサービスは再生エネルギー事業の導入・保守管理などのサービスを提供している会社なので、その流れで資金が必要となった関係者にGreen Infra Lendingで融資しているのではないかと思いますが、JCサービス側のサイトにGreen Infra Lendingに関する記述はなく、Green Infra Lending側のサイトにもJCサービスに関する記述がないので、どうも意図的に関連付けていないようです。

期待利回りに関しては当初からほとんどが12%や11%、高いものは14%と業界でも圧倒的な高利回りです。運用期間は12ヶ月を超えるものが多く長めですが、案件数もわりとあり、登録ユーザー数もぐんぐん伸びています。

ざっと見たところ、ほとんどの案件が「借り手が事業者A 」となっています。ズバリJCサービスなのかはよく分かりませんが、事業者Aが別の事業者に融資するというパターンで、プロジェクトによっては何回も追加募集をかけています。担保などの保全情報の記述が曖昧で詳しいことが分からないケースが多く、追加募集になると特に担保がどうなっているのかよく分からない感じになっています。

総評:期待利回りがとても魅力的だが、はっきり分からない点が多い。

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SAKURA SOCIAL LENDING

2016年9月に創立されて12月からサービス開始した、地方活性化を目指す投資を促進するソーシャルレンディングのプラットフォームです。こちらもmaneo系列ですが、珍しく九州を拠点としています。

代表者の岩田氏は大分に拠点を置いてパチンコホールビジネスを手がけるビープラスグループの副社長であり、そこから設立した総合広告代理店ビーブレーンの代表取締役でもあります。地方中小企業の経験を活かして不動産売買の資金、不動産分譲・開発の事業、開業・設備資金、自然エネルギー事業での投資案件の創造を目指すようです。

現時点までに募集があったファンドでは、ビルメンテナンス事業者、太陽光発電事業者、建売住宅販売事業者、不動産事業者などに融資しています。まだ数は少ないですが、ここまでは期待利回りは7%~11%、運用期間は3ヶ月~12ヶ月と悪くありません。

総評:まだ新しいが今後どのような案件が出てくるか注目したい。

興味がある人はこちらから>>SAKURA SOCIAL LENDING

まとめ

やっぱり、というか業界全体の成長や多様化がすごいです。まだ何もファンドがないので今回はリストに入れませんでしたがmaneo系列でCash Flow Financeという会社も出てきていますし、前からある会社もどんどん返済実績を重ねてきていますし、それにつれてユーザー数もどんどん増えています。

以前もちょっと書きましたが、今後はもっと選択肢が増えてソーシャルレンディング自体がもっとポピュラーになる一方、ファンド自体でなくマーケティング的な差別化が発達するのではないかと思います。そして本質的な会社のクオリティやファンドの詳細をきちんと確認しないでとりあえず人気がありそうな会社や利回りが高い会社で適当に資金投入する人がもっと増える、というのが今村の予想です。

リスクをとること自体は悪くないです。でもきちんと自分が納得できるリスクを取りたいですね。