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Google翻訳を使う時の注意点と質の良い文章についての考察

前回、「Google翻訳を使うのはいいけど、その分質のいい文章を読むように心がけましょう」という記事を書きました。

Google翻訳について翻訳を生業としてるあたしが言いたいこと

何回も書き直し、最後の方にはまとまってるのかまとまっていないのか自分でもよく分からない状態になってしまってたんですが、やっぱり説明足らずだった面があったなぁという感じです。なので、今日は前回の補足として、あたしが言う「質の良い文章」とはどういう文章のことなのか、そしてGoogle翻訳を使うときの注意点は何かということについて話します。

質の良い文章とは

あたしが言う「質の良い文章」というのは以下のようなものです。

  • 伝えたい内容がきちんとしている
  • 適切な表現を駆使している
  • 分かりやすく構成されている
  • 誤字脱字がない

なので、以下のような文章とも言えます。

  • さっと斜め読みしただけで何が言いたいのかわかる
  • 誤解の余地がない
  • インパクトがある
  • (そして翻訳者の視点で言うと訳しやすい)

つまり、必ずしも文学的に美しかったり表現が斬新であったりする必要はなく、コミュニケーションのツールとして上手く使われている文章ということです。1つの目安として、書籍などプロの校正者が工程に入って仕上げたであろう文章はここであたしが言う「質の良い文章」に高い確率で入ります。出版する価値がある内容(メッセージ)があり、それを適切な表現と分かりやすい構成でまとめて商品として世の中に出しているからです。

この本に書いてあることが自然にできてればOKです。

なーんだ、そんなレベルの話かと思うかもしれません。でもですね、意外にできない人が多いんです。

Google翻訳の精度を問う前に

あたしは日英翻訳を仕事としているので、いろいろな人が書いた日本語の原稿をいつも読んでいます。でも「これは◯◯じゃなくて△△って言いたかったんでしょ?」とか「言いたいことはなんとなく分かるけどすごく分かりにくい流れだな」とか「雰囲気だけで書いてて自分で何が言いたいか分かってないな、これは」みたいな文章にしょっちゅう遭遇します。日本語の文章としておかしいケースも多々あります。誤字脱字、変換ミスもしょっちゅう見ます。

こういう場合、機械翻訳はあんまり役に立ちません。

例えば「本校では以下の教育理念を掲げ、勉学に励みます」みたいな文章があった場合、「いや、言いたいことは分かるけど勉学に励むのはあんたたちじゃなくて生徒でしょ?」っていう人間のツッコミと適切な補足がないと正確で分かりやすい良い訳文にならないからです。

ある意味、こういう文章を書く人がたくさんいるから人間の翻訳者は当分生き残っていけるとも言えます。なので、あたしは文句を言う立場ではないのかもしれません。

でも、「Google翻訳スゴイ!」とか「いやまだダメ」とかGoogle翻訳の精度だけを見ている世間を見ると、いや、AIの力がどうとかって言う前に自分たちの文章力をさ、もっと良くしようよ……と思うわけです。

そして、精度を確認するためにいろんな人が日本語→英語→日本語と逆翻訳(back translation)して「いいんじゃない、これ!」なんて言ってるのを見ると、ちゃんと精度と品質を別に考えてるのかなと心配してしまうわけです。これが前回の記事を書いた理由です。

逆翻訳(back translation)について知ってほしいこと

日本語の文章をGoogle翻訳で他の言語に訳してそれをもう一度日本語に訳したらどうなるかっていう遊び、よくありますよね。糸電話とか伝言ゲームのハイパーバージョンみたいな感じで結構笑える遊びです。

でも、今回Google翻訳が進化したというニュースを受けて、この逆翻訳を使って精度を試していた人がたくさんいました。いや、それ自体は別にいいんですが。

逆翻訳というのは、実は研究でも使われる手法です。例えば、英語圏で行われた意識調査をもとにした研究結果が日本語圏にもあてはまるのかという研究をする場合、英語の調査票を日本語に訳し、それを別の翻訳者に英語に訳し戻させて日本語バージョンが英語バージョンと同等のものだと考えられるかテストしたりします。

で、そういうback translationの仕事(日本語を英語に訳し戻す仕事)がたまにくるんですが、あたしの今までの経験で言うとあるのは以下の3つのパターンです。

  1. 日本語として自然で分かりやすい文章:意味的には絶対訳し戻せてると思う一方、もとの英語と全く同じ表現になっているかはわからないというパターン。
  2. もろ直訳的でもとの英語が透けてみえる文章:日本語として不自然でこんなの調査票に使っちゃダメでしょうと思う一方、もとの文章ってズバリこれでしょ?と確信を持って訳し戻せてしまうパターン。
  3. 何言ってるのか分からない文章:仕事だから必死に考えて訳文を作るけれど、「◯◯という意味でしょうか?ご確認ください」と申し送りをつけなくちゃダメなパターン。

問題なのは2です。日本語訳がダメダメなせいで完璧なback translationができちゃってます。

つまり何が言いたいのかというと、逆翻訳は「大体言ってることがわかるか」というレベルの検証としては使えるけれど、翻訳としていいかどうかの検証としては使えない、ということです。

なので、Google翻訳の「精度」を「何を言っているかわかるかどうか」と定義して逆翻訳するのは問題ありませんが、その精度を「文章としてよいか」という品質と勘違いしないようにしなくてはダメですし、Google翻訳で自分の英文をチェックするにしてもそういうレベルのチェックが限界だということを理解したうえで行うべき、ということになります。

まとめ

前も言いましたが、Google翻訳はツールです。どんなツールでもそうですが、使い方だけ学んで使うのと仕組みを理解して使うのとでは得るものが全然違います。例えば、Google翻訳の限界がこうならやはりある程度英語を勉強するべきかなとか、こういう面でGoogle翻訳がダメならそれを補うような原文を書けばいいんじゃないかとか、ツールと自分の関係について考えることができるからです。

是非「これは使えるか・使えないか」だけでなく「どうすれば最も有効な使い方ができるのか」という視点からGoogle翻訳を見てみてください。