今日は早朝からBerkshire Hathawayの株主総会でしたねー。
今村は早起きする気などさらさらなく、あとからニュースメディアのまとめ記事をざっと読んで済ませようと思っていましたが、
今やってる https://t.co/D4zmFYBg0i
— 今村咲 (@saki_imamura) 2020年5月2日
とツイートしたときに、リンクを確認してライブ配信を流し始めたら、なんとなくノリでそこから最後まで見てしまいました。朝6時半から10時半近くまで。
長っ!!
あとからまとめ記事を読む方向で行っていたら、どれだけ記事を漁ったとしても、きっと30分もかからなかったはずなのに……。
でももう4時間費やしちゃったので、ヤケクソでまとめ記事も自分で書いときます。
なんせ休憩なしのライブ配信だったので、途中、集中力が切れ切れになったり、「えっ、今なんて言った?」と思っても巻き戻しできず流れていっちゃったりで、まあそういうクオリティのまとめですが、せっかく書いたので読んでってください。
あっ、まとめはQ&Aの部分だけです。事業報告とか議案決議の部分は割愛してます。
ちなみに、バフェットおじさんの株主への手紙もまとめてあります。こっちを先に読んでからQ&Aを読むといろいろわかりやすいかと思います。
- なぜ航空会社株を売ったのか?どれだけ売ったのか?
- 投資家には買えと勧めているのに、Berkshireはあまり買っていないのはなぜか?
- 4月に買った4.26億ドル相当の銘柄は何か?
- Munger氏やBuffett氏が退任したあと、Berkshireの文化はどうなるのか?
- 金融危機の時には融資をしていたが、今回のコロナショックではそういう融資の話はなかったのか?
- Berkshireの事業はどれくらいコロナの影響を受けているのか?
- 4月17日のインタビューで、Charlie Munger氏がコロナが収束しても再開できない事業も出てくるだろうと述べていたが、それはどうなのか?
- 不採算事業も捨てないという方針があったのではないか?
- コロナの影響で車のドライブ距離が激減していることは自動車保険業にはプラスになるのか?
- 他の保険業はどうなっているのか?コロナの影響を受けていないのか?
- 今後、パンデミック保険にも手を出す気はあるか?
- BerkshireでPPPローンの申請をした子会社はあるか?
- Berkshire株のパフォーマンスは近年S&P500を下回っているが、どうなのか?
- 自分が退任したあとはGreg、Todd、Tedがちゃんとやってくれるとのことだが、Ajit Jain氏はどうなったのか?
- Occidental Petroleumの株価が大きく下落しているがどうなのか?
- コロナで株価が下落しているが、プットオプションの支払い責任はどうなっているのか?
- Buffett氏退任後に、Berkshireを分割することはないのか?
- ヨーロッパや日本ではマイナス金利になっているが、アメリカでもそうなったら保険業の手持ち金の運用はどうなるのか?
- アメリカ政府が国債の債務不履行になることはありえるのか?
- 自社株買いが批判されるようになってきたがどう思うか?
- A株を分割して株価を下げることは考えているか?
- 銀行株をチェックする上で見るべきところはどこか?
- なぜ3月の一番割安になっていた時にもっとBerkshire株を買い戻さなかったのか?
- 超低金利なのに、どうしてクレジットカードの金利はこんなに高いのか?
- PPPローンについてどう思うか?
- 格差が激しくなっているが、資本主義についてはどう思うか?
- バフェットおじさんの最後の一言
なぜ航空会社株を売ったのか?どれだけ売ったのか?
バフェットおじさんは、Q&Aの前の事業報告の中で、4月の株式売買の総額を見せてAmerican Airlines、Delta Air Lines、Southwest Airlines、United Airlinesを売ったと述べていました。それに対しての質問です。
回答は以下の通り。
- 決してこれらの航空会社に失望したわけではない、経営陣もよくやっていると思う。この4社はアメリカの旅客マイル数の8割を担っており、これからも存続するだろう
- だが、コロナの件で航空業界の先行きの見解が変わった。コロナが収束しても運航数はすぐには以前のレベルに戻らないのではないか。また、戻ってきても価格はなかなか戻らないのではないか
- ここで航空株を保有しているのは間違いだと気づいたので売った
- 航空株は市場を介して買っていた。市場を介して事業のほんの一部だけを買うのは、事業を丸ごと買うのとは違う。丸ごと持っていたら話は違ったかもしれない
- こういう決断の場合、ポジションを減らすなどというやり方はしない。全部売った。何ヶ月もかけて積み重ねたポジションだったが、全部売るのには時間がかからなかった
バークシャーは4月に4.26億ドル相当の株式を買い、65.09億ドル相当の株式を売ったとのこと。
— 今村咲 (@saki_imamura) 2020年5月2日
*買ったもの→「覚えてない。4.26億ドルはたいした金額じゃない。たぶんToddが何か買ったんだろう」
*売ったもの→「American、Delta、Southwest、United。全部売った」#バークシャー株主総会 pic.twitter.com/Lb2J6VOD8T
投資家には買えと勧めているのに、Berkshireはあまり買っていないのはなぜか?
