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世界幸福度ランキングのニュースが軒並み間違ってる件

みなさん、こんにちは~。

数日前に国連が2017年版の世界幸福度ランキングを発表しましたね。日本は51位だとか。実際の報告書(英語版)はこれ↓

World Happiness Report 2017(PDFが開きます)

それはいいんですが、Twitter見てて「あれ、なんかみんな勘違いしてない?」と思ったことがありました。それで気になったので日本語で検索してみたらニュースサイトも軒並み勘違いしてることに気づきました。

なので、今日はちょっとその辺を解説します。

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日本のニュースサイトが言ってること

あたしが見たものをざっと挙げておきます。

CNN.co.jp

CNN.co.jp : 国連の幸福度ランキング トップはノルウェー、日本51位

報告書によると、幸福度を測る指標としては1人当たり実質国内総生産(GDP)のほか、他者への寛容さや健康寿命、頼れる相手がいること、人生を選択する自由、汚職のない社会などが挙げられる。

newsclip.be

国連の幸福度ランキング タイ32位、日本51位 | newsclip (ニュース、ASEAN、その他のニュース)

ランキングは1人当たり実質国内総生産(GDP)、健康寿命、汚職の度合いなどから割り出した。

The Huffington Post

世界幸福度ランキング2017発表、日本の順位は?

国連のランキングでは、調査対象にする国の国民の自由度や、1人あたりの国内総生産(GDP)、政治、社会福祉の制度などを元に2014〜2016年の「幸福度」を数値化し、ランク付けしている。

東洋経済オンライン

「世界幸福度ランキング」、日本は51位だった | ロイター | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

155カ国を対象に、1人当たりの国内総生産(GDP)や健康寿命、困難時に信頼できる人がいるかどうか、政府や企業における汚職からの自由度などを手掛かりに幸福度を調査。

日本のニュースサイトが勘違いしてる点

「1人当たり実質国内総生産(GDP)」、「他者への寛容さ」、「健康寿命」、「頼れる相手がいること」、「人生を選択する自由」、「汚職のない社会」は幸福度を測る指標ではありません。幸福度はこれらをもとに割り出したものでもないし、これらを数値化したものでもありません。

指標として使えるか?という意味では使えるでしょう。でもこの調査では、これらを指標として幸福度を計算したわけではありません。

幸福度は、アンケートの対象になった各国の国民が認識している自分の幸福度を集計したものです。

つまり、国連がGDPや人生の自由度をもとに勝手に各国をランキングしたわけではなく、各国の国民に対するアンケートの結果をもとにランキングして、結果をGDPや人生の自由度などで説明しようと試みた、というのがホントのところです。

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世界幸福度ランキングのデータ分析方法

……というわけで、世界幸福度ランキングがどのように作成されたのか、6つの変数をどう解釈すればいいのかをざっくりと説明します。

幸福度を決めた質問項目

この報告書で使われているデータは主にギャラップ社が行っている世界世論調査から来ています。(GDPとかは実際のデータを他から持ってきてると思います。)

日本でも当然行われているので日本語版の調査票もあるはずなんですが、パッと見つけられなかったので英語版のリンクを参考に貼っておきます。

ギャラップ世界世論調査の調査票(PDFが開きます)

で、この中で「幸福度」として使われた質問項目はこれです。

Please imagine a ladder with steps numbered from 0 at the bottom to 10 at the top. Suppose we say that the top of the ladder represents the best possible life for you and the bottom of the ladder represents the worst possible life for you. On which step of the ladder would you say you personally feel you stand at this time, assuming that the higher the step the better you feel about your life, and the lower the step the worse you feel about it? Which step comes closest to the way you feel?

ちょっと長ったらしいので要約だけすると、「10段階で10が『自分にとって最高の人生』で1 が『自分にとって最低の人生』だとすると、現在自分はどの段階にいると感じますか?」みたいな感じです。

で、この質問に対する回答が各国で集計され、平均値が幸福度のスコアとして使われている、というわけです。

ニュースが「指標」だと思っていた変数

じゃあニュースが言うところの「GDP」、「他者への寛容さ」、「健康寿命」、「頼れる相手がいること」、「人生を選択する自由」、「汚職のない社会」 というのは何なのか?

