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2024年4月8日の皆既日食を見に行って体験したこと

お久しぶりです、今村です。

去年、こういう記事を書きました。

www.saki-imamura.com

で、実際にテキサスまで行って皆既日食を見てきたので、準備や実際の体験、そして感じたことなど書いておこうと思います。

準備

1人でも行くつもりでしたが、テキサス大学時代からの友人とオースチンで合流することになりました。彼女の子ども(18歳と13歳)も一緒で、計4人です。

場所選び

テキサスでの皆既日食の通り道はこんな感じ↓でした。

影になっているところが通り道。丸で囲ってあるのがオースチン。

中心線に近ければ近いほど観測時間が長くなります。オースチンから直角に中心線に向かったあたりだと4分25秒になりますが、オースチンだと1分半くらいです。

また、皆既日食は午後1時半ごろからですが、その前後にそれぞれ1時間ほどの部分日食があります。観測時間が長い場所にじっくり腰を据えて眺めたいところです。

そこで、

  • 中心線に近い
  • 確実に車が停められる
  • トイレもある
  • ピクニックをしながら皆既日食を観測するスペースがある
  • オースチンから1~2時間ほどで行ける

という条件で、場所探しをしました。

最終的に選んだのはジョンソン・シティにあるサファリパークです。オースチンから車で1時間ほどで、皆既日食観測時間は4分1秒です。

赤点で示してあるのがサファリパークの場所。

NASAのライブ中継拠点であるカービル(紫丸)や同様に中心線に近いフレドリックスバーグ(青丸)も検討しましたが、もの凄い混雑が予想されていたことや、観測時間がジョンソン・シティと20秒ほどしか変わらなかったことから却下しました。

それにサファリパークなら、皆既日食中の動物の様子も観察できます。また、曇りで皆既日食が観察できなくてもサファリはできるので退屈しないはずです。

予習

ちゃんと理解してから体験したかったので、日食が起こる仕組み、どのタイミングで何が見えるのか、どう観測すると良いのかなどについて調べました。子どもたちにも説明できるよう、日本語と英語で。笑

調べていたら、皆既日食と金環日食の両方が観測できる惑星というには奇跡的で、しかもこの奇跡的状況は一時的なものなのだとわかり、驚きました。

www.saki-imamura.work

観測用の持ち物

以下を用意して日本から持って行きました。

  • 厚紙に「Solar Exlipse April 8,2024 Texas」とピンホールで書いたもの
  • ピンホール式太陽投影機を組み立てられるキット(https://www.asahi-net.or.jp/~hw9a-kbnw/blog/pdf/pinhole.pdfを参考に厚紙をカットして持っていった)
  • 皆既日食中に裸眼で太陽コロナを観測するための双眼鏡

あと、月が太陽の前を横切るタイミングを第1接触から第4接触まで現地のGPSをもとに計算してアナウンスしてくれるアプリを入れて、2024年4月8日のデータを購入しました。

部分日食を観測するときに使う日食グラスはアメリカに着いてから買いました。

ピクニック用の持ち物

部分日食が昼の12時半ごろに始まるので、サファリで動物を見たあとにピクニックをしながら日食を待てるよう、以下を前日に現地調達しました。

  • サンドイッチの材料、果物、スナック、飲み物
  • クーラーボックス
  • ピクニック用の折りたたみ椅子

当日の体験

統計的には、この時期のこの地域の天気は良いはずだったんですが、3月後半時点の天気予報は曇りでした。しかも全体的に曇りで、別の場所を探すにも良い候補がない状況です。また、4月2日にアメリカ入りをしてからはヒューストンやサンアントニオにも足をのばして観光していたので、あまりいろいろ考えている時間がありませんでした。

そんなこんなで、もう場所変更なしで行こう!ということになり、当日は朝からサンドイッチを作ってサファリパークに向かいました。ちなみに、天気予報が悪かったせいか予想されていたような渋滞は全くなく、サファリパークも全然混んでいませんでした。

そして、サファリパークに着いた頃は晴れ間が見える感じになり、サファリも楽しめましたが、昼頃には曇り空になっていました。

1回目の部分日食

全体的に雲が広がっていましたが、太陽はたまに見えていたので、月が太陽をブロックしていく様子が観測できました。

日食グラスをかけて観測すると、太陽は濃いオレンジに見えます。太陽以外は何も見えず真っ黒なので、黒い背景に火花なしの線香花火の火球が浮かんでいるかのようです。ジーと熱く燃えている音が聞こえそうなオレンジで綺麗です。

