以前、2014年からジョギングを始めて2016年にフルマラソンを完走して自分にめちゃくちゃ感動したと言ったことがありますが、あの過程ではものすごくいろんなことを学びました。
なので、今日はその話をします。とりあえず単なる読み物として読んでいってください。
走り始める前の状態
まず、そもそもあたしが身体的にどういうレベルだったか、ちょっと書いておきます。
……って書くと、まあ想像がつくかもしれませんが、今村はもともと運動神経があんまり良くない人です。得意なスポーツとかもありません。残念ながら。
それとは別に、2010年にある病気が発覚して手術し、その後数ヶ月くらい薬物療法を受けていました。手術前もずっと体調が悪かったんですが、手術後は体重が10キロくらい減って筋肉もほとんどなくなっていました。あと後遺症みたいなものがあって、別のお薬もずっと飲んでいました。
あの頃は歩くのもつらいくらいでした。
家の周りをワンコと散歩したりすると途中で座って休憩しなくちゃダメ……というレベルで、とにかく身体が言うことを聞いてくれないし、無理やり言うこと聞かせると次の日は寝込むという状態でした。
でもその後、だいぶ回復して普通に生活できるようになり、なんとか家財一切処分して日本に戻ってきました。2012年の年末のことです。
日本に戻ってきて少し落ち着いてからは、のんびり散歩というレベルでしたが、なるべく日課として歩くことを心がけていました。立ち止まって花の写真撮っては友達に送りつけたりとかしてました。2014年の春頃の話です。
でも続けるうちにだんだん早足で「ウォーキング」できるようになり、2014年の秋頃にはエクササイズしてるぞ!という感じになってきてました。
走り始めたきっかけ
早足が走ることに変わったきっかけは簡単です。
走りたい衝動に駆られたからです。
いや、早足がだんだん速くなってくるとそうなるんですねぇ。知りませんでした。笑
競歩の選手ってめちゃくちゃ速くてすごい!っていうのは前から思っていましたが、今はそれよりも「走りたい衝動とか自動的に走り出してしまう身体を抑えながらあんなに速く長時間歩けてスゴイ!」と思います。
早足って、速くなればなるほど不自由感がものすごく増してきませんか?あたしだけかなぁ?
でも、走りたい衝動に駆られたまま1週間くらい走らずに歩いてました。怖くて。
だってもう何年も走ったことなんかなかったんですよ。それに身体が思うように動かないっていう感覚が常にあったので、走ろうとした途端にコケる自分が目に見えてました。
でも走りたい衝動は大きくなっていきました。
で、とうとう我慢できなくなって、もうコケてもいいから走りたい!と思って数歩駆け足してみたわけです。
マジでぎっくり腰になりそうになったんですが笑、この時「うわ、楽しい!」と思いました。これが2014年の終わり頃でした。
走り始めて起こったこと
それからは毎日「走りに」行くのが楽しみで仕方なくなりました。
「数歩駆け足」が「10メートルくらい駆け足しては20メートルくらい歩く」になり「50メートル止まらずに駆け足」になり……という進歩があり、今思うと我ながら超低レベルで笑えるんですが、もう「おお!50メートル止まらず走れたぜ!」みたいに毎回本気で嬉しいんです。
いや、めちゃくちゃ遅いんですよ。すぐに息切れしてたし。それでも嬉しいんです。
ほら、3歳くらいの子供って広い場所に降ろしてあげると何もないのにダーッと走って行っちゃうでしょう?あれ、嬉しくて自分を抑えられないんじゃないですかね?
今までハイハイとかよちよち歩きとかしかできずに身体が不自由だったのが、走れるようになっちゃったから、自由になっちゃったから、広い場所に出ると走らずにはいられないんじゃないですかね?
まあ実際に3歳児がどう思ってるのかは知りませんが、とにかくあたしはそういう気持ちでした。
毎回嬉しくて嬉しくて、楽しくて楽しくて。
で、そんなことをしばらくしていたら、1キロくらい止まらずに走れるようになりました。
そしてそこから2キロ、3キロ、と徐々に距離を伸ばしていって、とうとう初めて5キロ止まらず走れたとき、ふと思いました。
これってどこまで伸びるんだろう?
このまま続けていったら、例えばフルマラソンなんかも走れちゃうわけ?
