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知っておくべきソーシャルレンディング市場の現状と仲介会社を選ぶヒント

この間、ソーシャルレンディングが結構面白い投資オプションかもしれないという話をしました。

ソーシャルレンディングという投資オプションがあった!

でもたくさんの仲介会社のうち一体どこがいいのか、実際のリスクはどうなのかなど、もう少し調べる必要あり、という状態でした。

なので、もう少し調べました。

ソーシャルレンディング市場の変化

どうやって仲介会社を選ぶかということを考える前に、ソーシャルレンディングの市場背景についてざっとまとめます。仲介会社の選び方に繋がるので読み進めてください。

世界の市場

ソーシャルレンディングは、リーマン・ショック後のバーゼル3(という国際業務を行う銀行の融資先を制限する規制)によって銀行が対応できない貸付の需要が増えるに伴って代わりに発展してきたわけですが、商業銀行の預金や資金がもともと少ないイギリスなどでは特に急速に発展しました。実際イギリスでは、個人投資家の資金を呼びこむための優遇税制や、クラウドファンディングを簡単に立ち上げるためのASPや、FinTech専門の弁護士事務所など、国の政策や民間の周辺サービスも充実してきているため、ソーシャルレンディングに参入する壁がどんどん低くなっています

世界的にも、IT技術の発達や機関投資家による投資の増加によってソーシャルレンディングは急速に成長しています。中国では特にソーシャルレンディングが爆発的に増えていて、ついにアメリカ市場の規模を抜いたようですが、その分大規模な詐欺も発生しているようです

日本の市場

仲介会社

maneoが2007年にソーシャルレンディングのサービスを開始して以来、しばらくmaneoAQUSHSBIソーシャルレンディング3社のみだったのが、2013年から2014年にかけてクラウドバンク クラウドクレジットラッキーバンクOwnersBookの4社が参入、2015年にはLC LendingみんなのクレジットGAIA FUNDINGスマートエクイティSmartLendトラストレンディング が参入しました。そして今年は更に10~20社参入するのではと言われています

サービスとマーケテイング

以前は個人に貸付するサービスもあったようですが日本では発展せず、最近は中小企業や不動産関係のファンドが多くなっています。その中で、参入障壁が以前より低くなって参入企業も増えていることから、これからはマーケティングで差別化を図るケースが多くなると言われています。

一方、インボイスファイナンスやトレードファイナンスなど、日本ではまだあまり見られないソーシャルレンディングもまだいろいろあるため、ファンド自体の多様化も予想されています

ソーシャルレンディング仲介会社を選ぶ視点

参入企業が増えて競争が激しくなり、商品自体が多様化し、似たような商品は各社のマーケティング戦略によって比べにくくなると、個人投資家としては仲介会社や商品を選ぶのが難しくなります。しかも、株や為替と違って、商品(この場合ファンド)に対しうる第三者による分析やリポートなどもなく、基本的には仲介会社が提示する情報を信頼するしかありません。

では個人投資家としては何を見ることができるのか。

貸金業の登録

融資型クラウドファンディングを行うには、まず貸金業の登録が必要です。登録番号は、例えば東京だと「東京都知事(1)第12345号」のような形になりますが、3年毎の更新が必要で(1)の部分が更新回数を示しています。つまり(1)であれば貸金業者としての実績は3年未満とわかるわけです。長ければいいというわけではありませんが、収益が出る運用をしていなければ会社が存続すること自体不可能ですし、ソーシャルレンディング参入するにあたって貸金業を始めたのと、以前から貸金業をしていてソーシャルレンディングに進出したのでは貸金業自体の経験に差があると考えられます。

金融商品取引業の登録

もうひとつ必要なのは、不特定多数から資金を集めて融資や出資の仲介をするための第二種金融商品取引業の登録です。ただ、第二種金融商品取引業者の規模や業態、そして裏付けとなる資金は多様なようなので、自己規制機関である第二種金融商品取引業協会の会員であるかなども確認するといいかもしれません。

証券会社として第一種金融商品取引業に登録している仲介会社もあります。第二種との違いは、1)財務局、証券取引委員会、日本証券業協会の監査の対象になること、2)自己資本規制比率が決まっていること、3)扱える商品が多いこと(流動性が高い有価証券)、そして4)顧客の資産を管理できることです。ソーシャルレンディングのサービスには第一種は必要ありませんが、規制が厳しいことや財務健全性を保つ条件があることは安心の要因かもしれません。また、扱える商品が多いことは投資家にとって便利かもしれません。

開示している情報

「成立ローン総額」「累計調達金額」のような言い方で投資家から集めた総額金額を表示している仲介会社が多いのですが、特に新しい仲介会社では満期になった案件がまだほとんどなかったりします。また、終了した案件がたくさんあっても実際の実績の数値がよく分からないケースも多いようです。分配金・返済金、延滞中の案件があるのかなども開示している会社の方が安心かもしれません。(いずれにしても開示されている情報を信じるしかないのはネックですが。)

まとめ

やはりどの投資案件でもそうですが、調べるといろいろ検討すべき面が出てきますね。それでもソーシャルレンディングは面白そうだと思いますが。