タダでもやりたいことをして稼ぐとか言っても、何やっていいのか分かんないよ……っていう人、結構多いんじゃないでしょうか?
やりたいことなんて見つからないっていう人。特に今みたいな情報社会では、選択肢が無限にあるように見えて余計に選べなく感じるかもしれません。
なので、今日は「やりたいこと」に対する考え方について話します。
人生のスイートスポットとは
その前にまず、幸せが見つかる場所、人生のスイートスポットについて説明します。図にするとこんな感じです。↓
- 情熱(passion):自分が情熱を持てること、やっていて楽しいこと
- 才能(gift):自分が才能を発揮できること、他の人から認められるようなこと
- 意義(purpose):自分が意義を感じられること、解決したいと思うこと
日本でよく見る図との違い
上の図はあたしがアメリカで学んだ図ですが、日本でもこういう図はあるのかなと思ってちょっと調べてみました。
すると、似たような図はたくさんあったのですが、ほとんどは「好きなこと」「できること」「求められていること」とか「Will」「Can」「Must」のように分類して「求められていること」や「Must」を「義務」と説明していました。
義務を果たすことが幸せという理論なのか、義務を果たすことが好きなことをしていい条件ということなのか、その辺はよく分かりませんが、個人の幸せという観点からは、場合によっては単なる精神的ストレスにしかならないと思うので、ここでは義務とは関係なく個人が感じる意義ということで話を進めます。
3つの要素が重なったスィートスポット
説明するまでもないと思いますが、情熱、才能、意義の3つが重なる部分(①)が人生のスィートスポットです。好きで、得意で、意義を感じられることをするのが理想だということです。3要素揃っていないケースはそれぞれ以下の観点から充実感を得られないことがあります。
- ②:好きだけれど才能が足りず、意義も感じられない → 自己満足に留まる
- ③:才能はあるが、好きじゃないし意義も感じられない → つまらないと感じる
- ④:意義を感じるが、好きじゃないし才能も足りない → 自己犠牲・不適性を感じる
- ⑤:好きだし才能もあるが、意義を感じられない → 報われないと感じる
- ⑥:才能があり意義も感じられるが、好きじゃない → やる気を維持できない
- ⑦:好きだし意義も感じられるが、才能が足りない → 自己失望を感じる
現状に満足できていない人は、このような観点から見直しすると何かヒントが得られるかもしれません。
やりたいことが見つからない人のありがちな間違い
では、やりたいことが見つからないと言っている人のありがちな間違いについて見ていきます。
「やりたい・やりたくない」に関係ない条件まで検討している
やりたいことを探すときにやりたいこととは根本的に関係ない「それで稼げるか」「将来も安定しているか」「世間体は良いか」ということをまず検討している人がたくさんいますが、それはやりたいことを探しているとは言いません。世間体が良い職業を探しているだけです。
もちろん、世間体が良い職業に就いて、与えられた仕事を好きになって、人一倍のスキルも身につけて、意義も見出す、という順序で幸せになることも十分アリですから、そういう意図がある場合は「まず良いお仕事を探す」で構わないでしょう。
ただ、情熱、才能、意義の3つの要素をあとづけするのにはそれなりの努力と覚悟が必要となります。
いずれにせよ、「やりたいことが見つからない」と言っている人は、現在の職業ではやりがいを見いだせないと思っているか、やりたいと思える職業を探したいと思っているかのどちらかではないでしょうか?
その場合、根本的に関係ない要素の検討はやめて、やりたいことをまず探す決意が必要です。
ここで1つ言っておきたいのは、これは単純に順番の問題だということです。社会的な価値観にもとづいた職業に就いてやりがいを見出すのがアリのように、やりがいを先に見つけてから社会的地位を獲得することも十分アリです。(やりがいを見つけたあとに社会的地位が必要と感じるなら、ですが。)その辺はあなた次第です。
最初からスィートスポットを見つけようとしている
よく聞く「まず目標を設定してそこに辿り着くためのロードマップを作成」というやり方は、目指したいものが分かっている人にはとても効果的です。でも、そうでない人がこのやり方に則って最初からスィートスポットを探そうとするのは間違いです。
なぜか?