太陽が雲に隠れているときは何も見えず真っ黒になってしまうわけですが、見え隠れするせいで逆に欠けていく様子がよくわかり、今まさに月が太陽を横切っているんだと実感します。

西から月が重なってくるので、太陽はどんどん三日月の逆のような形に細くなっていきます。でも、不思議なことにそれほど暗くなりません。太陽が雲で隠れても光が弱くなるだけで夜にはならないように、月が太陽を隠していってもあまり暗くならないんですね。太陽光の威力を感じます。

ただ、用意していったピンホール投影を使うには光は弱すぎでした。残念です。

皆既日食

皆既日食になった途端、辺りは一気に暗くなりました。夜の暗さです。

予習していったので、こうなるのはわかっていました。それなのに圧倒されました。

日食グラスを外して太陽を見ると、コロナが見えます。周りに雲があるのでくっきりとは見えず、やわらかな感じがわかるだけでしたが、自分たちは生かされているのだという啓示のようなものが不意に降りてきて、涙が出ました。

地平線を見ると、真っ暗ではなく紫っぽい色でした。日の出や日の入りでも地平線辺りの色が美しく変化しますが、あれとは全然違う色です。見たことがない風景でした。

ツイートの写真は上の子がスマホで撮ったものです。今村はずっと太陽と周囲を眺めていました。4分1秒はあっと言う間でした。

曇り空だったので、快晴だったら見えていたはずの星は全然見えませんでした。でも太陽は、4分1秒の間ずっと雲に隠れず見えていました。ラッキーでした。

2回目の部分日食

皆既日食が終了して、2回目の部分日食に入りました。

……とここで、わざわざサファリパークに来て、目の前にキリン、横にヤギがいる場所に座っていたのに、皆既日食中の動物たちの様子をチェックすることを忘れていたと気づきました。今思うと、真っ暗でどうせ見えなかったかもしれないんですが。

急いで見てみると、キリンは普通に立っていました。ヤギたちは集まってうずくまっていましたが、皆既日食で暗くなったからそうしたのか、皆既日食前からそうやってくつろいでいたのかはわかりませんでした。

空模様は1回目の部分日食時とあまり変わらず、欠けていた太陽が段々戻って来るのが雲の合間に観測できました。

ただ、子どもたちは飽きてしまったようで、お土産屋さんに行ってしまいました。大人2人は「4分なんて短かったよね」と余韻に浸っていましたが、そのうちに子どもたちが戻ってきたので、観測はお開きとなりました。

そしてピクニックを片付けているときに初めて、双眼鏡をスーツケースに入れっぱなしでサファリに持ってきていなかったことに気づきました。痛恨のミスです。いずれにせよ、曇っていて太陽コロナはあれ以上見えなかったかもしれませんが。やれやれ。

画像付き観察レポート

今村は写真や動画を全く撮りませんでしたが、オースチン在住のアルマジロさんが写真や動画を撮っていたので、紹介しておきます。パラパラ漫画風の動画がとてもわかりやすいです。

atx-domain.com

感想

曇り空だったせいで星が見えなかったし、太陽コロナもくっきりとは見えませんでした。それでも涙が出るくらいだったので、快晴ですべてがクリアに見えていたらどんなに凄かったんだろう?と思います。

今回は「畏怖を体験したい」と思って、わざわざアメリカまで皆既日食を見に行きました。で、実際に畏怖を体験できたのか?ですが、答えはイエスともノーとも言える、という感じです。

1年前のブログでは、畏怖体験を以下のように想像していました。

具体的には、

  • 人間の力なんて到底及ばない圧倒的な何かに打ちのめされて、
  • 人生や人類なんてものはそれより大きな何かの一部でしかないと思い知らされ、
  • 身の程を感じる

という体験です。

でも、こういう手厳しい感じは全くしませんでした。感じたのは、圧倒的ではあるけれど、もっとあたたかい、慈悲のようなものでした。

なので、思っていた畏怖体験ではありませんでした。違う畏怖体験だったわけです。

何事も体験してみないとわからないものですね。

以前ここで今村は、

www.saki-imamura.com

人が生まれてくる理由を「魂は肉体がないと体験できないことを体験しに地球に来ていると解釈している」と書きましたが、我ながら案外いいところを突いているんじゃないかと今回改めて思いました。

あと、皆既日食を目の当たりにして以来、今までの人生の成り行きも含めいろんなことが奇跡的に見えて仕方なくなっています。笑

実際に、人生のほとんどのことが奇跡的なんだと思います。人の感覚が鈍ってしまっているだけで。

もっといろんなことを体験したいなと思うし、この気持ちを忘れたくないなとも思います。

行って良かったです。