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ラッキーバンクがLBI リアルティという子会社を設立した件について

前回ラッキーバンクの新しい案件について書いたとき、一緒に書きたかったけど書けなかったことがあるので書きます。

ラッキーバンクの運営をしているラッキーバンク・インベストメント株式会社が不動産業を手掛ける子会社、LBI リアルティ株式会社を設立したという話です。 8月2日付けでプレスリリースが出ていました。↓

【プレスリリース】子会社設立に関するお知らせ | Lucky Bank

これはいい進展だなぁと思ったのでその辺をみなさんに解説します。

概要

このプレスリリース、さらっと読むと「つまりどういうことなの?」って感じがなきにしもあらずなので、まずちょっと説明します。

要は「ラッキーバンクは不動産開発業者に貸付してただけだったけど、自社の不動産業界のネットワークを活かして自分たちでもプロジェクト企画しちゃうことにしたよ」ということです。そうなるとその中でも融資が必要になるものが出てくるので、ラッキーバンクのソーシャルレンディングのプラットフォームで募集をかけることになるということです。図にするとこうなります。↓

ラッキーバンク✕LBIリアルティ

今までは不動産開発業者のプロジェクトでファンドを組んで投資家から資金を募って貸付するだけだったのが、LBI リアルティのプロジェクトにも貸付する方向になったわけです。LBI リアルティのサイトを見ると、「バッリューアップコンセプトをもって、レジデンシャル、オフィスビル、商業施設、土地等を中心とした不動産売買事業に参入」とあるので、プロジェクト自体は、古い物件やリフォームの必要な物件を安く買ってリフォーム後転売という、現在融資している不動産開発業者がやっているようなことと同じになります。

意義

では、これにはどういう意義があるんでしょうか?

プレスリリースでは「ラッキーバンク✕LBIリアルティの可能性」と題して以下が挙げられています。

  1. ファンド組成経験と不動産市場でのネットワークを活かした「情報の非対称性」へのシグナリングとスクリーニングの実現
  2. 不動産特化型ソーシャルレンディングを活かした「素早い不動産取引」を完結
  3. LBIリアルティとの不動産取引実績を基に、新規不動産業者への融資の実現とソーシャルレンディング市場の拡大

2と3は分かりやすいですね。2はつまり「全て内輪でやるから早いよ」ということで、3は「LBI リアルティとの取引実績を積んだ不動産業者に積極的に融資の提案なんかもできるからファンドも多く組めるようになるよ」ということです。

でもここであたしが注目したのは、1の「情報の非対称性へのシグナリングとスクリーニングの実現」です。

どういうことか?

情報の非対称性、シグナリング、スクリーニング

まず簡単にこの3つを説明すると、情報の非対称性というのは、ある取引をする際に当事者のどちらかがより多くの情報を持っている状態です。例えば、売り手が商品に関する情報を買い手よりも多く持っているという状態です。

シグナリングというのは、そのような情報の非対称性を軽減するために情報を多く持っている側が情報開示することです。取引で優位な立場に立つために情報を開示しないというケースもありますが、現状のソーシャルレンディングを今後活発化していくにはなんらかの情報開示の方向へ行くことが必要でしょう。

スクリーニングは情報が少ない側が何らかの方法で情報を引き出す行為です。例えば、融資をする相手に担保になる不動産の調査書を提出させるなどです。個人が登録するときに資産や投資経験について入力しなくちゃいけないのもスクリーニングです。仲介会社側がどのような人がソーシャルレンディングに興味を持っているのか情報を引き出しているわけです。

ラッキーバンク✕LBIリアルティのケース

ではLBI リアルティに関しては具体的にどういうことなのか?最初、投資家側に提供される情報が増えるのかと思ったけど、いやまて一体誰と誰の間の情報の非対称性の話だ?と思ったので、ラッキーバンクに直接問い合わせました。

以下、ラッキーバンクからの回答を引用:

こちらについて、弊社のプレスリリース記載の≪「情報の非対称性」へのシグナリングとスクリーニングの実現。≫については、現段階においては、不動産事業者同士間や不動産業者(借入人)とラッキーバンク・インベストメント間、不動産業者と LBIリアルティ間としての「情報の非対称性」となります。

不動産市場と一般市場資金を繋ぐ役割を果たす上で、不動産市場の活性化から、投資家様へのファンド提供まで波及させる目的を以て、この度はLBIリアルティを設立致しました。

具体的な目的として、まず第一に、「募集開始したファンドがすぐに成立となってしまう。」というネックを解消できればと考えております。

LBIリアルティ株式会社の設立により、携わる不動産プロジェクトの母数の増加に伴い、今後、公開・募集を可能とするファンド数も連動する形で増加を辿れればと考えております。

そして、第二に、弊社ラッキーバンク・インベストメント株式会社とLBIリアルティ株式会社の取引では、よりタイムリーな不動産プロジェクトの進捗状況の管理により、不動産市場のファンダメンタルズの把握を行うことも可能となると判断しております。現況でも、弊社ラッキーバンク・インベストメント株式会社として、様々な不動産事業者様との情報交換により市場の把握を行っておりますが、金融的観点からの把握に限らず、不動産市場からの視点による把握を行うことが可能となると考えております。

最後になりますが、第三としては、今後、弊社ラッキーバンク・インベストメント株式会社とLBIリアルティ株式会社では、実際にお取引いただく不動産事業者様に対しては、これまでソーシャルレンディングサービス「Lucky Bank(ラッキーバンク)」での検討の際に行ってきた「財務状況の確認」や「対象物件の調査」といった従来の検討、審査方法などに加え、「不動産取引の実態」を加えることで、「不動産取引業者様の取引実績(取引の実態)」が、レコードされて行くことで、更なる活躍の場として、資金調達や不動産取引においてのサポートを提供できればと考えております。

いずれとしては、前述記載のレコードなどが投資家様にとっても、より把握しやすい状況下になることを目指しており、不動産物件情報や貸付後の状況把握だけに限らない形をとれればと存じ上げます。

……ということで、残念ながら現段階ではラッキーバンクと投資家の間の情報の非対称性の話じゃないみたいです。でも、 ソーシャルレンディングのプラットフォーム側が持っている情報がそもそも不動産開発業者より情報が少ないという問題があるため、LBI リアルティが直接不動産取引してプロジェクトを企画することで不動産市場を把握し、その問題を軽減させようとしているということだったんですね。そして、それによって案件数を増やし、将来的には投資家側も状況を把握しやすくする、と。

まとめ

あたしはソーシャルレンディングは全体的に見て良い投資オプションだと思っていますが、だいぶ前にも書いた通り、投資家が得られる情報が少ないというのがネックだと思っています。ソーシャルレンディングの仲介会社が融資先企業の実名を出さないなどは監督行政機関による指導なので隠したくて隠しているわけではないのですが、投資家に不利なのは変わりありません。

なので、その点が改善される方向に物事が動けば、ソーシャルレンディングは一層魅力的なオプションになるはずです。今どんどんソーシャルレンディングのプラットフォームが増えていてどこで投資するか迷うところですが、この辺りの取り組みがあるかないかも会社を見極めるポイントになるのではないかというのが今村の意見です。