なので、その時決めました。
とりあえずフルマラソン完走できるくらいになるまでは続ける、と。
これが2015年の初め頃でした。
基礎を学ぶ
最終的な目標はフルマラソン完走と決めた時点で、まずやるべきことは明白でした。
基礎を学ぶ、です。
ここまで自己流で来たけどこれ以上は無理だろう、それにきちんとやったらもっとできるようになるんじゃない?と思ったわけです。
で、やったことは以下の通りです。
- 「Runkeeper」や「RockMyRun」のアプリを導入。距離やペースを確認しながら練習
- ランニング教室に入会。月1回の指導を受ける
- ランニング雑誌「ランナーズ」と「クリール」を購読。その他ビギナー向けのフルマラソンの本も読み漁って、練習方法、シューズやウェアの選び方、食事、サプリなど、マラソン攻略法を研究
- YouTubeでも初心者向けランニングビデオを漁って勉強
- 経験を積むため、秋頃開催の10Kレースにエントリー
- MY ASICSで登録して10Kレースに向けてトレーニングプランを作成
- 走るだけでなく筋トレやストレッチなども導入
- タンパク質を大幅に増やした食生活に変更
- 距離、ペース、時間、体調、体重、天気、履いたシューズなどを毎日記録
スポーツ貧血で挫折
そんなこんなでその後数ヶ月間頑張って練習していたんですが、夏頃から体調が悪くなってきてしまいました。
息切れが激しくて、何もしていなくても心臓がドキドキします。ひどい時は横にならないとダメなくらい気分が悪くなります。そして当然走れません。
おかしい。なんかヤバイ。医者に行った方がいいかも。
そう思い始めた時、たまたま症状がひどくなる直前に受けていた健康診断の結果が戻ってきて原因が分かりました。
貧血です。ヘモグロビンが基準値を大きく下回っていました。肝機能もかなり良くない数値になっていました。
このとき初めて知ったんですが、これは激しい運動が原因で起こるスポーツ貧血でした。大量の発汗で失われる鉄分、筋肉量が増えることで消費される鉄分、また、ランニングの場合は足裏の血管内で踏み潰される赤血球の増加などの理由で鉄分が足りなくなります。
その結果、血液中のヘモグロビンが激減して極端な貧血になり、呼吸しても体内に酸素が十分回らなくなるので、動悸・息切れが起こります。
で、こうなると鉄剤飲んで療養するしかないみたいです。しかも赤血球って作るのに時間がかかるので戻るまで少なくとも3ヶ月くらいかかるとのこと。
仕方ないので……というかホントに身体が悲鳴を上げるので、走る練習は強度も頻度も落としました。
そして秋の10Kレース、諦めきれず一応出走しましたが、6キロくらいでリタイアしました。それで精一杯でした。
フルマラソン完走宣言
実はスポーツ貧血の症状が酷くなる前に、とあるフルマラソンのエントリー応募していました。翌年3月のレースだったのでちょっとフルマラソンにトライするには早いかも……っていうのもあったけど、抽選だからとりあえず応募しておこうと思って。
……で、当選しちゃいました。あはは。
……なので、腹くくりました。
そしてその旨を友達に報告。そしたら「応援に行くよ!」と言ってくれる人がいたり、経験者がアドバイスくれたりしました。
もともとあたしは何かを始める時に人に相談したりしないタチです。大体いつもやりたいからやるだけなので、「できるの?」とか「大丈夫?」とかいちいち言われるのが面倒なんですよね。でもフルマラソンの経験者がいるような友達の輪だったからか、ポジティブな反応しかなくて、結果的にすごく助けてもらえたし、力をもらいました。
トレーニングに励む
そんな時だったので、10Kレースを完走できず、貧血だとわかったとは言え体調がなかなか元に戻らなくなったのには結構凹みました。
でももうフルマラソンに出ることは決まっちゃったし、抽選だから次の年には応募しても出られない可能性大だし、悩むにしてもあんまり選択肢がないし。
これは頑張るしかないでしょうって感じで、体調が戻ってきた2015年の終わり頃から体調管理をもっと強化したうえでトレーニングに励みました。
実は、年末年始と第一四半期はあたしにとって仕事が一番忙しい時期です。
年末前に原稿書いて休暇に入るクライアントや、年度末までに予算使わなくちゃいけないクライアントが多いので、1月から3月末まではホントにこれでもかってくらい仕事が来ます。
そういう意味で、3月中旬のレースに向けてトレーニングと調整をするのがすごく大変だったわけですが、仕方ないので仕事の方を減らしました。(←え?)
