経済的自由のススメ ~そのあと~

経済的自由を得て現役引退したあとの生き方

なんとなくでも知っておくべき相続税と生前贈与の仕組み

みなさま、ご無沙汰してます、今村です。

仕事減らそうかなぁと思ってたのに、なぜかモテ期に突入しました。

納期はそちらの都合で良いのでお願いします的な指名案件ばかりで、そう言われると断れないわ、うふふ……と思いつつ流されて仕事しております。幸せな話です。

ところで、最近頼まれて仕事の合間に相続税と生前贈与について調べていてたらやり方によって税金が全く違ってくることにびっくりしたので、ここで学んだことをざっとまとめておきます。 

「いや、うちは親まだ元気だし相続なんてまだまだ先だから……」って思った人、早く始めるとすっごく節税できるかもですよ!

「あはは、うちは相続税がかかるほど財産ないよ」って思った人、相続税の税制改正で基礎控除がかなり減ったから分かんないですよ! 

……ということで、一応知識として読んでいってください。

場合によっては何百万円単位で税金が違ってきます。

相続税も贈与税も払うのは貰う人ですからね、何か貰える可能性がある人は上手に貰ってください。

相続税の基礎控除

平成27年1月1日から変わっていますから別に新しい情報でもなんでもないんですが、相続税の基礎控除の計算は以下の通りになっています。

定額控除の3,000万円+比例控除の600万円×法定相続人数

これ、以前は「定額控除の5,000万円+比例控除の1,000万円×法定相続人数」でした。

なので、例えば、夫、妻、子供2人の家族構成で夫が亡くなった場合、法定相続人は妻(遺産の1/2)と子供2人(遺産の1/2を2人で分けるのでそれぞれ1/4ずつ)の3人となり、基礎控除は3,000+600×3=4,800万円となります。それ以上は(なんらかの対策がない限り)相続税がかかるわけです。

以前だったら5,000+1,000×3=8,000万円の基礎控除があり、引っかからない人が多かったのですが、今だと例えば都内に土地と家があっただけで基礎控除を超えることがあります。

相続税対策

相続税対策として考えられることは大きく分けて3つあります。

  1. 生前贈与を活用して相続財産そのものを減らす
  2. 相続財産の評価を下げる
  3. 生命保険を活用して控除を受けつつ納税資金を確保する

今日はこのうちの「生前贈与を活用して相続財産そのものを減らす」についてまとめます。

通常の生前贈与

通常の生前贈与には2つのやり方があります。

暦年課税制度

年間110万円の贈与税基礎控除を使って徐々に財産を移転していくやり方です。

年間110万円は贈与を受ける側の額ですので、例えば両親からそれぞれ110万円と50万円貰った場合、50万円分の贈与税を払うことになります。

でも、贈与する側には上限がありません。また、法定相続人以外の人に贈与しても構いません。

なので、例えば、父親から自分と妻と子供に110万円ずつ、計330万円贈与してもらっても贈与税はかからないことになります。

また、年間110万円の控除ですから、110万円ずつでも10年続ければ1,100万円の相続財産を非課税で移転できる計算になります。

相続税は累進課税で最高55%になります。

そのレベルで遺産相続を受ける人は少数派な気はしますが、税率20%で計算しても1,100万円にかかる税金は220万円ですから、10年対策しただけで220万円節税できる計算というわけです。

また「駆け込み贈与」を防ぐため、年間110万円の控除は実際に相続が始まったときから3年遡って無効になり、相続税対象の財産として加算されます。

そういう意味でも暦年課税制度を使った生前贈与は早く始めれば始めるほど有利です。

相続時精算課税制度

こちらは、贈与があった時点で贈与税の課税をしないで相続時に贈与財産を相続財産に足して税金の計算をするやり方です。

この制度では、贈与が2,500万円に達するまでは贈与税がかからず、それ以上の場合は超えた部分に20%の贈与税がかかります。贈与された財産は実際の相続時に贈与時の時価で相続財産に加算され、相続税が精算されます。

要は、非課税ではなく課税を先送りしているだけなのですが、ポイントは贈与時の時価で計算されるということで、不動産や有価証券など、今後評価額が上がりそうな財産は評価額が低い時点の課税で済むことになります。

また、預金として年利0.2%で眠っていて増額しそうにない現金だとしても、前倒しで財産移転をしてもらったことで0.2%以上で運用できるのであれば、前倒しした期間分の複利効果を得ることもできます。

……ということで、こちらもやるなら早くやった方が良い対策です。

相続時精算課税制度を使いたい場合は税務署に届け出をする必要があります。そして一旦選択すると暦年課税制度に戻すことはできませんので注意してください。

贈与税の優遇措置を使った生前贈与

前倒しで貰ったほうが自分で運用できて良いという話に似ていますが、単にお金が一番必要な時期に貰ったほうがありがたみがあるということもあります。

親が80~90代で亡くなったときには子供は既に50~60代ということは十分あり得ます。

でも人生でお金が一番必要な時期というのは、結婚したいとき、家を建てたいとき、子供の学費を払っているときなど、もう少し若い時期ですよね?

