経済的自由のススメ ~そのあと~

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Visa($V)がPlaidを買収するという話のまとめ

去年は1ヶ月に1本のペースでしかブログを書いてなかったのに、なぜか今年はもう2本目を書こうとしている今村です、こんにちは。

しかも投資家っぽい記事(笑)

いや、なんでって、今朝、VisaがPlaidを買収するっていうニュースをツイートしたんですが、

そのあと、VisaとPlaidの買収発表のウェブキャストを聞きながらプレゼンを見ていたら、このツイートをイイねしたりリツイートしたりしてくれてる人が結構いたんですよね。

てことは、ウェブキャストとプレゼンにもみなさんきっと興味あるんだろうなぁと思ったので、ついでだし、ざっくりまとめて出しておきます。

 

2021年1月13日追記:

DoJに訴訟されて結局VisaはPlaid買収を諦めることになりました。

www.cnbc.com

Plaidのビジネス

Plaidはサンフランシスコを拠点とするフィンテック企業です。

VenmoやCoinbaseなどのフィンテックアプリを個人の銀行、クレジットカード、証券などの金融口座と繋げるシステムをフィンテックや金融機関のアプリ開発者に提供しています。

以下、プレゼンに出ていた関係図↓

出典:Visa Inc. To Acquire Plaid Presentation(PDFが開きます)

現在、

  • 11,000以上の金融機関やデータ元と提携して個人の銀行口座、クレカ、証券口座などのデータへのリンクを確保し、
  • それを簡単にアプリやサービスに組み込めるように、2,600以上のフィンテック企業や金融機関に開発者キットを提供し、
  • 結果として、2万以上のユーザーがPlaidが使用されたアプリやサービスを利用している

という状態になっています。

アメリカの銀行口座所有者で言うと、4人に1人がPlaidに間接的にお世話になっている計算だそうです。

Plaidのポテンシャル

フィンテック市場自体のポテンシャル

様々なフィンテック企業を相手にビジネスしているPlaidのポテンシャルの前振りとして、フィンテック市場自体のポテンシャルにも少し触れていました。

  • 2014年時点で31億人だったインターネットを利用できる消費者数は2019年には45億人となっているが、世界人口の割合で見るとまだ59%
  • インターネットを利用できる消費者でフィンテック系のアプリを1つでも使っている人の割合が2015年時点では18%だったのが2019年時点では75%まで伸びている
  • 新しいフィンテックサービスがどんどん生まれてユーザー数を増やしている

出典:Visa Inc. To Acquire Plaid Presentation(PDFが開きます)

Plaidの今までの成長実績

Plaid自体の今までの成長はユーザー(=フィンテックアプリ経由でPlaidを利用しているユーザー)数で示されていました。

出典:Visa Inc. To Acquire Plaid Presentation(PDFが開きます)

Plaidはフィンテック企業や金融機関にキットを提供してライセンス料も得ていますが、大半の収入は個人データへのリンクの提供自体で得ているので、収益はユーザー数に比例するそうです。

キットを使うクライアントが一定でも、クライアントのユーザーが増えれば収益は増えるということですね。

Plaidのこれからの成長伸びしろ

Plaidは現在アメリカ、カナダ、イギリス、アイルランドで事業展開しているだけなので、世界的に市場を見た場合、どの分野をとってもマーケットシェアは1桁台です。

でも、世界的にネットワークがあるVisaに買収されることで世界進出のさらなる加速が期待できるとのこと。

*TAM=Total Addressable Marketで、想定される市場サイズです。

出典:Visa Inc. To Acquire Plaid Presentation(PDFが開きます)

Visaの狙い

今村は知らなかったんですが、Visaはここ数年Plaidに注目していて、7ヶ月前に出資もしていたそうです。で、この7ヶ月間は出資者の立場を利用して内部からPlaidを観察し、その結果買収のオファーを出すことにしたんだそう。

Visa側は、そもそもPlaidはVisaがいてもいなくても成長が期待できる企業だと強調していました。でも、上で述べたように、PlaidはVisaの海外ネットワークを足がかりすれば事業展開をさらに加速させることができるということです。

一方、Visa側としての狙いは

  1. PayPalやJP Morgan Chaseのように既にVisaともPlaidとも提携しているパートナーとの関係を一元化して強化する
  2. Visaの様々な決済サービスをPlaidのクライアントに提供する
  3. VisaのサービスにPlaidのサービスも加えて新たな提携先に提案する
  4. データ管理ソリューションを提供する

の4つを通して「ネットワークのネットワーク」というVisaの戦略ポジションを強化していくことだそうです。

これにより、具体的には

  1. アメリカ国内でのデータネットワーク事業
  2. 海外でのPlaidの事業拡大
  3. 2に伴う、海外のフィンテック企業の間でのVisaの決済サービス事業の拡大
  4. Plaidを加えた主要事業の強化

の4方向から収益アップを図るとのことでした。

見通し

規制当局の承認などプロセス的な問題がなければ、Plaidの買収は3~6ヶ月で完了する見込みです。

Plaidは、Jack Forestell氏が率いるVisaの商品部門の一部となり、現CEOのZach Perret氏が引き続きPlaidを率いることになります。

買収は3~6ヶ月で完了の見込みですが、4月1日時点で完了した場合、2020年度のVisaの収益は30ベーシスポイントほど上がる見込みで、2021年度は80~100ベーシスポイント上がる見込みだそうです。

まとめ

ウェブキャストの最後にあったQ&Aでは、

  • 収益が上がるという話は決して一時的・短期的なことではない
  • Plaidはそのままでも成長を見込めるビジネスであるが、Visaがその成長を大きく後押しできる
  • 海外送金やB2B送金でも大きなチャンスがあると見ている
  • フィンテック企業相手のビジネスはVisaでもまだまだ少なく、そういう意味でもPlaidを買収した意義がある

などのコメントをしていました。

……ということで、なるほどなるほどの戦略でした。あとは遂行力ですかね。

 

あ、ちなみに、今朝こんなツイートもしたんですが、

一番下にあったインタビューを見てみたら、まだDennis Muilenburg氏がCEOでDave Calhoun氏が会長だったときのもので、全然面白くなかったということをついでに報告しておきます。紛らわしいよ、CNBC。