何か大きな決断をしなくちゃいけない時、みなさんはどうしていますか?
どうしよう、どっちの選択肢がいいんだろう、どうするべきなんだろう、間違えたくない、でもどっちが正解なんだろう、どうしよう……
それは進学かもしれないし、転職かもしれないし、起業かもしれないし、とりあえず仕事を辞めることかもしれないし、移住かもしれません。
迷っているんだけれど、決断しないわけにはいかない。タイムリミットがあるかもしれないし、なにより決断しなければ迷いに終止符を打つことができなくて何にも集中できない。
そんなとき、どうしていますか?
メリット・デメリットを紙に書き出すとか、誰かに相談してアドバイスをもらうとか、経験者の話を聞くとかいろいろあるかもしれません。そうすることで物事を様々な視点から見ることができます。
でも、最終的に決断を下さなければならないのは自分だと分かっている時、もっと大切なのは、実際に決断を下す手順や基準を自分なりに持っておくということです。
そこで今日は、2つの考え方を紹介します。
ジェフ・ベゾスの後悔最小化フレームワーク
知っている人は知っていると思いますが、ジェフ・ベゾス氏は、Amazonを創設する前はヘッジファンドでSVPをしていました。そんな地位を捨てて起業したわけですが、その時の決断について彼は以下のように語っています。
全体をざっと訳すと以下のような感じです。
(会社を辞めて起業しようと思って)上司のところに行って「ちょっと正気の沙汰じゃないかもしれないけれど、会社を作ってインターネット上で本を売ろうと思っている」と言った。
起業したいということは前から上司には話していたが、この時「ちょっと歩きながら話そう」と言われて、ニューヨークのセントラルパークを2人で2時間散歩した。
で、話し合いの末に言われたのが「すごくいいアイデアだとは思うが、立派な職がある者がやるようなことじゃないんじゃないか」だった。最終決断を下す前に48時間考えろと説得された。
だからその後、こういう大きな決断をするときにどういう考え方をすべきなんだろうと考えていて。
妻には既に話してあった。彼女はすごく理解してくれていて、あなたがやりたいことなら何だろうと100%応援すると言ってくれていた。
いや、ホントに。堅実なキャリアのわりと堅実な男と結婚したのに、その男が今になってこんな突拍子もないことをしたいと言い出して、それでも100%応援してくれるんだから。
だからもうこれは自分で決断するしかないことだったが、ここで自分がたどり着いた、決断を簡単にしてくれた考え方というのが、自分みたいな仕事人間が言うところの「後悔最小化」フレームワークだった。
つまり、自分が80歳になったときのことを想像して人生を振り返ってみようと言ったとき、後悔していることがなるべく少ないようにしておきたいわけだ。
そう考えたとき「80歳になったときに自分は起業しようとしたことを後悔しないだろう」「このインターネットという大きな可能性を秘めたものに参戦したいと思ったことを後悔しないだろう」「失敗したとしてもそれを後悔しないだろう」と思った。
でも、「全くトライしなかったらそれだけは後悔するかもしれない」「日々、その後悔が頭を離れなくなるだろう」と思った。
そういうふうに考えてみたら、決断はものすごく簡単だった。
80歳になった自分のことを考えて、その時自分はどう思うだろうと考えるのはとてもいいことだと思う。
そうすると日々の迷いから解放される。
自分はウォールストリートの会社を年が開ける前に退職したが、これは年一度のボーナスを受け取らずに去るということだった。
こういうことが人を短期的に迷わせるものだが、長期的に物事を考えると、人生において良い決断を下せるし、後から後悔したりしないものなんだ。
ティム・フェリスのストア哲学
ティム・フェリス氏はベンチャー投資家であり、「『週4時間』だけ働く。」などの著者であり、その人脈を活かした様々なインタビューのポッドキャストで有名な人です。
そんな彼が勧めているのが、ストア哲学*1です。
ベゾス氏のインタビューより長いので、彼の体験談の部分を端折って方法論の要点だけまとめます。
ストア派哲学者ルキウス・アンナエウス・セネカが「人は現実の世界よりも想像の世界で苦しむことが多い」と言ったそうですが、人は悪いことばかり想像してしまうものです。そして恐れから行動に移せなくなる。そのため、ストア派は「premeditatio malorum(弊害になることについて予め熟考しておく)」ことを説いています。
そこでティム・フェリスが実践しているのが、目標設定ならぬ懸念設定です。3段階に分けて以下のように行います。
「What if...?」
「もし◯◯したらどうなるか?」ということについて以下のことを書き出して考えていきます。
- Define(定義):◯◯した場合に起こり得る最悪の事態
- Prevent(予防):どうしたらその最悪の事態を少しでも防ぐことができるか
- Repair(修復):もしその最悪の事態が起こったらどう対応できるか
「What might be the benefits of an attempt or partial success?」
「◯◯にトライすることや◯◯で少しでも成功することで得られるものは何か」について考えて書き出していきます。
「The Cost of Inaction」
「もし◯◯をしなかったらどうなるか」について精神的、身体的、経済的などいろいろな面から考えていきます。このとき、6ヶ月後にどうなっているか、1年後にどうなっているか、3年後にどうなっているかと時間枠も変えて考えます。
評価
人は懸念を悪い方へ悪い方へ考えてしまいがちですが、こうやって見ていけば起こり得る最悪の事態とやらなかったときの影響を冷静に比べることができます。
まとめ
ポイントは、
- 何が本質的に重要で何が本当は些細なことなのかを
- 自分で納得するような形で
- なるべく感情的・衝動的にならずに見極める
ということです。
ジェフ・ベゾス法を自分なりにアレンジしても良いし、ティム・フェリス法を自分なりにアレンジしても良いし、全く新しいやり方を編み出しても構わないと思います。なんでもいいので、「何か大きな決断をするときはこうしよう」と決めておくと人生がいくぶん楽になるはずです。
あと、ティム・フェリス法は、決断したつもりなのに実行できてない自分を見直すときにも使えそうですね。
ちなみに今村は100歳まで生きる気満々なので、80歳になっても「まだ20年あるからやり直そう」と思える自分でいられたらなと思っています。
みなさんはどうしますか?
*1:破壊的な衝動に打ち勝つ手段として、知識や理性を使った自制心や忍耐力を鍛えるという考え方