そんなとき使えるのが以下です。すべて贈与税基礎控除の110万円とは別枠です。

結婚・出産・育児資金の贈与

平成31年3月31日までと期間限定ですが、「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」 を使えば、祖父母が20歳以上50歳未満の子や孫に結婚・子育て資金を受贈者1人に対して最大1,000万円まで非課税で贈与できます。

金融機関で専用口座を開設して贈与された資金を預け入れて、対象となる費用の払い出しをする形になり、領収書の提出が求められます。対象外の支払いをした場合、領収書がない場合、そして受贈者が50歳になった時点での口座の残高は通常の贈与と見なされ、贈与税の対象になります。

教育資金の一括贈与

祖父母や親が子供や孫の授業料を直接払い込むのは、もともと贈与税の対象にはならないのですが、平成31年12月31日までは「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」を使えば1,500万円まで非課税で30歳未満の子や孫に財産移転することができます。

教育資金も専用口座を開設して資金の出し入れを行います。こちらも対象の用途だと認められないものや30歳になった時点で残っている資金は贈与税の対象となります。

自分が30歳を超えている場合はこの措置で財産移転はできませんが、親に自分の子供の教育資金を出資してもらうかたちで財産移転すれば相続税ゼロということになります。

住宅取得資金の贈与

その年の合計所得金額が2,000万円以下の人しか使えませんが、「住宅取得等資金の贈与に関する非課税制度」を利用すれば、住宅取得や増改築の資金として受けた贈与を住宅のタイプによって500~1,000万円控除することが可能です。(平成30年9月まで。それ以降平成31年6月までは控除額は300~800万円。)

相続時精算課税制度を適用して2,500万円まで控除を受けることも可能です。

こちらは専用口座を開設する形ではなく、税務署に申告する形で行います。納税義務がないレベルの贈与でも申告が必要です。

贈与税の配偶者控除

婚姻期間が20年以上の夫婦の間で住宅取得資金の贈与が行われた場合は2,000万円を控除することができます。

日本国内の自分が居住するための住宅でなくてはダメで、贈与の翌年3月15日までに居住し、その後も引き続きそこに居住する前提である場合に限られます。

また、住宅取得資金の贈与と同様、納税義務が発生しなくても申告する必要があります。

ちなみに、この贈与は受けてから3年以内に被相続人が死亡して相続が開始しても暦年課税制度の110万円控除のように相続財産に加算されたりしません。そのため駆け込み的に行っても大丈夫ですが、被相続人の死亡と同じ年に贈与があった場合は加算されてしまいますので、年末に行うのが無難かもしれません。

中間まとめ

どうです?結構使えそうなものがあるでしょう?

期間限定のものもあるし、若くて資金が必要な時期に使っておくものもあるし、そうでなくても生前贈与はやるなら早めの方が節税効果が高くなるので、「うちはまだまだ先の話だから」と思ってる人も是非この機会にちょっと考えてみてください。

ただ、生前贈与するかしないか、どの優遇措置を使うかなどは、そもそもどんな相続財産があって想定される相続税はどのくらいになるのか分からないと決めにくいので、次回は相続税の計算がどうなっているのかまとめます。

また、どこまでを贈与税対象にしてどこからを相続税対象にしたらいいのかについての考え方もざっとまとめるつもりですのでよろしく。

参考資料

自分から言い出しにくい場合はこういうのがいいかも……。

マンガでわかる 親子で読む 絶対もめない! 相続・生前贈与

マンガでわかる 親子で読む 絶対もめない! 相続・生前贈与

 

 生前贈与に関してはこれすごくいいです。

もっと上手に財産移転を!  生前贈与の基礎知識

もっと上手に財産移転を! 生前贈与の基礎知識

 

知らずに脱税していて……ということを避けるために読むといいです。

本当はもっとこわい相続税

本当はもっとこわい相続税

 

 

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第二弾、書きました~。 

www.saki-imamura.com