事業報告の話に入る前に、バフェットおじさんはアメリカ経済の底力とポテンシャルについて延々と語っていて、アメリカに長期投資しとけば間違いないと力説していました。これはそれに対する質問です。
回答は以下。
- Berkshireはいつも最悪ケースを考えて保守的に投資している
- また、現金ポジションが大きいと言われるが、Berkshireの事業も言ってみれば株式を100%所有している投資なので、それらをポートフォリオに入れて考えれば現金ポジションの割合はそれほど大きいわけではない。資金の大きさがBerkshireを優位にしている部分もある
- でも、大きな買い物をする気は満々である。もし月曜日に300億、400億、500億ドルの買収の話が来て、それが良い話だったとしたら、もちろん買う
- 一般投資家については、経済的・心理的に長期間保有できる状態を確保してから株式投資するべきである。決して借金をして投資をすべきではない
4月に買った4.26億ドル相当の銘柄は何か?
- 4月に買ったものについては覚えていない
- そもそもBerkshireで資本配分をしているのは自分だけではない。4.26億ドルはたいした金額ではないし、たぶんToddが何か買ったのだろう
Munger氏やBuffett氏が退任したあと、Berkshireの文化はどうなるのか?
バフェットおじさんの回答
- たぶん変わらないであろう
- Greg、Todd、Tedがちゃんとやってくれる
- ちなみにCharlieは96歳だが健在だ。自分もまだまだ元気だ。やむを得ず退任となるまで退任しない
Greg Abel氏の回答
- Berkshireの文化は、事業取引や経済の見通しに関するビジネス感覚を持って迅速に行動するということだと思う
- そういう意味では、Buffett氏やMunger氏には敵わないかもしれないとしても、文化を守るチームがいる。Berkshireの文化が変わることはないと思う
金融危機の時には融資をしていたが、今回のコロナショックではそういう融資の話はなかったのか?
- 今のところ、食指が動くような話は舞い込んできていない
- 金融危機の時の融資にアメリカ経済を救済するような社会貢献な意味はなかった。規模が大きく魅力的な取引だったから融資しただけである
- 今回も、アメリカ経済を救済するために融資先を探すということはしない。だが、ある程度の規模で魅力的な融資の話があればいつでも対応する
- いずれにせよ、今回は政府の支援を受けるケースが多いようで、Berkshireにはあまりそういう話は来ていない
Berkshireの事業はどれくらいコロナの影響を受けているのか?
- エネルギー部門では消費が4%減となっている
- 小売部門も休業になっているものが多く、解雇もあった
- だが、5年後には従業員も増えているだろうし、影響はそれほど大きくない
4月17日のインタビューで、Charlie Munger氏がコロナが収束しても再開できない事業も出てくるだろうと述べていたが、それはどうなのか?
- 子会社内の事業で再開しないものはあるかもしれないが、子会社が丸ごと潰れることはない
- 新聞など、コロナ以前からいまいち業績が良くなかった事業はあった。これらはコロナで一層苦しい状態になっているので、再開がないケースもある
不採算事業も捨てないという方針があったのではないか?
- 時代とともに廃れていく事業はある。そのようなものを永遠に保有し続ける方針はない
- 新聞事業などは売却できれば売却する
コロナの影響で車のドライブ距離が激減していることは自動車保険業にはプラスになるのか?
- GEICOは全米で2番目の大手自動車保険会社だが、自動車保険業界では、車のドライブ距離が減って事故も減っている分を保険契約者に還元する方向に動いている
- GEICOも保険契約者に払い戻しをする予定である
他の保険業はどうなっているのか?コロナの影響を受けていないのか?
- 訴訟になるケースが多いだろう。そして訴訟になればコストがかかる
- 自動車保険については、わりと白黒はっきりしているため予測しやすい
- 問題になるのは資産損失や事業中断の保険だが、商業不動産に関連する保険はあまり扱っていない。事業中断保険に関しては、パンデミックを原因とする事業中断を含む契約のみが対象になる。パンデミックを含んでいない契約も多い
- なんにせよ、これらのタイプの保険の割合は他の保険会社よりも小さい。まずいことになっている保険会社もあるが、Berkshireの状況はそこまでひどくない
今後、パンデミック保険にも手を出す気はあるか?
- 希望があれば喜んで検討する
- 今までも様々な変わった保険を提供してきた
- ただし、一定以上規模で、価格が魅力的であることが条件
BerkshireでPPPローンの申請をした子会社はあるか?
- ない
Berkshire株のパフォーマンスは近年S&P500を下回っているが、どうなのか?
- 今後BerkshireがS&P500を上回るパフォーマンスを出すと賭けるかと言われたら賭ける気にはなれない
- 自分の資産の99%がBerkshireにつぎ込まれているので、できる限りのことはするが、資産運用とは金額が大きくなると難しくなるものである
- Berkshireの簿価は現在3,700億ドルほどだが、これは50億ドルのファンドを運用するのとはわけが違う。50億ドル程度のファンドだったら運用も簡単だが、なかなかそうはいかない
自分が退任したあとはGreg、Todd、Tedがちゃんとやってくれるとのことだが、Ajit Jain氏はどうなったのか?