年に一番クライアントに必要とされてる時に仕事を片っ端から断るっていうのはフリーランサーとして褒められた行為じゃないんですが、もうね、優先順位的にね、フルマラソン完走がトップになってたので。
実際、本番1~2ヶ月前は長距離を走っておかないとダメってことで走る距離を伸ばしていました。
でもなんせ走るのが遅いので、25キロとか走ろうと思うと3時間以上かかっちゃうわけです。前後に着替えとかストレッチとかやってると昼になっちゃうんですよ。
で、長距離走してお昼ごはん食べたらね、仕事があろうがなんだろうが起きていられなくて、いつも午後は1時間くらい気を失ってました。ホント、ろくに仕事なんてできない状態でした。
フルマラソンに挑戦
そんなこんなで、本番が刻々と近づいてきました。
ホントは友達にも誘われていたので試走に行きたかったんですが、どうしても都合と体調が合わずできなかったので、本番前はビデオで何回もコースを見ました(インターネットバンザイ!)。そして地図でもコースを何回も確認して記憶、どこでどんな給水や給食があるのかも頭に叩き込んで、作戦を練ってイメージトレーニングを何回もしてから当日を迎えました。
ここからは細かく話し出すとキリがないので端折りますが、1回練習で走ったことがあった30キロまではなんとか走りました。
でもそこから先が辛かった……。
エネルギー切れになってきてるのがわかっていても、もう消化器系がシャットダウンしちゃってて給食なんて食べられません。スポーツドリンクだけでフラフラになりながら惰性で走ります。
エネルギー切れになると頭も回転しなくなってきます。
覚えたはずのコースもよく分からなくなってきて「あれ?ここ曲がるんだっけ??」みたいになったり、33キロ地点って看板が見えてきても「てことはあと何キロ?42.195引く33は……えっと……33引くと……えっと……えっと……あと何キロなの!?(涙)」みたいな感じになってきます。
でも36キロ地点を過ぎたところで友達がエネルギージェルを持って待っていてくれました。天の助け。
おかげでそれを飲みつつ進んで38キロ地点の看板を見た時、咄嗟に自分の時計を見て一瞬で「あと4キロちょっとだ、キロ8分で行けば5時間台でゴールできる!」と計算できたんですよねー。笑
で、そこから最後の力を振り絞って「5時間台、5時間台」と自分に言い聞かせながら走り……
走り……
走り……
走り……
5時間58分台でゴールしました!
ネットタイムは5時間44分ちょっとでした。
フルマラソン完走後
ゴール後は嬉しくて嬉しくて飛び上がった……と言いたいところですが、嬉しさを表現する力なんか残ってなくて、スイッチが切れたみたいに動けなくなってました。
ホントはもうそのまま倒れたい、せめて座って休みたいんだけど、もう体中が痛くてぱっと座れません。壁にしがみついてそ~っとゆっくり腰を落としてやっと座ります。で、座ったらもう動けない。
でもそれさえ感動でした。そこまで身体使ったことなんてなかったので。
あと、足は練習で何度も筋肉痛になったんですが、腕が筋肉痛になるとは思わなかったです。腕も6時間近く振ってると筋肉痛になるんですねぇ。そういう発見も感動しました。
マラソンを走ったことがある人やちょっと詳しい人なら分かると思いますが、6時間弱ってはっきり言って激おそです。トップクラスの人は2時間半切るし、普通はみなさんサブ4とかサブ3とか言って4時間以内とか3時間以内目指すんですよね。
でもそんなことはどうでもよくて。
だって完走したんですよ、しかも5時間台で!!
自分に感動するなんて久しぶりでした。
そして今
あれからもうすぐ1年です。
今はどうしてるかと言うと、1日おきくらいに5キロジョギングするというレベルで継続しています。あんまりハードなことはしていません*1。
とりあえず今はマラソンに出る予定もありません。
またやりたくなったらやると思いますが、そのときはもう少し時間をかけて緩くトレーニングすると思います。
あくまで今村個人の話ですが、フルマラソン後にレベルを下げてほどほどに走るようになってからの健康診断では赤血球、肝機能など全ての血液検査の結果が劇的に改善したんですよね。やっぱり健康という視点で言うと頑張りすぎないほうがいいんじゃないかと。
でも、これ以上頑張れないくらい頑張って実際に目標を達成したっていう事実は、今の自分にとってものすごい財産になっています。時間も労力もお金もたくさん使ったけれど本当にプライスレスでした。
自分への投資とかそういうつもりでやったわけじゃないんですが、そうだとしたら学校に行くとかその辺で習い事するなんて目じゃないレベルの投資だったと思います。これから一生確実にリターンを生むので。
「好き!」とか「やってみたい!」とか、自分を勝手に動かしてくれるものに従ってとことん自分に付き合ってみるとビックリするような濃い体験ができます。
ホントですよ。
あなたもやってみてください。人生が変わるので。
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追記:
実は上の話はこっちの記事の前フリです。こちらもどうぞ。
*1:追記:今は諸事情あってジョギングではなくウォーキングになっています。