かなりご無沙汰してました今村です、こんにちは。
久しぶりにブログでも書くかな……と思ってブログを開けてみたら、書きかけのまま放置してあった下書きを発見しました。
去年の9月に書いた下書きで、なんでその時書き上げて出さなかったのかよくわからないんですが、9割方書けていたし、捨てるのがもったいないので書き上げて出しときます。
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今回ブログを書きたくなったのは、橘さんのこの記事を読んだからです。
- アーリーリタイアを目指すのは今の仕事が好きでないからだ
- 好きを仕事にできれば早期退職する理由などない
- 人生100年の時代には「経済的な独立を達成し、リタイアせずに好きな仕事をずっと続け、自分らしく生きる」ことが理想のライフスタイルになる
- ただ、誰にでもできることではないだろう
という話です。
今村も概ね同意ですね。実際、翻訳という好きなことを仕事にしていたときはアーリーリタイアを目指そうなどと思ったことは一度もありませんでした。
でも、「誰にでもできることではないだろう」の言葉通り、経済的な独立はもっと昔に達成していたのに「リタイアせず好きな仕事をずっと続ける」ことにはならず、結局40代で現役引退しました。
……てことで、なぜそうなったのか、「好き」を仕事にするとはどういうことなのか、理想をどう考えるべきか、根本的なポイントはどこなのか、「好き」を仕事にしていたのに結局は早期リタイアした人の視点からちょっと書いておきます。
経済的自由の考え方
と、その前に、橘さんの言う「経済的な独立」と、あたしが考える「経済的自由」は微妙に違うので、ちょっとその辺の説明をしときます。
橘さんの記事にある「経済的な独立」は「意に沿わない仕事を命じられたとき、それを敢然と拒否できるような経済的な土台」ということなので、仕事を辞めさせられることになっても困らない貯蓄を指しているんだと思いますが、今村はここにも書いた通り
「解雇される心配がない状態、または、されても他で雇用を見つけられる状態で、好きなことをして必要な収入を得ている」のであれば、経済的に自由だと思っています。
貯蓄ではなく、自分の稼ぐ能力を拠り所とした自由、というわけです。
今村は、翻訳業をしていた当時は、チェッカーやネイティブ校正者からも高評価をもらって、エンドクライアントからも指名案件がもらえるレベルになっていました。なので、エージェンシーが潰れたりしない限りは切られる心配はほぼなく、たとえ切られても他のエージェンシーに行けば良いだけの状態でした。
また、機械翻訳などの時代の波はありましたが、専門が学術論文だったので、簡単に人力翻訳が淘汰される見込みは当分ありませんでした。今後10年20年先のことはわかりませんが、今村が現役の頃は大丈夫だったわけです。
要は、経済的な独立があったから好きなことができたのではなく、好きなことを極めたら切られないレベルに到達して経済的自由につながったんですね。
なので、橘さんが言う「経済的独立→好きなこと」という順序ももちろんアリだと思いますが、逆の「好きなこと→経済的自由」もアリという考え方です。
「好き」を仕事にするということ
では、そういう意味で好きなことを仕事にするとはどういうことか?
