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なんとなくでも知っておくべき贈与税の計算の仕方と相続税との損益分岐点

こんにちは~。

日本各地で何の使いみちもなくタンスや銀行の普通預金で眠っている資金を若い世代にさっさと渡したらいろんな意味で世の中良くなるんじゃないか、とマジで思っている今村です。

で、その関連で「生前贈与、使えるものは使ったほうがいいよ!」という「なんとなくでも知っておくべき」シリーズ第一弾を書き、

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その後、「相続税の計算の仕方と生命保険の活用法も知っておくといいよ!」という第二弾を書きました。 

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今日は第三弾として「贈与税の計算の仕方と相続税との損益分岐点」についてまとめます。「贈与税と相続税のどっちを払った方が得なのか」という話です。

マニアックな話ですが、一定の相続財産がある人はたぶん「うわー、これは自分も試算してみた方がいいなぁ」と思うと思うので、まあ読んでいってください。

贈与税の計算の仕方

贈与税の税率と控除額は以下の通りです。

詳しくは第一弾を読み直して欲しいんですが、暦年課税制度を使った場合、毎年110万円の贈与税基礎控除があります。なので、110万円以上の額が課税対象額となります。

ちなみに、贈与税は贈与を受けた側が払う税です。貰う側が110万までは非課税で貰えるということです。

例えば、祖父母からそれぞれ250万円貰った場合、合計500万円から110万円引いた390万円が課税対象となり、 390万円✕15%-10万円=48.5万円で48.5万円の贈与税ということになります。 

贈与税と相続税のタイミング的な違い

では、贈与税を払うのと相続税を払うのとどちらがお得なのでしょう?

これは税額の比較だけでは決められない部分もあります。タイミング的な違いがあるからです。

相続税というのは、被相続人が亡くなったタイミングで財産が引き継がれた際に払う税金です。

一方、贈与税は被相続人が亡くなる前に財産が引き継がれた際に払う税です。なので、たとえ税金が高くなっても、本当に資金が必要なときに財産を引き継ぐことができるならそのこと自体に意義がある場合もあります。

また、贈与税は贈与があった時点での時価に対して課税されるので、今後評価額が上がると思われる財産は早いうちに課税を受けた方が有利になるケースもあります。

もっと言うと、タンスや普通預金口座で眠っているだけの資金の場合、贈与税を払ってでも生前贈与してもらって運用したほうが合理的な可能性もあります。

贈与税と相続税の損益分岐点

とは言え、タイミング的な違いについては個人の事情にもよるので、今日は税額的にどう比べたら良いかについてのみ説明します。

考え方としては、相続税を見積もったうえで実質税率(実質相続税÷相続財産の総額)を計算して分岐点を探り、贈与税の実質税率(贈与税÷贈与総額)と比べる、という形になります。

相続税の計算の仕方については第二弾を読み直してもらうとして、今回は同じ例を使って実際に計算してみましょう。

設定

以前使った例は「夫、妻、子供2人の家族構成で夫が亡くなり、課税対象の相続財産が1.6億円だった場合」でした。

ここでは、基礎控除である4,800万円(3,000万円+600万円✕法定相続人数の3人)と生命保険金控除の1,500万円(500万円✕法定相続人数の3人)を使った結果として課税対象額が1.6億円になったと想定し、もともとの相続財産の総額は2.23億円(4,800万円+1,500万円+1.6億円)だったとして話を進めます。

実質相続税と実質税率(最大損益分岐点)

第二弾で計算した相続税は以下の通りでした。

  • 妻の相続税:8,000万円×30%-700万円=1,700万円
  • 子供の相続税:4,000万円×20%-200万円=600万円、600万円×2=1,200万円
  • 相続税の総額:1,700万円+1,200万円=2,900万円

第二弾で説明した通り、法定相続分とは違う分け方をする場合は相続税の総額を実際に相続する財産の割合に応じて按分するのですが、ここでは法定相続通りに「妻=50%、子供=25%ずつ」という想定で計算すると、

  • 妻:2,900万円✕50%=1,450万円
  • 子供:2,900万円✕25%=725万円、725万円✕2=1,450万円

ということになり、妻は配偶者として法定相続分または1.6億円まで税額が免除されるので、実質の相続税は子供2人の分だけの1,450万円となります。

さらに、相続財産の総額は2.23億円だったので、実質税率は1,450万円÷2.23億円で6.50%ということになります。

つまり、相続財産が増えないと仮定した場合、最大損益分岐点は6.50%ということです。

贈与税の基礎控除を毎年使った場合(最小損益分岐点)

でも、毎年きちんと110万円分の贈与税の基礎控除を使って徐々に財産を引き継いでいたら最終的な相続財産総額は減りますから、実質税率も減って損益分岐点も下がるはずです。

なので、どのくらい下がる可能性があるのかも見ていきます。

以下、上記の設定で、父が妻と子供2人にそれぞれ110万円ずつ毎年贈与していった場合に実質の相続税率がどう変化していくかを計算した結果です。

人の寿命なんてわからないので、一体何年間贈与し続けられるかというのは神のみぞ知るというところですが、年間110万円の控除は実際に相続が始まったときから3年遡って無効になって相続税対象の財産として加算されることを踏まえると、例えばあと20年生きて毎年贈与し続けたとしたら、実質税率は17年後時点の4.61%になります。

同様に、10年生きた場合は7年後時点の5.81%になります。

贈与税を使うべき範囲

さて、今回のケースでは、 相続財産が増えないと仮定した場合の最大損益分岐点は6.50%、そしてあと20年生きると仮定した場合の最小損益分岐点は4.61%とわかりました。

つまり、贈与税の基礎控除を最大限に使うのなら実質の贈与税率が4.61%未満、そうでないのなら6.50%未満という範囲が相続税でなくて贈与税を払ったほうがお得、ということになります。

実質贈与税率は以下の通りです。

4.61%を損益分岐点とするなら、200万円生前贈与してもらって9万円の税金を払っても4.50%でそちらが安くつく、ということです。 

まとめ

どうでしたか?

実質税率を計算して比べてみると、意外と基礎控除の110万円を超えて生前贈与しても安くつくことがあります。

あと、たとえ基礎控除範囲で生前贈与するにしても何年も続ければ確実に実質の相続税率が低くなります。

計画的にやるのとやらないのではかなり違ってくるので、是非機会を作って考えてみて下さい。

参考資料

 自分から言い出しにくい場合はこういうのがいいかも……。

マンガでわかる 親子で読む 絶対もめない! 相続・生前贈与

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 生前贈与に関してはこれすごくいいです。

もっと上手に財産移転を!  生前贈与の基礎知識

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知らずに脱税していて……ということを避けるために読むといいです。

本当はもっとこわい相続税

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