経済的自由のススメ ~そのあと~

経済的自由を得て現役引退したあとの生き方

Amazon Freshに行ってきました(遅ればせながらレポート)

こんちは~、今村です。

Amazon Fresh(もともとのデリバリー事業)を立ち上げたHerrington氏が、Flexportに引き抜かれて辞職したDave Clark氏の後任としてAmazon StoresのCEOに任命されましたねー。

今村のことをツイッターでフォローしてくれてる人は知ってると思いますが、今村は5月に2週間カリフォルニアに行ってました。そのときついでにAmazon Fresh(現在の実店舗)でもお買い物体験してきました。

これ、実は結構面白かったんですよ。で、今朝のニュースを見てブログ記事にしようかなという気になったので、書きます。

ちなみに、4年前にシアトルに行ったときはAmazon Goでお買い物してレポートしたんですが、

www.saki-imamura.com

実際Amazon FreshはAmazon Goより面白かったです。

もともとブログ記事を書こうと思って行ったわけじゃないので、あんまり写真がないんですが、まあその辺は我慢して読んでいってください。

ちなみに今村が行ったのはロング・ビーチ店です。

ロング・ビーチ店、果物売り場

Amazon Freshの概要

と、その前に、Amazon Freshの経歴をざっとまとめておきます。

  • もともと食品デリバリー事業として2007年に立ち上げられる
  • その後は、プライムユーザーがネット注文しておいてピックアップできるAmazon Fresh Pickupを始めたり、ミールキットの販売を始めたり、いろいろなことを特定地域限定で試しつつ迷走
  • 即日デリバリー事業のPrime Nowが食品部門にも進出したことで内部対立発生
  • 2017年にWhole Foods買収が決定し、Amazon Fresh対Prime Now問題が食品販売全体の戦略という視点で顕著化
  • Bezos氏の命令でAmazon FreshとPrime Nowのトップがプレゼン対決
  • Prime Nowが勝利しAmazon Freshを吸収するが、Amazon Freshブランドをキープ
  • Whole Foods店舗を利用する戦略を試すも様々な課題が浮上し、別の店舗形態を模索
  • 2020年にAmazon Fresh実店舗1号店をカリフォルニアでオープン
  • 2022年5月時点でカリフォルニア、イリノイ、ワシントン、バージニア、メリーランド、ペンシルバニアで計30店舗展開
  • 2022年6月に5店舗追加発表

つまり、紆余曲折してきたけれど、今は急ピッチで新店舗をオープンしている状態というわけなんですね。そんなところにHerrington氏が登場したと。

とは言え、Whole Foodsは500店舗くらいあるはずなので、Amazon Freshの実店舗規模はまだまだではあります。

更に、Amazon全体の収益として見ると、実店舗部門は4%に満たない状態です。

実際、実店舗部門は、今まで迷走してる感が拭えないところもあって「金がかかる趣味」呼ばわりされたりもしています。

さて、Herrington氏は見返すことができるんでしょうか?お手並み拝見、楽しみです。

Amazon Freshの特徴

では、Amazon FreshはWhole Foodsや他のスーパーとどう違うのか?ですが。

スマートカートで買い物できる

Amazon Freshでの買い物が面白かった一番の理由はズバリAmazon Dash Cartです。

  • Amazonアプリでログインするので、買い物リストがそのまま使える
  • 支払いもAmazonアカウントに登録してあるもので自動処理するので、財布が要らない
  • レジを通さず買い物ができるので、並ぶ必要がない
  • オススメやクーポンも自動で出てくるので便利

Dash Cartを使いたくない人は、普通のカートもあるので大丈夫です。

今村が行ったときは、普通のカートを使っている人の方が若干多いかなという印象でした。

Amazonのオンラインストアで買った品を箱なしでも返品できる

Amazonロッカーが置いてあるスーパーはわりとあったりしますが、Amazon Freshではカスタマーサービスのカウンターがあって、そこで返品手続きをすることが可能です。箱なしでも可能とのこと。

今村が行ったときも、Amazonの箱を抱えて入っていく人がちらほらいました。

商品のピックアップができる

Amazon Freshの商品をネットで注文して、同じカスタマーサービスのカウンターでピックアップすることもできます。また、Amazon Freshデリバリーの拠点にもなっています。

Walmartなど、ネット注文してピックアップというパターンを可能にして、デリバリーの拠点にしている店は他にもあります。でも、Amazon Fresh店舗はWhole Foodsの既存店舗で試行錯誤したのちにその学びを活かしてデザインしたという経緯なので、ネット注文のピックアップやデリバリーに効率的に対応できるようになっているはずです。たぶん。

値段も品揃えもわりと普通

Whole Foodsは独自の基準を満たす自然食品を売りにしているいわゆるグルメスーパーなので、そういう系統の商品の品揃えは多いのですが、それ系に限られており、お値段もそこそこ高い位置づけになっています。

でもAmazon Freshの品揃えは普通のスーパー寄りです。Whole Foodsの365ブランド商品やオーガニック野菜、Amazonのプライベートブランド商品ももちろんありますが、他の一般的なメーカーのものもたくさんあります。