自分が何に情熱を感じるか、どういう面で人より秀でているのか、何に意義を感じるのか、そういうことをよく分かっていない状態でスィートスポットを探すのは、検索キーワードが分からないまま当てずっぽうにググっているようなものだからです。
「検索キーワードは分かってます。でもこれだ!と思える検索結果が出てこないんです」と言う人もいるかもしれません。
でもよく考えてください。それはその検索キーワードじゃダメだということです。
全部の条件が当てはまるものを最初から発見しようとしてもうまくいくことはほとんどありません。情熱があるものを極めて才能を得て意義も見つけるとか、意義から入ってその中で情熱や才能を試すとか、一つずつやるのがコツです。
なので、やりたいことが分からない人がやるべきなのは、とりあえず何かやってみるということです。
自分が全く知らなかった分野でもやってみたらもの凄く面白かったとか、誰かの役に立つとは思わなかったけれどやってみたら感謝されたとか、やり方を学んでみたら他の人よりもずっとうまくできて自分の才能にびっくりしたとか、いろいろなことをやってみないと見えてこない自分の側面というのは実際、意外にたくさんあるものです。
当然、逆のパターンもあって、絶対自分に向いていると思ったのに全く才能がなかったとか、楽しそうと思ったけれどどうも好きになれなかったとか、役に立つと思ったのに迷惑がられたとか、そういうこともあります。
そしてこういうケースは失敗とみなされてしまうことが多いのですが、違います。自分が何をやりたくないのか分かるのは、自分が何をやりたいのか分かるのと同じくらいの価値があり、将来必ず役に立ちます。
やりたいことが分からない場合のアプローチ
では具体的に何をどう始めてスィートスポットまで辿り着けばいいのでしょう?
何かをはじめるきっかけ
きっかけは何でも構いません。「なんか気になるし、面白そうと思った」でもいいし、「なんでこれをやる人がいないんだろうと思った」でもいいし、「これなら得意なことが活かせそうと思った」でもいいです。まず3つの要素を眺めてどれかに当てはまるものをやってみることです。
自分で分かっている自分を拡げてみるアプローチです。
3つの要素を眺めてみてもあまりアイデアが浮かばないという場合、自分の新しい側面を発見するのに効果的なのは、人から「これやってみない?」とか「あなたにこれ頼みたいんだけど」と言われたらとりあえずやってみるということです。
特に上司や先輩など、自分より経験があって自分のことを客観的に見ることができる人に何か勧められたら、素直にやってみてください。面白い発見や展開があったりします。
自分の直感や、偶然の出会いも思わぬ発見や展開をもたらします。
なぜか分からないけど目に留まったとか、普段会うことがないような人にひょんなことから出会ってインスピレーションを得たとかですね。このような「偶然」を起こすコツは「何か始めるぞ、何がいいかな」と常に思うことです。不思議なことに何か起こります。(ちなみに「何か始めたい」ではダメです。「何か始めるぞ」と覚悟を決めないとうまくいきません。)
やってみてから考える
何か始めたら、一定期間は続けないとダメです。
何を始めたかによって実際の必要最低期間は多少変わると思いますが、要は自分に十分なチャンスを与えなくてはならないということです。好きになったり、意義を見出したり、スキルを身につけたりするにはある程度時間がかかります。その前に判断を下してしまうのは自分自身にアンフェアです。
一旦時間をかけて試してみたら、いけそうかどうかは考えなくても分かってきます。
なので次は、3つの要素で何が足りないか、どういう方向に持っていけばもっと好きになって、もっと得意になって、もっと意義を感じられるようになるのかを考えます。
ここまで来て初めて「目標を設定してそこに辿り着くためのロードマップを作成」というやり方が使えるわけです。
自分にきちんとチャンスを与えて真剣に取り組んだけどいまいちグッとこないなぁ……という場合は、何が自分に合ってなかったのかだけ考えてください。その後は、他人がどう言おうがそこでやめてしまって全然構いません。次、行きましょう。
3つの要素を別々に得るという選択
1つのことで3つの要素を満たすのが一番効果的かつ効率的で理想だと思いますが、例えば、得意なことを活かしつつ意義のあることをして労働所得を得て、余暇で好きなことを得意とか意義とか考えず純粋に楽しむ、というような形で3つの要素を満たすような生き方もアリだと思います。要は自分が納得できればいいのですから。
まとめ
やりたいことを見つけたい場合、好きか、得意か、意義を感じられるかの3つ以外の条件を盛り込んで考えるのはやめましょう。やりたいことを見つけるんだという決意には、やりたいことだけ突き詰めて考える覚悟が必要です。
また、スイートスポットを先に見つけてから行動を起こそうとするのも間違いです。
いろいろやっているうちにスイートスポットとなり得るものが見えてくる、というのが普通です。最初からやりたいことが分かっている人もたまにいることはいますが、そういう人は稀なのです。
そして、スイートスポットになり得るかもしれないものが見えてきたらそこに辿り着く努力が必要だということも忘れないでください。