ここでも言っていますが、今村は今までの経験から
今村咲の「さしすせそ」
— 今村咲 (@saki_imamura) December 12, 2019
さ:さっさと行動しなさいよ
し:心配したって仕方ないでしょ
す:好きなことするのが一番よー
せ:成長できてりゃそれでいーの
そ:損得考えてる時間がもう損なんだってば
好きなことをするのが一番だと信じています。楽しいし、努力が苦にならないからです。
でも、苦にならないだけで努力自体は必要です。決して「好きなことをすれば簡単」ということではありません。だから「誰にでもできることではない」という感じになりがちなんだと思います。
以下、説明していきます。
1. 好きなようにできないと楽しくない
まず、好きな作業を好きなようにできないと楽しく仕事するのが難しくなります。
なので、以前ここでも書きましたが、
同じ業種でもどの分野のどういう仕事が好きで、どういう取引先や仲間とどう仕事したいのかを明確にして、積極的にそちらに舵切りする努力が必要です。
要は、好きな仕事でも、嫌なやり方を強制されたり、自分が満足する形でできなければ苦痛になるということですね*1。そういう面を管理して自分をうまくポジショニングする能力がないと、好きを仕事にして長く続けていくのは難しくなります。
2. 成長できないと続かない
「好き」という気持ちは、取り組んでいくと発展し変化するものです。
以前できなかったことができるようになると、当初は好きだったことでも簡単すぎてつまらなくなったりします。逆もしかりで、難しい技法にチャレンジするのが楽しかったのが、できるようになってくると基本の大事さがわかって気持ちがそちらに戻ることもあります。
また、「好き」を応用できる新しい場所が開けて来るとそちらに興味が移ることもあるし、今「好き」を使っている場所ではそれ以上道が開けていなくて他の道を探さずを得なくなることもあります。
常に「好き」が自由に広がって成長できる場所を意識的に確保していかないと、続ける意義がなくなってくるということです。
3. 「求められる」は「好き」を強化する
「好き」というのは不思議なもので、根本的には自分の中から湧いてこないと全然パワーがないくせに、他者から求められることでものすごくパワーアップしたりします。
いつも以上に大変だったり辛かったりして、自分の「好き」という気持ちだけでは挫けそうになっても、求めてくれる人がいれば頑張れちゃったりするわけです。
だから、必須ではないけれど、求められていそうな方向を意識しながら「好き」を伸ばすのも「好き」を仕事として続けるコツです。
「好き」を仕事にしていたのに引退した理由
今村は上の1はしっかりできていました。
好きな仕事を好きなように好きな相手としていたので、辞めたくなるような理由はありませんでした。実際ずっと楽しかったし、働いてるという感じではありませんでした。
全く文句がなかったわけではないですが、基本、仕事が大変な時の「キャー!」はジェットコースターに乗っている時の「キャー!」と同じで、難しい案件の時の「何これ!」は難しいパズルで遊んでいる時の「何これ!」と同じでした。
でも終盤は2がだんだん難しくなりました。
エージェンシーもクライアントもあたしの仕事に満足でそれ以上のものを求めておらず、あたし自身の成長の余地があまりなくなってきていたからです。
エージェンシー側から人材育成やプロジェクト管理などの仕事も打診されましたが、個人的には翻訳そのものが好きだったので、職人としての立場以外には興味が持てませんでした。
また、実際に引退する2年くらい前には、もう労働所得はなくても大丈夫という状態まで資産形成ができてしまっていました。
そのため、自己成長がほとんど望めないことを稼ぐ必要もないのにしていていいのか?そういう人生の使い方でいいのか?と疑問に思うようになりました。
それでもすぐに辞めずに続けていたのは、3があったからです。
いつも指名してこちらのスケジュールに合わせてくれるエンドクライアントとか、何か難しいことがあると頼ってくれたり仕事を減らしてもいいから続けて欲しいと言ってくれる担当者とか、求めてくれる人がいたことが、「もう少し続けようか」という気持ちにさせていました。
最終的に辞める決断に至った理由は、父の急死でした。
そういう人生の使い方でいいのか?なんて思っているなら、さっさと辞めて別の使い方を模索したほうが良い、人生は短いし何が起こるかなどわからない、と痛感したからでした。
そして現役引退後もうすぐ2年となった今でも、これは正しい決断だったと思っています。
人生100年時代の理想の生き方
じゃあ人生100年の時代の理想の生き方って何なんでしょう?