値段的にも、一緒に行った地元アメリカ人によると「若干高い気がするものもあるけど、ほとんど気にならないレベル」とのことでした。

Alexaがいる

店内のあちこちにAlexaがいました。

今村たちは使いませんでしたが、「卵はどこにあるの?」など、店舗に関する質問に対応できるようです。

Amazon Dash Cartの仕組み

ということで、Amazon側からするとDash Cartの導入は戦略の肝ではないかもしれないんですが、消費者、特にAmazonユーザーからするとAmazon Freshの大きな利点はDash Cartになりそうなので、仕組みをざっとまとめておきます。

まず、店内に入ると、Dash Cartが紙袋がすでにセットされている状態でこのように並んでいます↓

Amazon Dash Cart

写真の奥に見える通り、普通のカートを使っている人もいます。そしてDash Cartは普通のカートよりちょっと小さめでした*1

Amazonアプリを立ち上げてAmazon Fresh用のQRコードを表示し、画面の左側にあるスキャナーで読み取らせると、Dash Cartと自分のアプリが連動した状態になります。

画面はこんな感じ↓

Dash Cartのスクリーン

カートに入っているものと現時点での合計金額が左側に表示されます。右側にはオススメ品が何番の棚にあるかという情報とともに表示されます。買い物リストがある場合はAlexa Listで表示できるし、クーポンも表示できます。

そして、バーコードがついた商品をカートに入れると、カート内の前後にあるカメラがバーコードを読んで表示してくれます。

逆に、一旦カートに入れたものをもう一度出すと、再度バーコードを読んでその商品がカートにもう入っていないことをちゃんと認識します。

果物や野菜、お惣菜など、量り売りでバーコードがないものの場合は、「Add item with code」で売り場に表示されているコードを入力します。

バナナなど量り売りでなくて1本いくらみたいな場合は、コードを入力して本数も入力するんですが、カートはちゃんと計量して個数と重量がマッチしてるかチェックしています。賢いです。

常に総重量を計算しているので、バーコードがついていないものを何か取り出したり、バーコードがついているものでも読み取れない状態で取り出したりすると、総重量が変化したことを感知して「今、何か出しましたか?」と聞いてきます。賢いです。

そんなこんなで一通り買い物し終わったら、最後はAmazon Dash Cart Laneと記されたお会計ゾーンにカートを持っていきます。

Dash Cart用のお会計ゾーン

ここに入るとDash Cartはお買い物が終了したことを感知し、Amazonアプリ内に登録してある決済方法を使って支払いを自動で行います。そして、その場でレシートがAmazonアプリに紐づけされているメールアドレスに送信されます*2

これでお買い物終了です。買ったものはすでに紙袋に入っているので、そのまま取り出して持ち帰るだけです。

感想

最初はAmazonアプリでログインするやり方でちょっと戸惑い、サラダバーでは入力の仕方がパッとわからず*3、スムーズでない箇所もありましたが、一旦使い方がわかればDash Cartは簡単で、実際とても楽しく買い物できました。

これは便利です。

最近はセルフレジもかなり普及していますが、セルフでもレジはレジなので、面倒なんですよね。なので、このステップが丸ごとなくなるのは大きいです。普通のレジに戻れなくなりそうな勢いでした。今度どこかでレジで並ぶときは、確実に「ここにもDash Cartがあったらいいのに」と思うと思います。

Amazon Goもレジなしで便利な技術ですが、

  • 計量が必要な商品は難しいため、品揃えが限られてくる
  • カートに入っているものと合計金額の一覧がない状態で買い物して自動決済になるので、2、3点ほどの買い物なら良いが、大量の買い物には向いていない

ということを考えると、コンビニ形態には適していますが、スーパー形態には適していません。そして、コンビニ形態は車社会のアメリカでは向いている立地が少ないので、店舗拡大しにくいというのがあります。

あれほど話題になり期待されていたAmazon Goの店舗が思ったように増えなかったのは、この辺りが原因でしょう。一時期はガソリンスタンド事業にも手を出してガソリンスタンドと合わせることでAmazon Goを拡大することも検討されていたようですが、それくらいコンビニ形態はアメリカに適していないということです。

でもAmazon FreshとDash Cartなら拡大しやすいはずです。また、Whole FoodsでもDash Cartは簡単に導入できるのでないかと思います。

Dash Cartで買い物する人が増えれば、POSデータのクオリティも上がるので、そこからいろいろなマーケティング戦略も打てそうです。

ただ、今後Whole FoodsとAmazon Freshの棲み分けをどう上手く設定していくか、Whole Foodsを買収した意義をどう回収していくのか、というのは課題になるかもしれません。

なんにせよ、どうなるのか楽しみです。

*1:たぶん技術的な制限でこのサイズになったんだと思いますが、アメリカ人の買い物パターンという視点で見ると、もう少し大きい方が良い気がします

*2:ちなみに、この後スクリーンには満足度調査のアンケートが出てきていたので、「とても満足」と回答しときました

*3:コードが表示されているのに気づかず、最初は箱を認識するのかな?と思ったんですが、違ってました笑