- 自分が今やっているのは資本配分なので、資本配分を担当しているGreg、Todd、Tedの名前を挙げた。
- Ajitは保険業担当だ。彼はBerkshireに欠かせない凄腕である
Occidental Petroleumの株価が大きく下落しているがどうなのか?
- Occidentalは石油会社なので、株価が原油価格に影響されることは免れない
- 1バレル20ドルくらいでないと採算が取れないのだが、コロナで原油価格が暴落することは予想できなかったので仕方ない
コロナで株価が下落しているが、プットオプションの支払い責任はどうなっているのか?
- 2004年~2006年くらいの間に、満期が15~20年先の設定でインデックスのプットオプションを50枚ほど売って48億ドルほどのプレミアムを受け取った
- これらのプットオプションはヨーロッパスタイルと呼ばれるもので、満期時点でインデックスがオプション売買成立日の価格を下回っている場合のみ、下回っている度合いに応じて支払い義務が生じるものである
- すでに満期を過ぎたものもあり、現在残っているのは140億ドル分ほどである。20~25%ほどが今年の終わりがけに満期を迎えるはずだ
Buffett氏退任後に、Berkshireを分割することはないのか?
- 検討したことはあるが、それはない
- Berkshireにはたくさんの子会社があるが、それらを譲渡するとなると莫大な税が生じて、株主に不利になる
- また、複合企業として資金を事業間で融通し合えるのは大きなメリットであるが、Berkshireを分割するとそれがなくなってしまう
- 私の退任後のBerkshireのプランは、かなり前から練っているものである
- 税制が大きく変わって事業譲渡の課税がなくなったりすれば話は別だが、株主が不利になることはしない
ヨーロッパや日本ではマイナス金利になっているが、アメリカでもそうなったら保険業の手持ち金の運用はどうなるのか?
- マイナス金利になるのか、そうなったらそれが継続するのか、そのあたりのことは自分にはわからない
- いずれにせよ、短期国債は投資商品として良いものではない
(だからどうするんだというところは、おじさんが答えなかったのか、今村が聞き逃したのかよくわかりません……。ノート取ってたんですが、なんも書いてないっす。ごめん。ただ、株主への手紙では他の運用法がある的なこと言ってましたね……。)
アメリカ政府が国債の債務不履行になることはありえるのか?
- ない
- 自国の通貨で国債を発行しているから大丈夫である
自社株買いが批判されるようになってきたがどう思うか?
- 確かに自社株買いを批判することが正しいという風潮になっている
- 良い自社株買いには、1)成長に資金を投じるという前提、2)割安の時のみ買うという条件がある。価格やニーズに応じて行わなくてはならない
- 自社株買いは、株主全員に有無を言わせず支払う配当と違って、リターンを現金化したくない株主はしなくても良いというメリットがある
A株を分割して株価を下げることは考えているか?
全部A株で所有しているが、老後資金として小出しに現金化したいので分割を望んでいるという人からの質問。
- A株はB株に転換できる
- 昔はA株とB株で議決権に差があったが、今はないので、B株に変えて小出しに売れば良い
- 自分もA株を寄付する際にはB株に変えて寄付している
銀行株をチェックする上で見るべきところはどこか?
このような経済状況だとローンの不良債権化などの問題が出てくるのではないか、きちんとしている銀行とそうでない銀行を見分けるにはどこを見れば良いのかという質問。
- 今回は金融危機のときのような状況ではなく、銀行業界自体に問題はない
- また、銀行は十分な資金を準備金に充てているので、当面は心配する必要はないのでないか
- ただ、コロナの状況がいつまで続くのかわからないので、もっと先のことはわからない
なぜ3月の一番割安になっていた時にもっとBerkshire株を買い戻さなかったのか?
- 毎日自社株買いをしているわけでも、自社株買いのことを考えているわけでもない
- 他に良いお金の使い方があれば、割安でも自社株買いしないこともある
超低金利なのに、どうしてクレジットカードの金利はこんなに高いのか?
- クレジットカードの金利を決める仕組みについてはよく知らないが、競合などもあるのだろう
- そんなことより、クレジットカードで18%の金利を払うなどということは直ちにやめなさい。18%のリターンを得られる投資など滅多にないのだから、投資云々言っている前にクレジットカードの返済を終えなさい
PPPローンについてどう思うか?
- 人々を助ける良いアイデアだと思っている
格差が激しくなっているが、資本主義についてはどう思うか?
- 資本主義は、脱落した者にとっては残酷なシステムである
- ただ、アメリカの発展は資本主義なしではあり得なかった
- そういう意味で、資本主義とは、素晴らしいが政府の介入が必要なシステムである
- 勝者一人勝ちになるような資本主義ではなく、誰もが参加できる資本主義にしていかなくてはならない
バフェットおじさんの最後の一言
4時間半に渡るBerkshireの株主総会、終了
— 今村咲 (@saki_imamura) 2020年5月3日
バフェットおじさんの最後の言葉
”Never bet against America”
(決してアメリカの負けに賭けるな)