「経済的な独立を達成し、リタイアせずに好きな仕事をずっと続け、自分らしく生きる」は確かに理想だとは思います。
好きな仕事を1、2、3の条件を満たしながらやっていけるのであれば、それは文句なく素晴らしいです。
でも、それは理想の1つにしかすぎない、と今村は思います。
そもそも、仕事にできるような「好き」はそんな簡単に見つからないものです。人生にはいろいろ試してみないとわからないことが山ほどあります。
そして、そういう模索自体も、実際に「好き」を仕事にするのと同じくらい良い経験だったりします。自分にとっての発見や成長に繋がるからです。
そして、上で説明したように、「好き」を仕事にできても延々できるかどうかはわかりません。もう辞め時なのに「ずっと続けるのが理想だから続ける」なんて言っていたら本末転倒です。
だから、理想は「どんな形でもいいから、人生100年ずっと自分が前進し成長できること」じゃないかなと思います。
「経済的な独立を達成し、リタイアせずに好きな仕事をずっと続け、自分らしく生きる」というのもそれを満たしていますが、それに限定しなくても、人生100年ずっと自分を育てて生きていければそれだけで理想的で幸せなんじゃないかな、と。
経済的自由自体は、きちんと自分を育てていたらおのずとついてくる気がします。成長していけば、経済的自由を画策しない自分はありえなくなってくるので。
人生100年時代の生き方のポイント
では、人生100年ずっと前進し成長し続けるために必要なのは何でしょう?
最低限の生活を確保するという意味で、経済的基盤はある程度必要です。衣食住がギリギリの状態で前進や成長を考えるのは大変ですからね。
でもそこを超えたら、お金はそれほど重要じゃなくなります。
「今の自分は1年前の自分より成長している、来年の自分はもっと成長しているはず」という手応えや、「それによって周りの人や社会に貢献できている」という感覚は、お金があれば得られるものじゃないからです。
なので、本当に必要なポイントは、
- 自分を持つということ
- 自分の心に従っていろいろなことを試す行動力
- いろいろ試す中で感じたことや学んだことをしっかり自分の頭で考える思考力
なんじゃないかと今村は思います。それと、これらを実践できる健康な肉体があることですかね。
人と比べるのではなく過去の自分と比べ、結果ではなく過程に全てがあることを踏まえて「試す」→「学ぶ」→「次に活かして試す」→「学ぶ」というサイクルを回していける人間性があって、それを実践できる健康体があれば、100年でも200年でもやっていけそうです。(健康体を200年保つのは今の所難しそうですが……。)
「経済的な独立を達成し、リタイアせずに好きな仕事をずっと続け、自分らしく生きる」については、橘さんも「誰にでもできることではない」と言っていますが、「自分を持ち、自分の心に従っていろいろ試し、そこから学んだことを活かしてまた何か試すというサイクルを回す」というのは誰でもできます。みな、それぞれ自分のレベルでやればいいことだからです。
まとめ
ゲイツくんがこんなことを言ってましたが
【今日の言葉】
— 今村咲 (@saki_imamura) August 29, 2020
"Most people overestimate what they can do in one year and underestimate what they can do in ten years." -Bill Gates
(大抵の人は1年でできることを多く見積もりすぎていて、10年でできることを少なく見積もりすぎている)
人は10年あれば結構いろんなことができるものです。
人生100年なら、30歳から始めたって10年は7回分残っています。
だから、いろいろ試せばいいと思います。方向転換だって何回でもすればいい。
「これが正解なのかわからない」とか「上手く行かないかもしれない」と迷っちゃう人や、「◯◯がないからできない」とか「◯◯したらやりたい」と言って先延ばししちゃう人はみんな、今村咲の「さしすせそ」をもう一回読んでほしいです。
自戒も込めて。
おまけ:募集
今村は4月8日に50歳の誕生日を迎えます。
で、せっかくなので、この節目に人生を振り返って、学んだことなんかをまとめて書いておこうかなぁと思っているんですが、何か今村に質問したり相談したりしたいことがあれば、ついでに受け付けます。
ブログの中で答えるか、個別で答えるかは内容にもよるのでわかりませんが、今村に聞いてみたいことがある人は、下のお問い合わせフォームから送ってください。
締め切りは2021年4月3日とします。
*1:好きじゃない仕事の場合はなおさらなので、好きなやり方で比較的嫌いじゃないことができるように舵切りするべきです