これらは簡単に言うと、上の「幸福度」のスコアを説明するために使われた変数です。

国連が「これで説明しよう」と決めて使った変数です。

詳しいことまで裏を取ってないので以下はあたしの推測ですが(でもたぶんこんな感じ)、

  1. 「ギャラップの世界世論調査のデータを使って各国の幸福度が何に影響を受けているか調査しよう、そうすればどの辺にお金と労力をつぎ込めば効率的に世界の人々を幸福にできるかのヒントが得られるはずだ」みたいな考えをもとにこの報告書が企画され、
  2. 「理論的に言って幸福の決定要因となるのはなんだ?その中で施策を講じることができるのはなんだ?」みたいな検討をもとに候補になる要因が選択され(人が生まれ持った性格とかは国連レベルでどうこうできるものじゃないので外すなど)、
  3. 実際にデータを使ってどの要因が幸福度を説明できるのか分析し、
  4. その中から一番良いモデルを選択することで、GDPなどの変数を含む幸福度のモデルが作成された

……ということです。

幸福を説明できる割合の計算

で、ですね、一旦幸福度のモデルができると、統計的なデータ分析をしてどの変数が幸福度をどのくらい説明できるかを計算することができます。

もう少し言うと、幸福度のスコアを従属変数として、GDPなどの6つの選ばれた変数を独立変数として回帰分析するんですが、そうするとそれぞれの独立変数が従属変数の何割を説明できるかという数値が出るというわけです。

でも100%説明できることはまずなくて、どうしても説明できない部分も残ります。それが「Residual(誤差)」と国連の言うところの「Dystopia(ディストピア。ユートピアの反対)」です。Dystopiaというのは、6つの変数が全て最低レベルの最低な国があったとするとそこの国民の平均幸福度スコアはどうなるかというベンチマークです。

実際のグラフを見てみると

幸福度のランキング

出典:World Happiness Report 2017 (P20-21)

1位にランクされたノルウェーでは幸福度の質問に対する回答の平均が7.537で、51位の日本では回答は平均5.920でした。

で、パッと見た感じではどの国でも「GDP」と「Social Support」が幸福度を説明する大きな要因になっています。「Generosity」や「Perceptions of Corruption」はそれほど大きな要因ではありませんが、他国と比べて特に日本人の幸福度はこの2つにはあまり左右されていないことがわかります。

また、今村が個人的に面白いと思ったのは、日本人の幸福度は他国に比べて説明しやすい(=6つの要因で説明されている割合が多い)ということです。これは逆に言うと、幸せに多様性がないということです。

6つの要因のどこに伸びしろがあってどの伸びしろを伸ばすのが一番対費用効果が高いのかはこれを見るだけではわからないので何とも言えませんが、もう少し多様性があってもいいような気がします。

幸福度の変化

(横軸がシフトしてるので注意)

出典:World Happiness Report 2017 (P25-27)

2005年から2007年のデータと2014年から2016年のデータを比べると、日本人の平均の幸福度スコアが0.447ポイント下がっています。

上の51位という結果より、こっちの方がニュースとしては重要なんじゃないかと思いますが、あんまり(と言うか全く)ニュースになっていませんでした。前回53位だったのが51位に上がったっていうのはどこかで見ましたが、相対的に順位が上がっていても日本人の主観としての幸福度が下がっているわけなので、そこをニュースにするのは的を外していると言えます。

まとめ

だから何だ?と言われると、いや、全国的な勘違いを訂正したかっただけです……って感じなんですが、あえて言うと、幸せって生活環境が一定レベルで衣食住なんかが整っていたらそこから先は相対的で個人的な部分が多いはずなので、日本人はもっと周りと比べないで自分の幸せを自分の形で追求してもいいんじゃないかなと思います。日本は何位だったかっていうのはベンチマーク的に役に立つけど、他国と比べた幸せじゃなくて自分たちの幸せを追求すればいいのに、と。

あと、人間ってやっぱり進歩とか希望とかがないと幸せを感じ続けることは無理だと思うんですよね。だからもっとそういう視点があるといいんじゃないかと思ったりします。

ニュースが軒並み間違っていることもある、ってのも覚えておきたいですね。

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